飛田&パートナーズ法律事務所

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このBlogでは、飛田&パートナーズ法律事務所所属の弁護士が、情報発信型の法律事務所を目指して、法律及び法律実務の解説、法律に役立つ時事ネタの提供、法律に関する書籍・映画などの紹介をしていきます。 当事務所へのお問合せ 電話番号:03-6228-4647(代表)

最近の記事

AIでの契約書審査

◆弁護士 飛田 博 2023年2月6日 日経新聞朝刊15頁 「法テック、普及8割超」「AIで契約審査など 質には不満も」「『使いこなす力』課題に」との見出しの記事から。 (飛田コメント)  AIによる契約書審査のサービスは私も使ったことがあります。そのときから、既に技術は進んでいるのかもしれませんが、私が思うところ、①AIが審査できる契約書の類型が、秘密保持契約とか簡単な不動産売買契約といった比較的ひな形が出回っているものが多く、したがって、我々のような実務家から見ると

    • 誤認惹起表示

      ◆弁護士 飛田 博 2023年1月16日13時41分配信 日経新聞電子版 (飛田コメント)  不正競争防止法違反(誤認惹起表示)の疑いというのがめずらしいと思って、この記事を取り上げました。  記事によると、この自転車は、こがなくても時速6キロで自走するのでミニバイクとしての登録が必要で、電動アシスト自転車としての基準に適合しないのに、インターネット通販サイトで販売する際に「電動アシスト自転車の決定版」などと広告をしたとのこと。詐欺罪のようにも思えますが、消費者が実際に誤

      • 個人情報保護委員会、初の刑事告発 破産者サイト運営

        ◆弁護士 飛田 博 2023年1月11日 日経新聞電子版20時配信の記事から (飛田コメント)  記事にあるとおり、破産者の住所や氏名は官報に公告されますが、これを本人の同意なくデータベース化すると個人情報保護法違反となり、刑事罰の制裁もあるということですね。  ただ、根本的には破産者の情報を官報に載せるのが適当なのか?という問題はありますね。かつては、官報をチェックする人はごく少数の人にとどまっていたと思われますが、インターネット社会の進展により、このようなサイトを介し

        • 特殊詐欺

          ◆弁護士 飛田 博 遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い致します! それでは2023年最初の記事です。 2023年1月6日日経新聞電子版17時45分配信 「特殊詐欺情報に最高100万円 兵庫県警、摘発へ全国発」との見出しの記事から (飛田コメント) 私は、基本的には民事事件専門ですが、刑事事件のうち国選事件だけは、弁護士になりたてのことからずっと取り組んでいます。昨年は特殊詐欺(昔のオレオレ詐欺)のケースも扱いました。 特殊詐

          嫡出推定規定の改正

          ◆弁護士 飛田 博 2022年12月11日 日経新聞朝刊27頁 「再婚後出産、現夫の子に」「嫡出推定で改正民法成立」「明治以来初 無戸籍解消へ」との見出しの記事から (飛田コメント)  改正民法では、離婚後100日間の再婚禁止規定は廃止、離婚後300日以内に子供が生まれた場合、原則として前夫の子として推定し、例外的に子供が生まれた時点で再婚していた場合には現在の夫の子供として推定するということになったようです。改正前は、離婚後300日以内に子供が生まれた場合、母が他の男

          被害者救済新法

          ◆弁護士 飛田 博 2022年12月12日 日経新聞朝刊3頁 「洗脳下の寄付 一定の抑止」「被害者救済新法 違反には罰則」「成立優先、抜け道なお」との見出しの記事から (飛田コメント)  記事中では、この問題の専門家の弁護士から、信者は宗教の使命感や責任感が根付いて寄付に至ることが多く、困惑しているケースは少ないから、「自由な判断ができない状況」など、より範囲の広い文言を規程すべきとのコメントがなされています。私も具体的な裁判の場合で、「困惑」をどのように立証するのか興

          性別変更に手術が必要か?

          ◆弁護士 飛田 博 2022年12月8日 日経新聞46頁 「性別変更に手術の必要性」「最高裁憲法判断へ」「性同一性障害」 性別変更には手術が必要とする性同一性障害特例法の規定について憲法に違反するか判断する。最高裁は2019年、この規定を「合憲」としたが、判例が変更される可能性がある。 (飛田コメント)  性同一性障害特例法から手術要件を外すということは、男性であるか女性であるかを、身体的特徴で分けるのではなく、その人が自分のことを男性と思っているのか女性と思っている

          性別変更に手術が必要か?

