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悪魔につけいるすきを与えてしまう

少し前に書いたnoteで、息子の成長を感じて嬉しかった事を書いた。
その時には同時に、自分のダメな部分が分かってしまいがっかりもした。

子供は成長しているのに、親(自分)は成長しないままだ。

常に最悪の結果を予想して、しなければならない事から逃げる(後回しにする)悪い癖を治したいと心から思っている。

記憶にある限り、結婚前までは楽観的な性格だったはずなので、悪い結果を想定するクセは、結婚生活の中で養われたのだと思われる。

離婚するぐらいなのだから、結婚生活の中でつらいことはあったはずなのに、記憶に蓋をする様になったためか、今となっては詳細はあまり思い出せず(だから、離婚書類の準備には苦労した、笑)、つらかった記憶はかすかに残るだけだ。

その結果、この悪い癖だけが私に残り、今に至る。

実はこのnoteにはまだ書いていなかったことがある。
悪魔(自分自身の心の弱さ)に、つけ入るすきを与えてしまった事を、今後の為の戒めとして書いておきたい。

今後はそのような事が無いように。



国際結婚&離婚の流れは、基本的に、どちらかの国で結婚手続き→もう一方の国に報告、になると思われる。(少なくとも私の場合はそうだった。)

私の場合、インドの裁判所で手続きしているので、その次は、日本の役所への報告が必要になる。

8月にその手続きをしようと試みたが、時間の関係上、難しかった為、インドに戻ってから手続きをすることになった。しかし、インドに戻ってから、どうしても重い腰をあげることができず、10月始めになっても、まだ手続きはしていなかった。

インドの裁判所で離婚の手続きをした場合、その結果を証明する書類はDecreeと言って、裁判所が発行するのだが、弁護士に頼まないともらえない。

弁護士を通さなくてももらえるのかもしれないが、どこの誰に聞けばいいのか分からないし、インドの裁判所はデジタル化の波と対局にいるので、メールでもらえる可能性など皆無に近く、そこに行かないともらえない。

そして、それを的確に探す事ができるのは、その案件を明確に知っている弁護士だけだと思われる。

そして家庭裁判所の情報はデータベースなどに保管されていないらしく、また、仮にあったとしても公開はされていない。(刑事は公開、民事は非公開)

つまり、裁判所が保有している離婚の情報は、目的を持って探し、かつ、的確なコネクションが無いと情報を得られない様になっている。

その為、2022年10月の時点で、離婚したことを証明できる書類を持っているのは私だけだった。(この時点では、まだどこにも提出していなかった。)



そんな状態だった10月の上旬に、アメリカにいる元夫から電話がかかってきた。

どうしても電話で話しをしたいと言うので、時間を取って話を聞いたところ、「カナダの永住権を申請したい。」と言い出した。

現在、息子はカナダの大学に、娘はアメリカの学校に通っている。ふたりとも学生ビザだ。娘は未成年なので、元夫が保護者として娘と一緒にアメリカに住んでおり、私一人が取り残されてインドにいる状態である。(それなりに楽しんでいるで、大丈夫なのだが。)

だから、家族4人分のカナダの永住権を申請しても、大きな違いはない。他の3人は既にカナダ・アメリカにいるので、私がカナダに行く権利が得られるだけである。

この申し出に乗り気でない私の様子をおかしいと思ったのか、元夫は理由をしつこく聞いてくる。言うか言うまいかかなり迷ったが、これ以上隠しても仕方がないので、離婚が既に決定している事を伝えた。

5月に離婚が決定してから、実はこの時初めて元夫に離婚が決まっている事を直接伝えた。だから、家族4人で申請することはできない、と。

すると、元夫は「それは知っていた」と言う。

なんと、たぬきの化かしあいのごとく、お互い離婚したことを知っていながら、知らないふりして(8月に一時帰国した時に)過ごしていたのだ。

元夫は、

「離婚が決まったのは知っていたけど、お前の為を思って、黙っていた。

「裁判所には、お前の為に出頭しなかった。なぜなら、出頭したら自分が正しいから、お前がかわいそうな状況になるだろう?だから(黙っていてやったんだ)。」と言う。

この時点で、頭がぐるぐるとしてきたが、

「インドの家庭裁判所の結果は誰も分からないから、(公開されていない上に、離婚の情報を知った状態で探さないといけないので、まず分からない)、離婚の手続きはこのまま止めて、家族4人で永住権を申請しよう」と言う。

つまり、裁判所の離婚の判決をこのままなかったことにして、日本側への報告も辞めて、これからも夫婦としてやっていこう、と言っているのだった。

(注:必要であれば、離婚の申立を取り下げることもできるらしいので、本当に離婚を辞めたければ、このアヤシイ手段にする必要はない。)

