オウルン戦記 新3話
1☓☓3年より8年前
イーバン高校内にて
ミツエはミツオとして高校生活を送っていた。
ミツオは既に高校でトップの成績を抑えていた。特に優れていたのは銃器の分解作業だった。
彼のメカニックに対する共用は凄まじく、肉体的戦闘を愛するマルティーダ王の娘とはとても考えられないほどに、ミツオはS国の国民になりきっていた。
もう言葉を発せないプリンセスが存在していたことなど誰も覚えていない。
「そろそろS国軍の募集が始まったな」
ミツオは高校唯一の親友であるオイカワに声をかけた。
「らしいな。まぁ、俺は死んでも行きたくないがな。」
オイカワは戦争反対派の平和主義だった。
ただ、他者に対する共感性を著しく欠損させたサイコパスであることは、ゴウ・ミツオと同じであった。
「なぁ、ゴウ。なぜって、君はさ、こう争いごとが好きなんだい。」
オイカワには普段は優等生のインテリぶっているミツオが、戦争を愛するアウトローだと気づいていた。いや、もっというとその正体がプリンセス・ミツエであることも承知であった。
「ふ、それはね。争いを愛するのは男の宿命だろ。あと、兵役は愛国心を示す絶好の機会でもあるからな」
ミツオは気取って答えた。
「全く君は僕の手には負えないよ。全く勝てない」
「そんなことはないさ。異性だった頃の俺よりは、君は絶対強い」
「争いはもう結構、それよりも新しいヌーベルズのドラマの話をしようよ」
「あぁ、そうだな」
戦争の話ができなくなってミツオは少し悲しくなりそうだったが、サイコパスなので、結局何も感じなかった。クレイジーだろ?
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