          著作物の二次使用

          ◆弁護士 飛田 博 2022年12月6日 日経新聞朝刊1頁 「権利不明の著作 二次使用促進」「デジタル市場拡大へ 一元窓口」「名作もSNS動画も」 (飛田コメント)  現行制度でも、権利者が不明の場合、文化長官の裁定を受ければ、二次利用が可能になるらしいのですが、手続きに時間がかかるので、新しい制度を創設するという話のようです。私としては、権利者は明らかになっているが、ある出演者の同意がどうしてもとれないので、デジタル配信ができないような例の解決策がないのかな?と思うと

          同性婚についての東京地裁判決

          ◆弁護士 飛田 博 2022年12月1日 日経新聞朝刊47頁 「同性婚制度なし『違憲状態』」「東京地裁『人格的生存の脅威』」「法整備、立法に議論促す」「結論は『合憲』、賠償認めず」との見出しの記事から (飛田コメント)  記事を読む限り、ちょっと乱暴に言うと、同性婚は『子を産み育て、〔中略〕次世代につないでいく人間の営み』がないから、国が同性婚制度を設けなくても違憲とは言えないが、同性愛の人々にも「家族生活に関する『個人の尊厳』」は保障しなければならないから、パートナー

          同性婚についての東京地裁判決

          同性婚裁判

          ◆弁護士 飛田 博 2022年11月27日(日)日経新聞朝刊27頁 「同性婚の憲法判断注目」「東京地裁で30日に3件目判決」「認めぬ法規定 札幌「違憲」、大阪「合憲」」との見出しの記事から。 (飛田コメント) 同性婚裁判の論点がわかる良い記事だなと思いました。 「同性婚は認められるべきか?」と問われると、色々なアプローチの仕方があると思いますが、裁判上の議論では、日本の法制上、同性婚が認められていないことが、憲法に違反していなか?という形で議論されることになります。科学

          就活「替え玉」

          ◆弁護士 飛田 博 2022年11月23日 日経新聞朝刊3頁 「就活『替え玉』容疑の男逮捕」「ウェブ試験の弱点露呈」「企業、不正対策悩む」 (飛田コメント)  私的には、ウェブ試験の替え玉受検が私電磁的記録不正作出・同供用罪(刑法161条の2)に該当するとされた点に興味を引かれました。  一般的な感覚としては詐欺罪(刑法246条)ですが、この場合、騙す行為によって、騙された人(企業)側から何か財産を得たり、経済的利益を受けたわけではないので、詐欺罪とすることが難しいので

          ファスト映画による著作権侵害

          ◆弁護士 飛田 博 2022年11月18日 日経新聞朝刊2頁 「ファスト映画 賠償5億円」「無断で短縮版 再生1回200円算定」「東京地裁命令 利益大幅に上回る額」との見出しの記事から (飛田コメント)  インターネット時代になり、安易な著作権侵害が横行し、それによってクリエイターが稼ぐことができず、結局、優秀な人たちが映画界に集まらず優れた作品もできなくなって、最終的に(回りに回って)損をするのは我々一般の人間ではないかと思いますので、著作権侵害については厳しい対応が

          ファスト映画による著作権侵害

          共同親権

          ◆弁護士 飛田 博 2022年11月16日 日経新聞朝刊2頁 「離婚後の共同親権3案」「法制審、単独親権維持も併記」「割れる賛否 提示優先」との見出しの記事から (飛田コメント)  私は、従来から、現行の単独親権は時代にあわなくなってきており、日本も、共同親権を原則とするように変更すべきであるとの意見です。  記事によると、共同親権に反対する意見の理由は、夫側のDVや虐待が離婚後も続くことを心配してのようなのですが、そのような例外的ケースは、個別に夫側の親権を外す手続を

          Big deal

          ◆弁護士 飛田 博 2022年11月11日 日経新聞夕刊1頁 ・「オリックス、DHCを買収」「3000億円 事業継承で最大級」との見出しの記事から ・「そごう・西武の売却決定」「セブン 米ファンド・ヨドバシに」との見出しの記事から (飛田コメント)  この日の夕刊1頁には、あとふくおかファイナンシャルグループと福岡中央銀行との経営統合に関するニュースが載っていました。このようなBig deal(大口案件)のニュースを読むと、私は、職業柄、どこの法律事務所が担当している

          名誉毀損の賠償額

          ◆弁護士 飛田 博 2022年11月11日 日経新聞朝刊43頁 「伊藤さん中傷 賠償額上積み」「高裁、漫画家らに命令」との見出しの記事から (飛田コメント)  実務弁護士として言わせていただくと、賠償金額が低すぎると思います。110万円とか22万円では弁護士費用にも達していないと思われ、実際には、原告側はこの判決を得るために持ち出しになっているでしょう。  つまり、損害は補填されていないのです。他方、被害者側からすれば、110万円とか22万円ではあまりペナルティになって

          事件記録廃棄

          ◆弁護士 飛田 博 2022年11月10日 日経新聞夕刊9頁 「事件記録廃棄で聞き取り」「神戸連続児童殺傷当時の家裁職員に」「最高裁」との見出しの記事から (飛田コメント)  裁判所の職員は基本的にルールを守るので、この件では、「全国的に社会の耳目を集めた事件」は永久保存という最高裁のルールが各地の裁判所にどれだけ浸透していたか?が怪しいのではないかと思います。つまり、「知らなかった」可能性が大いにあるのでは?  神戸の連続児童殺傷事件は、私の世代では「全国的に社会の耳