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どんな2人より素敵な1人に♡

先日、東京行きの
新幹線に乗っていたときのこと。

その日、家を出る前に手に取ったアクリルスタンド、つまりアクスタは、リヴァイ・アッカーマンでした。
直前に、進撃の巨人完結編を見返す会に参加したため、その興奮が残っていて、手にしていたのでしょう。

そして、新幹線の窓枠にアクスタを置き、飲み物と共に意気揚々と写真を撮った私を横目に、一緒にいた友人が「そういうの、やりたいけど、人目が気になってできない」とのこと。

彼女はとあるアイドルを推しており、
アクスタを所有しているものの、
それを持ち歩き、出先で取り出し写真を撮ることなど、絶対にできないのだそうです。

なぜ? と問えば、
「恥ずかしい」とのことでした。
ひとりでいるのがそもそも恥ずかしい、
更にアクスタを取り出し、写真を撮るところを他人に見られるなんて恥ずかしくてたまらない、オタクのイタいおばさんだと思われるのが恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい……想像だけでアセアセしている彼女には、「たらんたランタ、読んでみてね。」としか言えませんでした。

私は、恥ずかしい、という感覚を感じること無く生きているのだけど、それは、りぼんマスコットコミックスの『たらんたランタ』のヒカルちゃんに若くして出会うことができ、彼女から学んだ心情を胸に、今日まで生きてきたからです。

恥ずかしさなど、今このときから一生感じること無く、生きてゆく事ができるのに、それが邪魔してしたいことができないなんて、勿体ないと思います。

これは、アクスタに関してだけでなく、
すべてのことにおいて、「恥ずかしい」という概念なんて、有り得ないのです。

恥ずかしい、というのは、
何かを恥ずかしく感じるているその姿、
それ自体が恥ずかしいだけなのです。


『たらんたランタ』のヒカルちゃんは、
お兄ちゃん大好きっ子です。
外でもずっと「お兄ちゃんお兄ちゃん」と言う彼女は、他者から「なんか珍しいね〜、お兄ちゃんお兄ちゃん言うとからかわれたりしない?」と、呆れられます。
それに対しヒカルちゃんは「家族のこと恥ずかしいって思うほうが恥ずかしいです」と、キッパリ堂々と可愛く答えます。

私はここを、中学生の思春期真っ盛り、家族といるところを同級生に見られる事がどこか気恥ずかしく感じ始めている頃に読んだものだから、もう、大感銘!

それ以来、観察をしていると、家族のことを恥ずかしがっている人の姿、というのがどこか滑稽に見えてきて、あぁ~、たしかに、何かを恥ずかしがるってほんと〜に恥ずかしいことなんだ! 滑稽な姿を晒すのってみっともないから、恥ずかしがるだけソンソン、と思っています。

で、ひとりでいるのが恥ずかしい、というのも、いまだよく聞きます。
でも、誰かといても恥ずかしいことってあると思うんです。

私も、そうは言っても、無意識に恥ずかしさが沸き起こる場面というのもこれまでにあって、例えばそれは、まったく身なりを気にしない人と、うっかり恋をしてしまった時期など。
その人は‘’身なりを気にしない僕‘’というのに陶酔しているタイプで、私も初めは、そこに人としての深さを見出し、人は中身だからという幻想を持ってしまっていたのですが、それは愚かでした。
結局それは怠惰と乏しさの表れでした。 
人は中身だなんて幻想だと知らなかったまだ若い頃。

その頃、次第に彼と歩くことが恥ずかしくなって来たのです。
そして、ふと、ショーウィンドウに映った自分たちを見た時!
まったく構っていない髪を振りかざしいつもと同じ、ぴっちりとしたダウンを着た男、の横にいる自分が、あまりに滑稽でショックを受けたのです。自分はそれなりにおしゃれしていたにも関わらず。
あ、私、恥ずかしがってるから、こんなに滑稽なんだ……!と。
ショーウィンドウに映る自分がイケてなかったときのショックって、とてつもないですよね。
人のせいにするタイプの私は、この人のせいで私まで滑稽になっている! 私がイケてないのはこの人のせい! と、ようやく目が醒めたわけです。

いい年して恋人がいないのは恥ずかしい、という人もいるけど、いることで余計に恥ずかしくなることだって、あるからね、ということを、いい年してたらわかるはずなんだけど。
身なりのことだけじゃなくっても。

彼が、飲食店で店員を呼ぶ声が通らなかった時とか、彼が歩いていてつまずいちゃった時とか、彼が何かを間違えて注意をされている時とか、彼が店の品物を落としてしまった時とか、デート先を早々とまわり尽くして行く当てがなくなってしまった時とか、小銭が散らばっちゃった時とか、美容院に行ったはいいけど明らかに失敗しちゃってる時とか、あれ、なんか鼻に付いてるよとかそういう時に感じるあの不快感を、ひとりだと一切感じること無く生きていけるのに。

そのような不快感を感じさせること無く、守ってくれる王子様って、やっぱりそれこそ幻想なのでしょうか。

そういえば、随分前に
「まわりはカップルだらけだけど、私は世界一素敵な香りの香水をつけてるので強いです」、みたいなツイートを見たことがあります。
ツイッターの時代、誰がいつ呟いたものなのか、忘れてしまったけれど、今でもどこからか流れてきたそのツイートを私は覚えていて、それを共感するために生きている、というのは大げさかもしれないけれど、ひとりでいることを選ぶなら、どんな2人よりもすてきな1人になる覚悟をもって、と思っています。 
(とはいえ恋はしたいんですけどね♡、春ですし)
(とはいえ、今日もリヴァイはかっこいい♡)