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バレンタインの思い出の話。

今年もやってきましたよ。暦でいちばん甘い日が。

きっと学生服を着込んだ君たちはドキドキして今日一日をすごしたことでしょう。とてもいい事なので、その時間大事にしてくれ。

さて、当然僕にもそんな時代はあったわけで、どちらかと言うと澄ました顔して「興味ねーよ」とかいうタイプだった僕も内心、どこかで期待してるんですよ。イベントの突発的開催にね!

そんな多感な中学生の頃の話です。いつも通り自転車で通学し、下駄箱で靴を履き替え教室に向かった僕ですが(いつも通りとは遅刻ギリギリの意)教室のドアを開けた瞬間いつもと空気が違うことに気づきます。

最初はバレンタインの浮ついた空気かと思いましたが、何かおかしい。男どもが1箇所に集まって教室のドアの方を一斉に見てるわけで。つまり僕の方をみてる。

「はて?」と思いながら、自分の席に行くと、なんと机の横に紙袋がぶら下がっているではありませんか。男衆の視線が集まってるので、表面上はクールを装いましたが、心臓はバクバクです。

遅刻ギリギリな僕なので、中身を改める時間もなくHRが始まってしまい、結局中身を見るのは一限終わりの10分休憩のことでした。

中学生男子なので、他人のチョコ事情を積極的に気にすんのはダセーと思っているのか、直接それは誰からかとは聞かないものの、チラチラと視線を感じる中、紙袋の中身を見ると、そこには小さな手紙と....僕のジャージが入っておりました。

当時の僕はバスケ部に所属してまして、外周を走らされた際校門付近にジャージを忘れてしまったらしいんですね。

それを見つけた女子バスケ部の優しい先輩が届けてくれたという次第だったわけです。

そして手紙には「忘れてたよ!ついでにバレンタインなのでオマケにチョコレートを入れておきました」と書いていました。

割とみんなが憧れる先輩だったので、オマケだとしても少し嬉しかった僕はなんとなく、遠巻きに見つめる友人たちに「ジャージ届けてくれただけだったわ」と苦笑いをひとつして、ジャージの下に赤い板チョコを隠しました。

別にその先輩が好きだったとかそういう訳でもなかったのですが、恋愛経験なんてろくにない中学生なので、おまけのチョコを可愛い先輩から貰えるだけで胸が跳ね上がって舞い上がってしまった、少し恥ずかしい思い出がある。という話です。

僕はホワイトデーにホワイトの板チョコを1枚だけ返して話は終わり。というだけです。そう簡単に漫画みたいなイベントは起きません。

でも、結果的にはなんでもなかったけれど、僕にとっては少し秘密の特別な話です。

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