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尾道一人旅(後編)

さてさて。尾道一人旅も後半へ突入。

三日目

三日目の朝はゲストハウスの朝食を食べた。和食と洋食を選べたのだけど、昨日の朝にモーニングでパンを食べたこともあり、和食を選択。

お米がとても美味しかった… お酒が残る体に味噌汁が沁みる

Aさんと合流し、この日は車で色々と連れて行ってもらった。まずは渡船に乗り、向島へ。読み方は「むこうじま」でも「むかいじま」でもなく「むかいしま」。

乗船料は100円
約3分で着く
偽物の(?)厳島神社

思っていたよりもずっと海が綺麗で驚いた。人が少なくてとても気持ちが良い。そのあとはUSHIO CHOCOLATLに行ってお土産に尾道ブレンドを購入。デザインも可愛い。

昭和5年創業の後藤鉱泉所
マルゴサイダー 瓶は返却

後藤鉱泉所にも行って、サイダーを飲んだ。かなり量が多くてお腹がいっぱいになったので、飲む人は要注意。

そのあとはAさんの友人がやっている雑貨屋さんや古着屋さんにも行った。尾道の色々な場所に行って思ったことは、尾道の人たちは選挙に対する関心がとても高いということ。どこのお店に行っても先日行われた選挙の話を耳にした。尾道の人間ではないのに、誰が出馬して何票差で勝った、負けたという情報を覚えてしまった。こういう部分からも、若い人たちが街づくりに貢献しているということが伝わってきた。

住田製パン工場でパンを買って尾道に戻る。私が泊まっているゲストハウスの奥にあるお洒落な本屋さんに行って、不思議なものを購入。

一通150円

「ロボット」「冷凍庫」「警官」なんかもあったので、買えば良かったなと後悔。面白いものを買えてよかった。

その次は路上でやっている喫茶店へ。ここの店主さんもまた、とても素敵な方だった。

ホタルイカとほうれん草のキッシュ

美味しそうなものが沢山並んでいて、悩んだ挙句、尾道産柑橘とキャラメルのケーキを食べた。紙に包んで渡してくれて手で食べるスタイル。面白い。店主の方の温かさが伝わってくるような優しい味。ホタルイカとほうれん草のキッシュも、Aさんは美味しい美味しいと言いながら食べていた。ここに座って話している間も、何人もAさんや店主の方の知り合いが商店街を通って、みんなが立ち止まって話をした。色々なお店が閉まるこの時間帯の、みんなの癒やしの場所のような感じがした。

続いてまた別の喫茶店へ。ルーロー粥というものを初めて食べた。

これもまた優しい味… だけど味がしっかりとついていて、美味しい。ペロリと食べてしまった。店主の方の娘さんも席にいて、楽しくお喋りした。前日の尾道みなと祭りでも踊っていたらしく、踊りを披露してくれた。可愛い。

土曜日にやっていなかった念願の洋酒喫茶ロダンに再チャレンジ。

とても神秘的な内装。店内は貝殻と古いレコードプレーヤーなんかが沢山。ご夫婦の奥さんの方に「胸のブローチも貝殻ですか?綺麗ですね」と言うと、ニコニコと笑っていて可愛らしかった。最後には貝殻のストラップもくれた。嬉しい。

その次は、Tさんに勧められていたタコヤキバーへ。「Tさんにお勧めされて来ました」と伝えると、「あら、そうなんですね」と笑顔の店員さん。

たこ焼きは沢山種類があった これはプレーン

少し飲んだ後お店を出て、また車で向島へ。東京よりもよく星が見えた。仰け反って星を見て首が痛くなった。帰る流れだったけれど、なんとなく私もAさんも同じことを考えていた。土曜日の夜に行っていたお店にまた行くことに。

店内を覗くと、お昼に行った路上喫茶の店員さんもいた。また会えて嬉しい。この日は土曜日とは違い、私たちもいれて8人のお客さんがいた。店主の方に「覚えてますか?」と聞くと「また来ると思ってましたよ」とニコニコ。そんなこと言われたら嬉しくなっちゃう。色々な話をして、ビールを飲んで、この日は気付いたら3時になっていて驚いた。同じゲストハウスに泊まっている人がいることも発覚して、面白かった。

