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「大丈夫」って仮面をつけながら生活する

黒猫が病気だと分かって、どうしても外に出る気になれずに一日休みを取ったが、ずっと休む事はできないので、昨日から会社に出ている。

猫達のために合法的にインドにいるのも、食費や治療費を稼ぐのも自分の役目だと思っているからだ。(インドには雇用ビザで滞在しているので、仕事を辞めたらこのままインドにはいられない。)

家にいる時はずっとぐずぐずしていたので、出勤してもまともに仕事できるか不安だったが、行ってみると案外大丈夫なもので、笑顔も作れるし、ごはんだって食べられる。

なんだ、私、結構大丈夫なんだ。

そう思いながら過ごした。



たまたま昨日は年度初めのチームランチがあった。オフィス内のカフェテリアで簡単にやるのかと思ったら、みんなでレストランに行って2時間もかけた本格的なランチだった。

(日本だったら「仕事終わってから飲みに行きましょう!」となると思うが、インドは多くの場合就業時間内に実施する。)

ごはんもたくさん食べたし、
美味しいと思えたし、
同僚と楽しくおしゃべりもした。

どこから見ても私は普通のはずだ。

しかし、家に戻ってしおれた感じの黒猫をみると、「大丈夫」と思えていた気持ちが萎んでいく。黒猫にしてみれば、余計なお世話なのだろうが笑

大好きなおやつを見せても反応しない時や、
じっと黙って座ってる時、
薬をあげる時にあまり抵抗しなくなったと気づいた時、

黒猫の中で確実に病気は進行しているのだな、と思うとぽろりとその仮面が外れてしまう。

家の中だと誰もいないから仮面をつけてる必要が無い。
無意識のうちに、外にいる自分と家にいる自分を明確に分けているのだろう。



昨日はさあ寝ようと思って、電気を消して、ベッドでウトウトしていた黒猫に触れたらなんだか涙が出て止められなかった。

どうやら電気のスイッチが自分の気持ちのスイッチも切り替えてしまったらしく、その夜は小さな電球をつけたまま眠った。

普段は真っ暗じゃないと寝られないが、今日は暗くすることで、じわじわと悲しみや辛さが忍び寄って来るような気がしたから、物理的に明るいままにして飲み込まれない様にした。

どこに気持ちを切り替えるor仮面が外れるスイッチがあるかはっきり分かっていないので、外にいる時はできるだけ黒猫の事を考えない様にしている。

電車に乗っていようが、
オフィスにいて仕事している時でも、
ふと黒猫の事を思い出して泣きたくなるからだ。



先週の日曜日に具合が悪くなり、にゃん達だけを家に残してお留守番はさせられないと判断したので、事情を話して日中はいつもの友人が家にいてくれることになった。

薬は朝晩なので私があげるが、日中の様子やトイレに行っているか、容体が急変していないか、などを時々報告してくれる。

友人は5月に資格試験の為に勉強中なので、フルタイムの仕事はしておらず、時間の自由がきくため、本当に助かる。



具合が悪くなってからも、最初はお水を飲んだり、食欲ある時もあったのだが、日を追うごとに水も飲みたがらず食事も受け付けなくなった。

あの手この手で興味を引いてみるのだが、食欲は全くと言っていい程無い。お水はスポイトにしたり、普段は使わない入れ物に変えたりしているがそれも嫌がる。

回復の為には点滴をするのがいいのだが、まだ抵抗できる力があるので、もう少し待つ必要がある。

点滴できれば回復するはずだが、
点滴ができる様になったらそれだけ弱っていると言う事なので、
どちらがいいのか複雑な気持ちである。

黒猫は淡々と日々を生きる事を決めている、と言うか、それを本能的に分かっているんだろうと思うが、傍で見ている人間はついつい動揺して右往左往してしまう。



自分の心のあり方や、最期の時はどうしているのか、などはちょうど最近読んだこちらのnote↓を参考にさせてもらった。

この方の漫画は大好きで本も持っているのだが、漫画で出会ったねこさんもいぬさんももう亡くなってしまっているだと思うと、ペットの寿命が短いと分かっているけど悲しい。

ねこさんは淡々としているのに、飼い主は泣いてばっかりだったり、よろよろしているのに時々シャキッとしたりとかには「うちもだなあ」と頷きながら読んだし、

ごはんの工夫は「なるほど」と思いながら参考にさせてもらっている。日本ほどたくさん種類が無いので、限度があるのだが。一時帰国した時にかつお節を買っておけばよかったなあ、とちょっと後悔している。

これを読んだお陰で、少し気持ちが楽になったし、「こんなことできるかも」とアイデアをもらえた。それに、悲しくても泣いてばかりでもいけない、程よい距離感は持つべきなんだ、と納得できた。



猫を飼っている友人・知人に聞いてみると、やはり猫の腎臓病はとても一般的らしく、自分も同じ経験したとか、その研究も進んでいる事も教えてもらえた。

この研究はコロナで一時期中断していたらしいのだが、全国のcat loverから寄付が殺到したらしく、現在はもう少しで薬を販売する段階まで来ているらしい。

私も寄付したかったが、既に締め切ってしまっていた。

やはり、苦しむ我が子(猫)の姿を見ずに済むなら・・と言う思いなのだろうな、と思った。日々弱っていくのを傍で見ながら、自分の無力さを感じるのは辛い。(薬や点滴と言う対処法はあるけど)

記事には猫の寿命が30年まで延びるかもしれない、と書いてある。

個人的には寿命が延びるのはそれぞれの種に与えられた天命があるのでどうなのかな、と思うのだが、虹の橋を渡る直前まで元気でいて欲しいと心から願う。

この記事では2022までの商品化(薬の販売)と書いてあるが、最新の情報では2023年の商品化を目指しているらしい。今年だ。インドで入手できるか?予防のための薬か、発症後の治療の薬なのかにもよるが、期待したい。

なお、予防のためのキャットフードは既に販売されているらしい。インドでも入手できないか探したが、入手できるところが見当たらなかった。(予防のためなので、黒猫には意味ないのだが、食欲が無いので試してもいいと思った。)

研究に関する記事の一つ。もっと他にもあるかもしれない。

下部尿路の健康維持のためマグネシウム、リン、カルシウムを調整したキャットフード。インドでも販売を願う。(治療の為の食事ではない。)


黒猫の病気が分かり、数日経って、現実を受け入れられつつある。

悲しい事に変わりないが、黒猫がなるべく苦しまず、なるべく長く生きられる方法を探りたい。

そして、一日一日を大切に。

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