国内新車販売が 1977年来の低調〜のニュースで思い出す46年前

5日の夕方には昨年の自動車販売統計を巡るニュースが相次ぎ飛び込んできました。
2022年の北米市場では国内メーカーが軒並み販売ダウン。コレはコロナよりも半導体不足に起因するもの。
また、かつての巨人GMがトヨタを上回った!という昔ならニュースにもならない案件も報じられました。

一方で国内新車販売台数は前年比5・6%マイナスの420万1321台で、1977年以来、45年ぶりの低水準となったそうな。
世界的な半導体不足や、新型コロナの影響云々は仕方ないとして、じゃあアース・ウィンド&ファイアーの曲で踊り狂い、ピンクレディー旋風が吹き荒れる最初の年、1977年のセールス状況はどうだったのか?

1973オイルショックから4年後、というより各社とも厳しさの極みみたいな昭和53年排気ガス規制を控えておおわらわの時期でした。
輸入車にはこれといった解決策がなく、軒並み牙を抜かれた高性能車には思いっきり逆風。ターボ車だけが頼みの綱みたいなものでした。

メーカー開発陣はクリーンなエンジン開発に巨費を投じたゆえ、ロクなデザインの車が生まれなかったのもこの頃。
タイミング的にはあの大ヒット=ケンメリ・スカイラインがスカイライン・ジャパン(GC210系)にモデルチェンジ、ライバル視されていたセリカも時を同じくして7年ぶりに刷新されました。が、どちらも先代ほどのインパクトはなくどちらかと言えば人気も下降線。
セリカはカリーナともコロナとも足回りを共有する兄弟車になり、コロナの前輪に使われていたダブル・ウィッシュボーンのサスペンションはいすゞジェミニや大型車に使われるのみとなります。コレもコストダウンの一環

スターレットも登場から4年を経て凡庸なスタイルの2ボックスに路線変更。先代のシャープなデザイン性は失せ、1300のオーバースペックな動力性能だけが売り物でした。
同様に73年組のサニーも全面刷新、水脹れした様なデザインは少々シェイプされ後方視界は著しく改善されていますが、完成度や人気ではどうだったでしょう?
サバンナ・グランドファミリアの車台を継承し、人気のある2ボックス路線に乗り換えたのはファミリアも同様。映画黄色いハンカチでの登板が役に立ったようで、後輪駆動ながらファミリア人気の地盤を築きます。

ギャランシグマの2ドア版、あるいはGTOの後継モデルたる、ギャラン・ラムダは一歩踏み込んでいたデザインが印象的です。SAE基準の角型4灯式のヘッドライトを初採用しフロントフードの先端を一際スポーティーに演出して見せます。一旦廃れていた角形ランプもここから息を吹き返し、セリカ、スカイライン、コロナ、ブルーバードも軒並み角形ライトに改変されてゆきます。

名車ブルーバード510の後継車だったはずの日産バイオレットが直線基調の510スタイルをリバイバル採用した上で3兄弟に増殖。サニー店のスタンザ、チェリー店向けオースターも中身はバイオレットで後輪サスペンションは安価な固定軸でした。サファリラリーにもこの固定軸で出場したのに、見事優勝。ラリーでの栄光を取り戻します。耐久性に依存せず、車軸もろともユニット交換する作戦が当たったのでした。

ところで排気ガス規制強化の陰で不振に喘いでいたのが当時の軽乗用車、水冷化4ストローク化、排気量増大でコストもアップし、石油危機由来のインフレも手伝って主な車種の価格は60万円台に及んでいます。新型車投入もままならず、今のように数百万台を売り上げる黄金時代は語り草。アルト47万円の出現(1979)までは地味な存在に終始しました。
つまり、軽だけで4割を超えるシェアを誇る現在とは市場の構成も価格帯も全く違った状況に置かれ、メーカーもエンジン開発に傾注しなければならない逆境下だったことを考えると、あの厳しい時代がまたやってきたのか!という思いは拭えません。

もちろん電動化だの温暖化ガスだのといった単語はまだ見受けられませんが、厳しい環境下だったことは意外な共通点・・・・

もっとも翌年(1978)にはサバンナRXー7や二代目フェアレディZ、セリカXXという魅力的なニューカマーが現れます。そして空前のスーパーカーブームの到来。所有もインフレも無縁な子供たちの夢は大きく背を伸ばしていったのでした。

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