結婚したら旦那さんホルモンが流れた
先日、籍を入れた。
つまり結婚した。
ただ、彼女とはもう2年近く一緒に住んでいる。
こんな状況なので結婚式は当分先。
当然、新婚旅行などは見通しが立たない。
子供ができたわけでもない。
とにかく、籍を入れたからといって日々が何か変わるわけではない。
結婚式やら新婚旅行は個人的には無くても良いと思ってたが、いざ無いなら無いで何かこう、締まらないなと思った。
籍を入れる日の流れも我ながら非常にスムーズだった。
相手家族の要望で写真館で写真を撮り、
市役所行って各種手続き、
警察署に行って免許書を更新し、
銀行に行って名義変更、
帰りは焼肉行って、いつもより500円だけ高いコースを頼んだ。
何てことない、普通に良い休日。
ただ、スムーズすぎたが故だろうか、一つの違和感が印象に残っている。
それは市役所でのことだった。
婚姻届を出し、手続き待ち。
禿げたベテランっぽい職員さんが、ゆったりと手続きをされていた。
暇だったので本を読んで待っていたら、しばらくして、その職員さんがしゃがれた声で嫁さんの名前を呼んだ。
「○○さーん」
自分の苗字だった。
数十分前まで△△さんだったのに、変わっていた。
そのように手続きしたのだ。当然と言えば当然だ。
ただ、その一瞬、体内に違和感が走った。
血液と一緒に、これまでに体内に存在しなかった物質が生産されたようだった。
ほんの一瞬、微量だった。
実際のところ、ただの感覚で、そんなものは存在しないのだろう。
ただ、都合良く解釈をすると、家族を作るにあたっての準備物質、旦那さんホルモンとでも呼ぶのだろうか。
とにかく今までにない、わずかな感覚が、自分の血肉になったようだった。
同時にこれからの生活は、このような小さな違和感の連続になるかもしれないなと、ふと思った。
これまで自分は一人だった。ただこれからは分身がいる。
その分身を通じての感覚は、恐らくこれまでにないものとなる。
これらを積み重ね、自分の血肉としていく。
もしかするとこれが結婚する、家族ができるという側面の一つかもしれないなと今は思う。
旦那さん1年目。
これら違和感を自分のものとし、良い家庭を築いていきたい。
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