Episode.IV コールド・ファイター

西暦1☓☓3年。
タカイド国 タカイド軍 K研究所内にて。

ゴウ・ミッツバーンは部隊の仲間達を引き連れ、化学研究室No.9の前に立っていた。
研究室のドアは木製で、先ほどの銃撃による影響か、半分は吹き飛ばされており、半開きになっていた。
しかし、室内は真っ暗で、漆黒のインクの底のような暗闇が広がっていた。
「おい、シッバー。ライトを照らせ!」
そう、ミッツバーンが言うと、
「へいへい。わかりやっしゃー」
と言って、シッバーは猫背姿で背中を搔きむしりながら手に持った大きなライトをつけた。

バチン…


すると、突然研究室全体が真っ白な明かりに包まれ、研究室の隅から銀色の小さな作業机と、そこで静かにパソコンを操作する白衣の男の後ろ姿が見えた。
遠くから見ても、男の体はとても小柄に見え、髪の毛は四方八方に広がり、寝癖は直していないようだった。

うわ!

突然の光に一同は戸惑い、少しばかりのうめき声をあげた。

そうすると、男はどうやらミッツバーン達の事に気が付いたらしく、突然後ろへ振り返り、

「お~~~~~い!! 皆元気かぁ~~~!!!」


と、かすれたしゃがれ声を大きく振り絞って、手を振りながらゆっくりとミッツバーン達の前へと向かっていった。

「ハハハハ、どうやら無事ここまでたどり着けたようだなァ。いやぁ、おじさんも心配したよぉ。よかった、よかっt、ん?う”ぉ、おい、何をする!ぐぁっ、も、もがァ!!」

気付けば、男の口にはライフルがねじ込まれていた。

「ぅお、ぅおヒぃ、んあ、ぅおい! んんん~、あ”、あ”あ”ぁ、あぁあああん! おぃひいぃぃ! は、はん、はんぁなひぃ、はなひぃをさせろ、ひぃい! おまへぇ、はなひぃをさせろぉと、ひぃッているだろぉおお!!」

もがく男に対して、
「ぁああん? おめぇが、なに言ってんのかなんてよぉ! こちとらサッパリ分かんねぇんだよぉ、このボケナス!!自分がやってきたことが何かよく分かってんのかぁ?この裏切り者ォォ!!!」
と、シッバーはキレ気味に返事を返した。

すると、ミッツバーンはシッバーの肩を掴み、

「まぁまぁまぁ…落ち着きためへ、シッバーよ。こいつの罪状については軍の者に後で適当に任せておけばよい。今我々に問われているのは、どのようにしてこいつから計画についてを聞き出し、そして、その後どうやって殺すかだ」
と答えた。

すると、
男はヨダレまみれの口からライフルを吐き出し、
「おぇええ… はぁ… はぁ…はぁ… あのな、お嬢さん方、はぁ…はぁ… 私は何も計画について話さない気なんて最初から無いんだからな、言っておくが、はぁ…はぁ… 私はむしろ待っていたぐらいだ、この計画についてお嬢さんに話すのを、はぁ…はぁ… なんたって、絶対ですからな、はぁ…はぁ… あのDr.ドクタークニミツの命令は…」

Dr.ドクタークニミツ?

まさか…
と、ミッツバーンは思ったが、到底信じられなかった。
なぜなら、奴はもう既に死んでいるはずだからだ。
そう、Dr.ドクタークニミツは、




「お前さんの父親だよ…」



つづく→

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