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黒猫の具合が悪く獣医に駆け込むも、通常運転の大暴れ

(注:トップの写真の美しい猫ちゃんは、家の子ではありません。)

Holiが過ぎたのに、雨が多く、暑すぎず寒すぎずのちょうどいい天気が続いていたある日の週末、午前中の用事を済ませて家に戻ると飼っている猫が吐いたらしい痕跡があった。

猫は四六時中毛づくろいをしてはその毛を吐き出したり、
キッチンで勝手にごそごそやってそれを吐いたりしているので、
家にいる3にゃんともしょっちゅう何かを戻している。

なので、一回ぐらい吐いたぐらいでは、私も大して、と言うか全く気にしないのだが、昼過ぎぐらいから黒猫が何度か吐いているらしい事に気づいた。

(うちには、白猫、三毛猫、黒猫の3匹がいる。)



吐いたものを確認すると、黄色くて泡が出ているので、もうお腹が空っぽな事が分かった。

その頃に、ベッド脇に置いてある、サイドテーブルの下で、黒猫が小さくなっている事にも気づく。

あれ?おかしいな。この場所に一度もいたことないのに。

猫と言うのはお気に入りの場所があるのか、家の中でもある程度決まった場所にいる事が多い。

我が家の場合は、白猫はダイニングの椅子の上で、黒猫と三毛猫は私のベッドが多い。なので、黒猫がいつもいないところにいるのに何か違和感を覚えた。



夕方になっても、また何度か吐いて、ウトウトと眠たそうにしているのに、寝付けない様子だった。口の周りをぺろぺろと舐め続けているのも気になる。

猫であっても人間であっても、基本的な事は同じで、食欲があって、よく眠れているうちはちょっとぐらい体調が悪くても根本的には問題ない。

試しにおやつが入っている戸棚を空けてみると、反応してやってきたので、食欲はあるらしい。

私は今すぐ病院に連れて行くかどうか迷った。

黒猫の事はもちろん心配だが、車も無いので往復何で行くか?、また、病院に行っても治療させてくれるか?などを考えると躊躇してしまった。(黒猫は過去に病院で大暴れしている。)



しかし、その1時間ぐらい後にも再び吐いて、傍目にも弱々しい印象になっいた上に、もうおやつを目の前に出しても、反応せずじっとうずくまったままだったので、もうこれは連れて行くべきだと判断して獣医さんに連絡した。

幸いかかりつけの獣医さんにすぐ連絡が取れて、もうすぐ夜の診察の時間なので、18:30~21:00の間であればいつ来てもよい、との事だった。

そしてダメ元で同じ団地に住んでいる友人に聞いてみると、車を出してくれるとの事なので、出発時間を決めて団地のゲートで待ち合わせした。




心の中では「大丈夫。深刻な病気じゃない。」と心に言い聞かせていたつもりで、冷静さを保っていたつもりだったが、車を出してくれた友人は「大丈夫?ちょっとパニックになってない?」と心配してくれた。

この友人はふらふらしているくせにそういうところは鋭いのだ笑

うちには、数年前に天国に行ってしまった、4匹目の猫がいた。

それは私の不注意で先送りする性格が招いた死だったと、反省している。

4匹目の猫は黒猫と三毛猫の間に生まれた子で、里親を募集したのだが貰い手がつかず、結局うちでそのまま育てていた。誰かに飼って欲しいと思っていたので、あえて名前も付けないまま、グレーカラーだったことから「グレイ」と呼んでいた。

今考えると酷い話だ。

このグレイは元々小さな子で、あまり活発ではなく、食も細かったので、なんとなく痩せた様な気がしていたのだが、私はあまり気にも留めなかった。しかし、しばらく経つと、痩せ方が病的であばらも浮いてきたので、獣医さんに電話をして、その日に病院に行く予定をしていた。

だが、電話をした直後ぐらいから、「みゃあ、みゃあ」と弱々しく鳴き始め、歩くのもやっとな様子になっている事に気づいた。

抱き上げたからだはかなり軽くなっていて、水を口元に持って行っても飲もうとしなかった。

結局、病院に連れて行く前に、私の腕の中で静かに息を引き取った。




猫は病気である事を隠す性質があると聞いた。

そうやって自分を正当化しようとしたけれども、健康状態に気を配ってあげていなかったから不注意だったし、「もう少し様子を見てもいいかな」と面倒さが先に立って病院に連れて行かなかったことは事実だった。

もう自分を責めてはいないけど、これは教訓にしようと思った。

いつもの覇気が感じられない黒猫を見ていると、嫌でもグレイが天国に行ってしまった時のことが思い出された。

大した事じゃないと信じたい。でも、獣医さんに診てもらって確かめよう。

車の後部座席から、「なんだよおおお~どこに連れて行くんだよおお~。。」と言う弱々しい恨み節を聞きつつ、病院に急いだ。



病院に着くと、何匹かの先客が既にいた。

かわいいレトリバーの子犬の飼い主達は、獣医さんとのんびりおしゃべりしているし、奥の方にいる毛の長いわんこは手術なのか、トリムなのか分からないが手術台にいて毛を刈っていた。

しばらくして、毛の長いわんこは別の手術台に移動させられ、黒猫は個室の手術台に移動した。

しかし、黒猫は移動したのに何も始まる様子が無い。獣医さんはまだおしゃべりしている。焦っても仕方がないので、動きがあるまで待つことにした。

レトリバーの家族は帰り、やっと獣医さんが2人のアシスタントを連れて黒猫のいる部屋に入り、ドアをぴったりと閉めた。(症状などは事前にWhatsappで伝えてある)