「家族はバラバラになってしまったけど、せめて家族4人同じ国にいる様にしたい。」
「お前ひとりだけ遠く離れているのは、家族の為によくない」と、
私への切り札「子供たちへの負い目を強調する」を出してきた。

インドに愛着はあるが、家族がいなくなってしまった今は絶対のこだわりはない。私の年齢やスキルなどを考慮すると、自力でのカナダ移住は結構難しく、ついでにそれが手に入るのであればもちろん欲しい。

ただし、元夫とよりを戻すつもりはないので、
「一緒の家には住まないよ。」と言うと、「それでもいい」と言う。
「新しい相手を探しますよ」と言うと、「お前次第だ」と言う。

数分の沈黙の間、私は必死に頭の中で計算した。

元夫と法律上夫婦のままでいるメリットは?

そしてそのデメリットは?

夫婦としては破綻していても、法律上の利益を考えてそのままにする人もいるだろう。それも大人で賢い一つの選択肢だと思う。

また、インドでは離婚手続きそっちのけで、次の人と一緒になってしまう人も多いらしい。

その時、私は「面倒な事(ビザの事)はしたくない。楽してインドにいる権利も欲しいし、カナダにも行けるなら、いいんじゃないか」と、悪魔のささやきに負けてしまった。

「・・・分かった。いいよ。手続きを進めて。」と、言ってしまったのだった。



心の中では、
(ああ、もうOCIの返却をしなくていい)とか、
(日本への報告もしなくてもいい)とか、
なんとなくいやで逃げたかったことから、
逃げられたことにほっとしていた。

しかし、次の日から、元夫の提案にOKを出してしまったことに猛烈に後悔し始めた。

まずは、離婚が決まっているのに、ここで止めるのは正しくない。
(必要ならば、(離婚を取り下げて)結婚したままにするか、離婚の手続きを完了させるべき。)

次に、仮に「ただの仮面夫婦」になったとして、本当に元夫が黙っているだろうか?私は一緒に住みたいと思っていないし、新しいパートナーを探したい。「いいな」と思える人に出会った時に、法律上は結婚しているのに、他の人と一緒になるほどの度胸は私にはない。

そして何より、自分の心『正しい』と思えない。
ずっとこのことばかりを考えてしまい、とても苦しい。



一度「OK」と言ってしまったものに、「やっぱりごめんなさい」と言うのは、すごく言いづらく、何も行動に移せないまま数日が経過してしまった。

1週間程、寝ている間も心配のあまり夢に見てしまう程、「断りたい」「でもいまさら断りにくい」と悶々とした。

こんなに胸に重くのしかかっているのに、中々、元夫に言い出せない。

そんな中、冒頭にもあった通り、息子と話をする機会があった。相談できる人が誰もおらず、苦しかった私は「実はさ・・。」と息子に相談してみた。

すると、息子はあっさり「え、ダメじゃんそれ。違反でしょ?」と指摘してきた。

はい・・・。そうです。

他にも色々話したが以下に書いているのでここでは割愛する。息子に相談した結果、私は元夫の申し出を断ることにしたのだった。

断ることにした理由はいくつかあるけれども、一番大きかったのは、「息子に顔向けできない事はしたくない」だった。



週末に、元夫から電話がかかってきた。

息子と話をしてから、「早く断らなきゃ」とずっと思っていた私は、今日こそちゃんと断ろうと決めていた。

前回電話が来た時に、この話を進めてよい、と言ってしまっているので、既に書類を提出しているかもしれない。そしたら、それを取り下げるのは大変かもしれない。何より、元夫からの「なんでいつも、最初はOKって言うのに、後からやっぱりダメだって言うんだ」と言われるのが怖かった。

それでも、息子と話をして自分で決心したことなので、勇気を出して断った。

すると、元夫は「ああ、そっか。分かった。」と言って、意外にもあっさりと引き下がった。

よくよく聞いてみると、今はまだ、申請を出すためにカナダ国内で仕事を探している最中だったようで、書類の提出などはまだであったため、被害はそれほど大きくならない様だった。

あああああ~。よかった!!!

自分で勇気出して断れたこともよかったが、
申請そのものに大きな影響がなかったことも嬉しかった。



今回の事態は、
私が日本側への離婚の報告を後回しにしていた事と、
大事な決断を一人でしてしまったことから発生した。

この教訓として、
「できることは後回しにしない」
「大事な決断は必ず誰かに相談してから」を心がけようと決めたのだった。

そして、その第一歩として、まずは日本側への離婚の報告を早く終わらせようと決心し、勇気を出して進めることにしたのであった。



やっと決心して、日本側への報告をした時のnoteはこちら。












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