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デジタル世界の出口と、映画「トゥルーマン・ショー」

デジタル世界に出口はあるのか?

デジタルにはいろいろあるけど、最近のデジタルはインターネット抜きには語れない。メール、blog、Web、SNS、動画配信それにスマホ、電子マネーさらにはIoT。インターネットを経由しないデジタルって無いのではなかろうか?

今や生活基盤となったインターネット。入り口はたくさんあり、容易に入り込めるようになった。入っている所はWeb。Webサイトよりはずっと広い意味のWeb.

Webは、World Wide Webという言葉から来ている。https://wwwのwwwはここから来ている。Web=蜘蛛の巣という意味。世界中に張り巡らされたクモの巣=インターネット。糸は通信網だ。

インターネットは蜘蛛の巣?

インターネットが出来た背景は生活用とかエンタメ用ではない。もともとは軍事技術で非常時でも通信が途絶えないよう堅牢な国際通信システムを作ろうとした。これがインターネットシステムの原型、こう書かれている。

ARPANETはデジタルデータを、地理的に分断されたコンピューター環境の中で共有できる先駆的ネットワークである。1969年に実施された最初のデモが、世界を変え今日では基本となったインターネットの展開につながっている。

DEFENSE ADVANCED RESEARCH PROJECTS AGENCY(米国)のHPから

通信データが必ず届く。消えないように保全する。
そんな考え方がインターネット、Webにはある。だから、もし私たちが何かをUPするとクモの巣に捕らえられ逃げることは出来ない。出口に行けるのはクモに食べられた時か、クモより大きな何かに巣が壊された時だけとなる。クモは5匹くらいいて、とても巨大だと聞く。

インターネットには出口はない。そう思った方が良い。

映画「トゥルーマン・ショー」の出口

デジタルな世の中を描いたものではないのだが、インターネットのお話を書いている内に思い出した映画がある。インターネットの世界を旅するのと類似点がある作品「トゥルーマン・ショー(※)」。

「トゥルーマン・ショー」は、インターネットのような閉鎖社会で青年が苦悩する様子を描いた作品で、主演はコメディー俳優で「マスク」に出演したジム・キャリー(※)。「マスク(※)」のようなエンタメ作品ではなく、サスペンスありの人間ドラマ。彼の真剣な姿が何とも言えない。でも、笑えるかも。

「トゥルーマン・ショー」って、どんな映画?

年代:1998年
分野:サスペンス風人間ドラマ
撮影:カラー
時間:1時間43分

物語をひとことで言うと
営業マンのトゥルーマンは家族と仲睦まじく離島で暮らしている。子供の頃のトラウマで海が怖く島外に出ない。ある日、彼は死んだ父に良く似た男を町で見つけ、それがきっかけで人生の歯車が狂っていく。

小さい頃、自分の本当の親って違う人かもしれない。そういう妄想をした事はないだろうか?私は小学生時代、日々そんな妄想にとらわれていた時期がある。

成長するにつれ親との距離が大きく開き、こんな家庭に生まれた不幸から逃避しようとしていた。ちょっと大変な家庭だった。いつ崩壊してもおかしくない日々。下の記事に書いた親への反発の原因はここにある。

※親との確執は紆余曲折を経て解消した。

「トゥルーマン」の人生に見るネット世界の課題

トゥルーマンは親に反発した訳ではないが、自分の存在の不確かさが物語の背景にある。親のもとに生まれ、戸籍を取得し、地域で成長し、就学、就職。結婚して家庭を設ける。その記憶のどこかがもし間違っていたら?

自分に置き換えると、自分が正しいと思っていた事が全く違うと分かったとしたら、どれほどの衝撃を受けるだろう。その世界から脱出するか、受け入れて留まるかの二者択一としたら。

現在の私たちは、インターネット世界の中で、本来の自分とは違う姿を(場合によっては複数)持ち、普段の生活では取らないような行動を仮想環境では取る事もできる。言ってみれば多重人格的な人生を送ることも可能である。

しかし、もし。何らかの情報管理エラー(マイナンバー登録ミスとか、戸籍データ改竄だって無いとは言えない気がする)で、仮想世界の自分が本当の自分と見なされてしまったとしたら、どうやって本当の世の中で暮らせるのだろう。情報爆発時代の中で、この映画を見ると、ちょっと冷静になれるかもしれない。トゥルーマンには誰もがなり得る状況になったと思う。

そしてある日、インターネットのスイッチが一斉にOFFになったら、ネット上の仮想的な人たちは全員姿を消す。私が最近気にしてるのは、そんな事件が世界中で同時に発生しないだろうかという事である、

情景描写など:

よき時代のアメリカの一般家庭。平凡で平和な日常が描かれている。その背景が次第に変化し大きな陰謀が露呈。海辺の平和な町の風景、幸せな過去の思い出、悲しい出来事との対比がサスペンスを盛り上げていく。喜劇俳優のジム・キャリーがシリアスに演じるものアンバランスで良い感じ。ラストシーンは、あっ、これ!思ってしまった。私も探したい。

キャスト、監督、スタッフ、制作会社など

キャスト
出演:ジム・キャリー、エド・ハリス(「Apollo 13」の)、ローラ・リニー(「ハドソン川の奇跡」の)、ノア・エメリッヒ、ナターシャ・マケルホーン(「ソラリス」の)

監督、スタッフ
監督:ピーター・ウィアー(「今を生きる」の)

制作会社、配給会社
制作:パラマウント
配給:UIP

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