が、5分もすると、そろりとドアが開いて、わんこの毛を刈っているスタッフが呼ばれていった。

何を言っているかよくは分からないが、応援を頼まれたらしい。

すると、さらに5分程して、もう一人のスタッフも呼ばれて部屋の中に消えていった。




部屋に入った直後は、中からは何も聞こえてこなかったので、「ああ、やっぱり黒猫は弱っているのね。。。」と涙が出そうになっていた私だが、

一人、二人と応援が呼ばれている様子を、ちょっと不思議に思いながら見ていた。

しばらくすると、黒猫の唸り声が部屋の外にいても聞こえる様になり、(それだけ元気があるという事なので)ちょっと嬉しくなった。

しかし、その後、部屋の中は騒がしくなり、

「ふぎゃ~!!」と言う黒猫の渾身の唸り声と、

「そっち押さえろ!!」「待て待て、危ない!!」(よく聞こえないけど、多分そう言っている)などと言うアシスタントの叫び声と、

部屋の内側から、ドンドンと壁を打ち付ける何かが(当然黒猫が)暴れている様子が分かり、中が見えない私もびくりと肩を震わせた。

明らかに修羅場になっていると思われる。

アシスタントに同情しながらも、自分の役目じゃない事にほっとしながら待っていると、獣医さんだけが汗をかきながら出てきた。



聞くと、症状を抑えるための注射と血液検査のサンプルの採取をするつもりなのだが、黒猫が大暴れするので難航しているのだそうだ。

「症状は聞いたけど、あれだけ大暴れできる力があるなら、深刻なものじゃないね、アハハ」と言われて、原因が分かったわけでも、症状が治まったわけでもないのに、何かほっとしてしまった。

確かに。

「できれば血液検査はしたいから、もう少しやってみるけど、無理と判断したら、今日は注射だけにしましょう。」

(注射は今年の1月にできているので、今回もできるが、血液検査のサンプル採取の方が難易度が高く危険なのだ。)

既に負傷者を出しているらしいので(スイマセン。。。)、当然の判断と言える。注射以外に、家に戻った後も症状が治まらない時の為に薬を処方してくれると言うので、私もそれで合意した。



しかし、そんな話をしている間にアシスタントの決死の努力が実り、黒猫を押さえる事に成功したらしく、部屋の中から焦った声が聞こえた。

「先生!押さえました!早く、早く!!」

アシスタントの声にかぶさって「ヴぅ~!!」と言う黒猫の必死の叫びが聞こえる。

それを聞いて獣医さんはのんびりと注射と血液検査のサンプルを入れる試験管を取り出してきた。

え、今から準備するんだ。。。アシスタント大変じゃないの。。

部屋からは「ヴぅ~!!」と言う黒猫の唸り声に対して、「んん、どうした?大丈夫、大丈夫。」と返しているアシスタント達との心温まる(?)やり取りが聞こえた。

注射器と血液検査用の試験管を持って獣医さんが部屋に消えた後、「ぎゃおおお~~ん。。。」と、ひときわ大きな黒猫の断末魔の悲鳴が聞こえた後、

どんがらがっしゃ~~ん!!!

と、これまた病院内に大音量が響き渡り、私と友人を含む、病院内のスタッフもわんこ達もその飼い主達もかたずをのんで、部屋を見つめた。

恐らく注射と血液検査のサンプル採取が終わって、手を離した瞬間に飛び上がって逃げ出し、手術台に乗っているものを落とし、壁にぶつかって駆け回っているのだと思われる。

部屋の中は大騒ぎだったが、アシスタント達は爆笑しながら、黒猫を無事にケージに入れてくれた。

動物だから言葉が分からないのは当然だけど、こうやって何かをやらかしても、笑って許して、その場を笑いにしてしまうところは、インドの好きなところでもある。(日本もそうなのかもしれないけど、実際に経験したことが無いから、分からないけど。)



空になった注射器と血液のサンプル2本を持って現れた獣医さんは、先ほどの説明の通り、血液検査の結果が出て、問題があれば教えてくれると言う。薬も処方してくれるので、また吐いてしまったら薬をあげる様にとの事だった。

この薬が液状でスプレーになっているらしく、薬嫌いの猫たち、そして、薬をビビってあげられない飼い主(私)にとっては救世主の様な存在だった。

このまま技術がさらに向上して、猫を治療しないといけない時は、催眠術で眠らせる事ができる様になったら、負傷者を出さずに済むので嬉しい。我こそは開発に協力すると言う人はぜひ名乗り出ていただきたい笑



治療費、薬代、ついでにキャットフードも購入して、病院を後にした。

これで黒猫が完全回復したわけではもちろんないが、久々の大暴れを見て、何やら安心もしていた。これだけパワーあるなら、また元気になる。

いつも他の2匹を追っかけまわしたり、キッチンの引き出しを開けて入り込んだりするので叱っているが、それが無くなるとこんなにも寂しく不安になるのだと、毎回思い知らされる。

全力を出し尽くして、力尽きたのか、帰りの車では弱々しい「ちくしょ~また病院に連れて行ったなあ~。。。許さん。。。」と言う恨み節を聞きながら、家路についたのであった。

ペットを飼っていると、お別れの時は必ずやって来る。覚悟はしているけど、できたらずっと元気なままで、そしてお別れの時期はもっと先の事であると思いたい。

みんな、まだしばらく元気でいてね。



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