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家族の絆

まだ部屋に残っていた段ボールを片づけていたら、「ねことじいちゃん」が出てきた。

私の大好きな本の一つだ。

舞台は日本の青島を想像させる島。おじいちゃん、おばあちゃんと(きっと)それ以上の数の猫たちがのんびり暮らす島。

主人公の大吉じいちゃんは奥さんに2年程前に先立たれて、愛猫のタマと二人暮らし。亡き奥さんの得意料理に挑戦したり、お隣の巌じいちゃん(大吉じいちゃんの幼馴染)と釣りに行ったり家飲みしたり、島で唯一(きっと、笑)のカフェでみんなで集まったり・・・。

家に鍵もかけずに出かけ、各家庭のニュースが筒抜けになる、のんびりと平和な世界が描かれている。

タマが’家に来た経緯や、タマと大吉じいちゃんの奥さんとの約束、大吉じいちゃんと奥さんのなれそめ、大吉じいちゃんと巌じいちゃんの子供の頃の話・・・。どれもどこか懐かしくなる様な、時に悲しくなるような不思議な魅力がある。

絵もふんわりとかわいらしく、ストーリーも一つ一つは短いのだが、続けて読むと見えてくるものがあるので、一話で辞めずに読むことをお勧めしたい。

読み直してうるっとしたストーリーに、巌じいちゃんと奥さんの話がある。

5巻で、巌じいちゃんが倒れてしまい、本島の大きな病院に入院した。てっきり奥さんをなくされて一人暮らしなのかと思ってたら、そこで奥さんが登場。奥さんのお母さんの体調が良くないため、奥さんは本島に住んで介護をしているらしいが、大吉じいちゃんは「20年の間、ほとんどかえってこなかったんだよなあ。。あの二人大丈夫なのかな?」と巌じいちゃん夫婦を心配するのだ。

だが、その後のストーリーで、二人は離れていたけど、お互いを思いやっていた事が分かる。

退院した巌じいちゃんは、しばらく娘夫婦の家に滞在するのだが、そこで巌じいちゃんと奥さんが楽しそうにひ孫の遊び相手をしたり、二人でのんびりおしゃべりしたりするシーンがある。

さらに元気になって島に戻った巌じいちゃんの所に、子供たち、孫たち、ひ孫たちが奥さんと一緒に遊びに来る。

静かな家が一瞬にしてにぎやかになる。

そんな中、奥さんは巌じいちゃんに「あまり帰って来れなくて、寂しい思いさせてごめんね」と言う。

そうすると巌じいちゃんは「家族なんだから助け合うのが当たりまえだ。」と言う。さらに「わしは女房がお欄で寂しい、とか言う軟弱者じゃないぞ!」と奥さんの気を紛らわすために付け加えるのだ。

巌じいちゃん・・・、イイ男だなあ!!かっこいい。


このストーリーを見て、自分の事を考えてしまった。

今、私は離婚手続きをしているので、夫との連絡は必要以外にはしない様にしている。

離婚が合意できているものであればよいのだが、私は離婚を希望、夫は離婚を希望していないので、個人間で連絡を取っても言い争いになることが多いからだ。

手続きは長引き、その間に子供たちも成長し、娘は夫と一緒に住んでおり、息子はカナダの大学に入学した。

一人でいる事に後悔はないのだが、娘の事だけは気になっている。

まだ子供なので、娘が一人で連絡できることはできず、電話やメッセージアプリはすべて夫のアカウントを経由して連絡を取っている。安全のためなので、正しい対処だと思うが、少々連絡しづらい。

「娘と連絡を取る」=「夫に連絡をする」と言うリスクになるため、娘と連絡を取る頻度は減っている。一緒に住まなくなってもう3年近くになる。

電話やメッセージだけでは伝わり切れない事があるかもしれないし、私とのやり取りは夫がすべて見ている。娘が元気で、夫とうまく過ごせてさえいれば問題ない。

ただ、時々、私の事は忘れちゃったかもしれないし、嫌いになってしまったかもしれないなあ、なんて思う時もある。(夫が私の悪口を言っている事もあるので、それを聞いているだろう)

私たちにとっての2、3年は大したことないが、この年頃の子供にとって2、3年はすごく長いし、貴重な時間だ。コロナだったり、猫がいたりとか理由があったにせよ、会いに行ってないのは事実なので、もし娘にそれを指摘されてしまうと、私は何も言う事がない。

今年こそ、一度帰国して娘に会いたいと思うが、同時にどのような反応されるか、怖くもある。

そう思っていた時に、このストーリーを見て、少しほっとしたのだ。

実際に会ったらどうなるのかは分からないが、時間が経っても変わらないものがあるのも事実だ。

娘に会えたら、やっぱり巌じいちゃんの奥さんと同じで「ずっと会いに来なくてごめんね」と言いたいが、

それに加えて、

「離れてても、ママは娘ちゃんが大好きだよ」も伝えよう。

これから、家族がどのように暮らしていくのかは明確に決まっていないが、離れて暮らすことになっても、娘の幸せをいつも願っている。

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