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劇団あばば『偶発』

劇団あばば『偶発』
作:梅木祥平
演出:寝屋川真之介
出演:佐藤一馬、柴田鷹雄、澁川智代、三森麻美、寝屋川真之介、櫻井みず穂、ながはまかほり
劇場:ギャラリーLE DECO
観劇日:6月17日15:00~

東日本は梅雨の中休み。ずいぶん久しぶりに感じる強気の日差しにさらされた渋谷を歩いて、劇団あばば『偶発』を観に行きました。
しかし、梅雨の「中休み」って、なんかかわいい表現だなぁ。

75分間をあっという間に感じるほど引き込まれて見てしまいました。
具体的にどこが、ということは言えないのだけど、なんだか全体的におしゃれな印象を受けました。場所のせいかな。

大学サッカー部の選手1人&マネージャー2人、夫婦(と子供)、カップル(のち夫婦)のそれぞれが交互に、時には重なりを持ちながらお話が進んでいきます。


劇場は渋谷のギャラリー

渋谷駅から歩いて数分の場所にあるギャラリー(6階)が劇場となっており、窓から外の景色もちょっと見えるような場所。私は初めてこの場所に行きましたが、こういうところで演劇を見るのは面白かったです。

音響や照明、プロジェクターの操作も、客席から見える場所にあって、これもまた新鮮でした。
照明のボタンはクルクル回して明るさの度合いも調節できるタイプのものだった(と思います)。ギャラリーなので、普段は壁側を照らすのがメインで、今回は珍しく、電気の向きを変えて、部屋の中央とかを照らしたのではないだろうか?LEDにとっても貴重な経験だったはずだ……(何の話)

出てくる人がみんなかわいい

かわいいというのは語弊があるかもしれないのだけど、なんだかみんなに寄り添えるような気がしました。

特に、女性陣。自分が女性なので特に共感しやすかったのかもしれませんが。サッカー部マネージャー2人が、プレーする部員の姿(実際にはいない。客席後方)を目で追いつつ声出しをしている様を見て、つい一緒に後方を振り返りそうになってしまって恥ずかしくなったり。
あと、良助(佐藤一馬さん)。「ドタドタ」という文字が見えそうな感じで走る姿や松葉杖をついて歩く姿がなぜかコミカルに見え微笑ましくなってしまいました。退部の決意が、実際に部員の顔を見たら揺らいでしまって撤回…のところ、好きでした。
氏川と「父」(寝屋川真之介さんと柴田鷹雄さん)。2人でタクシー待ちの場面、好きでした。
オープニングも、エンディングのダンスも、かわいかった。

羽つきギョーザと羽つきたい焼き

氏川たちカップル(夫婦)のやり取りの中に出てきた「ギョーザ」と「たい焼き」。ギョーザについては「羽つきのやつがいい」という趣旨のセリフがあったと記憶していますし、たい焼きについては実際に羽がついていました。
最後に出てきた虹といい、おいしそうに頬張っていたたい焼きの羽といい、どこか「空」をつい連想してしまいました。
劇場の窓からも、(6階だったので)空が見えたなぁ。

※私はたい焼きファン(?)でもあるので、使用されたたい焼きがどこのメーカー/お店のものであるか、少し気になってしまいました。羽付きで有名なのは神田達磨ですが、渋谷にはないよなぁ。まあ多分、冷凍食品とかでしょうが……。

「パートナーのこの時の表情をきっと忘れない」と思えた瞬間のあるこの2人は、きっとこの先何があっても大丈夫という感じがします。いいな。

「偶発」

本作品では、重要なテーマとして妊娠が扱われていましたが、思えば(確率を上げたり下げたり、ある程度人の意思を介在させる余地はあれど)妊娠という結果自体が、人と人との出会い同様、ある意味「偶発」的な出来事だな、なんてことを思いました。
もちろん、タイトルの「偶発」には、接点のなかった2組が最後に偶発的に出会う、という意味が込められていたのだと思いますが。

・・・とまあ、観てきたことをぼんやりとかみしめるように反芻しながら駅を歩いていたら、よほどぼんやりしていたのが、正面から来た方と肩がぶつかってしまいました。これぞ「偶発」……じゃないや、ごめんなさい。





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