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【映画】マイ・ブロークン・マリコ

 最近SNSで見かけた「意味記憶」「エピソード記憶」についての話を思い出す。意味記憶の人はひとまず作品を隅々まで見て、すべて情報を入れた後から考えをまとめるらしい。エピソード記憶の人は自分が見た時の気持ちを大切にするためにネタバレを嫌うらしい。

私は自分のことをどちらかといえばエピソード記憶タイプだと思っているけれど、時々、見ている間にメッセージを受け取りきれず、もやもやーっとして数日後、ぽん、と考えがまとまることがある。

という少し長い前置きをしっかりと置いて。笑

 一冊の漫画が原作らしい「マイ・ブロークン・マリコ」という映画を見ました。

まずめちゃくちゃ役者がよかった〜。よかった。別に何が上手いとかは言葉にできないけどよかった〜。笑

原作の知識はまったく無い状態で観に行きました。

(とはいえ実を言うと9月に行われていた「文化庁メディア芸術祭」に足を踏み入れた時に少しだけ見ていたんだけれど・・・その時は後の用事があり時間に制限のある中で眺めていたし、とっさに出てこず・・・力強いタッチの原作表紙に見覚えがあるなと思って後から確認しました・・・。)

思ったよりサクッと見られてテンポが良く、あっという間に終わってしまったのだけれど、お芝居がよかったな〜と思いつつ、考えはまとまらないでいた今回でした。

※ちなみに内容の説明は特に致しません!そんなに深い話も致しません!公式サイトのあらすじで大体どんなお話か分かります。

最後のシーンでは泣いちゃったけど、それは主人公シイノとマリコにしか分からない思いがあって、それを交換し合っていた気がしたから、グッときたのです。

でも全体の感想としては何を持ち帰っていいのやら分かりませんでした。

描かれていたのは事実だけだった。

シイノの存在はマリコが置かれた状況にほとんど関与できない。結果死んでしまったんだもの。

それでもシイノといる時間はマリコにとって唯一の憩いの場であっただろうし、強い愛はもはや執着だったし。

年齢的にも無力で、あくまで赤の他人という立場で、しかし確実に“親友’’であったシイノ。

それにシイノにとってもマリコは唯一の存在だったのだけれど、これのシイノの気持ちがマリコに上手く伝わっているのかいないのか、そんなところももどかしい。あんな家庭環境の中、他人を信じることって相当ハードルが高い。

それでシイノは今からでもやれることないかって考えた。他人のためにここまでできる関係にあるって素晴らしいことだ。それでとにかく骨を奪って飛び出した。最後の二人旅をして、男と出会って、気持ちに折り合いをつけていく。

きっと大切なセリフを男が言っていました。

「死んだ人に会うには、生きるしかないんだと思います。」(お決まりのニュアンス記憶です)

窪田正孝さんのお芝居、素晴らしかったです。


人間は天涯孤独なんだと思う。

どんなに転職しろ!って周りに言われて自分もそうしたくても、自分に勇気が無きゃ現状は何も変わらないように。

どうしようもない環境の中、親友が近くにいたことは絶対にマリコにとって救いであったと思うけれど、それで現状を変えられるわけじゃない。

そもそもシイノに出会っていなかったらマリコは逃げ出してもっといい人生を送ったかもしれないし、はたまた父親を殺していたかもしれない。

でも人生は一度きり。パラレルワールドのことなんか考えたって仕方ない。そこに出会えた二人が生んだ絆は絶対に無駄じゃないと私は思いたいです。

また思い出した、舞台「ひりひりとひとり」のこと。

自分が出会った他人と、共有できることできないこと、救えること救えないこと、触れられるところ触れられないところ、色々あるけれど必ず何か影響を及ぼし合って、寄り添っていく。

それでだめだったらいなくなって、それを他人が止められるとは限らない。いなくなったことに気づかない人が大半の世の中で、でもそれが悲しい人は絶対にいるよ。

死んだ人に会うには生きるしかないし、幸せになるにも生きるしかないと思いたい。

私は親友とよぼよぼのおばあちゃんになるまで生き続けたいですね。

手紙の内容はシイノだけが受け取れるんだなきっと。原作はどうだか知らないけど。私はきっとなんてことない、いつもの手紙みたいなんだろうなって思っています。いつものなんでもない話と、少しのあいさつが書いてあったのかな?とか考えてます。これは蛇足だな。


つまり何が言いたいかまとまらないけど、私の中ではなんとなく、今考えたことが全てな気がします。

やっぱり人間はどこまでも孤独で
最後の二人旅はシイノがマリコの死を受け入れ、自分はこれからも生き続ける覚悟をするための時間で
二人が親友であった事実とそこにある時間は二人にとって大切な、かけがえのないもの。他人に干渉されない、言葉では形容しきれないいろんなもの。

きっと一緒に生きた人と、その人たちにしかわからない感情や時間を共有して生きていくんだ。生きていきたい。

まぁなんですか、色々言いましたが、サクッと見られましたし、なぜか前を向ける。観てよかったです。

個人的には、ダチが死んだから仕事どころじゃねえってハンドルを切れるシイノが潔くて憧れました。

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