この日知り合った男性の喫茶店に次の日に行くことになる。こうやって毎日がつながっていて、本当に面白い。お酒が入っているからだろうし冗談混じりなのはわかっているけれど、また尾道に来てほしいだとか住んでほしいなんて言ってくれて、すごく嬉しかった。

帰り際、寂しくなって店主の方に「私の名前忘れないでください」と言って何度も名乗っていた。「もしかして潮騒の潮に音って書くんじゃないですか?」「お!よくご存知ですね」とかいう茶番もして。迷惑な客だ、すみません。ノンアルコールでこんな時間まで一緒に過ごしてくれたAさんにも本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。Aさんがみんなを車で送ってくれる。車を動かすと葛飾ラプソディーが流れ始めて、アンマッチすぎてみんなで笑った。本当に良い夜だった。

四日目

昨日お店で出会った同じゲストハウスに泊まっていた方と朝ラーメンを食べに行った。なんとTさんのご両親がやっているお店。

若干二日酔いの体に染みる味。一緒に食べた方とは食べ終えてすぐに別れた。名前も知らない。27歳ということだけ昨日の会話で知っていたので「歳上に見える」と言われて驚いた。昔から「大人っぽい」と言われすぎて、何歳になったら年相応になるのか気になる。

ゲストハウスをチェックアウトしてお昼を食べた後は猫の細道へ。でも猫は全然いなかったし、他の場所の方が沢山いた。以下、この旅中に出会った猫ちゃんの写真。

夜の新開にて
少し太ってた
警戒されてこの近さが限界
気許しすぎ
可愛い位置にいる二匹
すぐに離れてしまったツンデレ猫ちゃん
大体毎日ここにいた

猫の細道に行った後はしばらく海を眺めながらぼーっとした。近くに海があるっていいな。毎日眺めたい。そのあとは昨日知り合った男性の喫茶店へ。

この線路側の細い道を行く みんな迷うらしい
浅煎りのアイスコーヒー
深煎りのホットコーヒー

静かでお洒落な内装の店内にはクラシックが流れていて、自然と小声になる。楽器や店主の方の描いたイラストが飾られている。「今度描いていい?描きがいがありそう」なんて言われた。中学生の頃に美術の先生に描いてもらったことしかないので、人に自分を描いてもらえたらとても嬉しいと思った。そしてこの方の絵もとても味があって素敵。尾道は素敵な方ばかり。

他のお客さんのいない時間に外に出て話した時間がとても良かった。心地の良い風に吹かれながら、線路と電車と民家を眺めていた。この光景と時間を忘れずにいたい。旅の終わりを感じる。

ついつい長居してしまって、コーヒーを二杯も飲んでしまった。せっかくなのでコーヒー豆も購入。深煎りをお願いするといくつか候補を出してくれて、少し木の匂いがすると言われたものを選ぶと「お目が高い」と言ってくれた。尾道で知り合った人と会うのもこれが最後。とても名残惜しかった。

「次はいつ来るの?」
「夏はクーラーが効いてないお店が多いって聞いたんですよね」
「じゃあ六月がいいよ」

これはもう、六月に行くしかない。気分屋なので、どうなるかわからないけれど。

お土産を購入して、海と尾道の街並みに別れを告げる。大好きな街になった。さよなら尾道。最初の一人旅の場所が尾道で本当によかった。旅の終わりで高揚しているからだとわかっているけれど、少し涙が出そうになった。

初めての一人旅は結果的に最高の旅になった。初日にTさんに出会えたことを訪れた色々な場所で「レアだ」「運が良い」と言われるたびに、今までと違う旅の楽しみ方ができていると感じてワクワクした。初日の雨とお祭りで先が思いやられたけれど、この日程で尾道に来ていなかったら出会えなかった人や過ごせなかった時間が沢山ある。出会ってくれたすべての人たちに感謝したい。夢みたいな四日間だった。

私は猫に会うと「ぎゃー」と言うという、どうでもいい発見があった。もう一つは、ずっと一人は嫌なのだということ。なんだかんだ私は人と話すのが好きで、寂しがりなのだと思う。でも一人で自由に行動できる気楽さも好きだから、我儘な人間なのだ。そしてこの旅で、私は色々と考えさせられることがあった。ここにまとめられる気がしないので、それはまた次回。

私と出会って一緒に時間を過ごしてくれた人たち、本当に本当にありがとうございました。

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