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#13 コンフォートゾーンとは言葉によって形作られる

 Goalという概念を理解するにあたり、コンフォートゾーンという言葉は、非常に有効なツールとなります。
 Goalとは、必ず現状の外に設定しなければならない、とは以前の記事で説明しました。
 
 https://note.com/491ki4_gentian/n/ne9ca6f781797
 
 Goalが現状の外であるならば、コンフォートゾーンとは現状の内側になります。
 
 コンフォートゾーンとは、心理学的用語で「快適な空間」を意味します。
 これは、コーチングにおいて、非常に重要な用語です。何故なら、私たちは全員コンフォートゾーンの中に生きているからです。
 
 あなたの家族や友人、あなたの仕事、もしくは学校、趣味や好きなもの、あるいは嫌いなもの。そんなあなたにとって重要なものの集合体が、コンフォートゾーンです。
 
 私たちは、コンフォートゾーンの外に出ようとすると、なんだか落ち着かなくなります。
 例えば、英語を学びたくて英語教室に入った時、あなたは緊張するはずです。
 ソワソワして、身体がギクシャクし、英語を学びたいと思うと同時に、早く家に帰って『安心したい』とも思うはずです。
 
 何故、そうなってしまうのか?
 それは、コンフォートゾーンが慣れ親しんだ空間だからです。
 例えば、初対面の人間よりも、昔の友達の方がずっと内心を理解できるし、対応にも困りません。
 脳は面倒くさがりなので、どうすれば良いか分からない未知よりも、既に対処法が分かっている既知を好み、未知から逃げ出そうとするのです。
 つまり、人はコンフォートゾーンの中でしか、自らの能力を発揮することができず、IQも下がります。
 
 そして、コンフォートゾーンについて、コーチングを日本に広めた苫米地博士は、このように説明されています。
 
(引用開始)
 
 その人にとって心地良い領域、コンフォートゾーンは、セルフ・イメージによって決められています。セルフ・イメージはその人にとって重要なことの集合とも言えますが、それゆえに人は、セルフ・イメージが崩れてしまうようなことを防いだり、避けたりします。その逆に、セルフ・イメージに合致することには進んで取り組みます。
『コンフォートゾーンの作り方』
 
(引用終了)

 
 つまり、私にとって適切な職場、適切な収入、適切な学校、適切な友人関係、適切な恋人。
 私が自らに相応しいと思える環境こそが、コンフォートゾーンなのです。
 
 脳は、主にこのセルフイメージによって作られたコンフォートゾーンを、維持しようとする働きをします。
 例えば、テストの平均点が七十点の場合、偶然ヤマが当たり九十点を取った場合、脳はどのような行動を取るのでしょうか?
 
 答えは、五十点を取り、点数の帳尻を合わせるです。
 
 冗談みたいな話ですが、本当の話です。
 脳は、まるでエアコンの自動運転のように、あなたにとって快適な空間を維持します。
 重要なのは、脳が快適かどうか認識しているかです。
 あなたが今の環境にどれだけ不満を感じ、ストレスを抱いていたとしても、脳にとってそれは関係ありません。
 
 脳にとっては、「分かっている」ことが快適なのです。
 だから、変わることを拒否します。そのラインこそが、現実がセルフイメージに沿っているかなのです。
 現実がセルフイメージに沿っているなら、脳は満足します。
 逆に、現実がセルフイメージから乖離してしまったなら、脳はクリエイティブな思考で、現実をセルフイメージに一致させようとします。
 
 例えば、それは、子供が学校を休みたくて、仮病や別の理由を必死に見出すみたいに。
 脳は変わらない為に、クリエイティブな思考を働かせます。
 
 コーチングは、この脳の原理を逆用します。
 
 つまり、脳がセルフイメージと現実を必死に合わせようとするならば、セルフイメージの方を理想の自分に寄せてしまえば、良いのです。
 すると、脳はこのクリエイティブな思考を、現状を理想の未来に変える為に、働かせることになります。
 
 ここで大切なのは、私たちそれぞれが、そもそもクリエイティブな人間である、という認識です。
 一流の人間は、そのクリエイティビティを理想の未来を実現させる為に働かせて、私たちは不満のある現状を維持する為に働かせている。
 違いは、ただそれだけです。
 
 では、どうやってセルフイメージを変えれば良いのか?
 その疑問に答える前に、そもそもセルフイメージが、どのようにして形作られるかを知りたいと思います。
 
 シンプルな答えを提示するならば、セルフイメージとは言葉によって形作られる、と私は答えます。
 “セルフトーク”という概念です。
 セルフトークについては、苫米地博士はこのようにお書きになります。
 
(引用開始)
 
 セルフ・トークを何度も繰り返すと、それが自分とはこういう人間であるというセルフ・イメージをつくります。 セルフ・イメージとは、私たちが自我と呼んでいるものです。 実際には一度しか起こっていない出来事でも、そのことについてのセルフ・トークを繰り返すと、何度もそれを経験したのと同じように、つい自分の自我に取り込まれてしまうわけです。 他人の意見も、同様です。他人の意見も、何度も繰り返しそれを聞かされることによって、セルフ・トークと同じ効果をもたらします。何度も聞かされる意見は、それが本当の事実と異なるものであっても、人間の無意識はそれを拒否しようとしません。 「確かにそうかもしれない」というセルフ・トークを生み、それがセルフ・イメージの中にじかに取り込まれてしまいます。 そうすると、あたかもそれを体験したかのように、ブリーフ・システムに取り込まれ、自我ができてしまうということなのです。 他人の話を聞いているとき、人は、話している人の言葉に対して3倍の速さで自分自身に言葉を発します。それが、話がやんだときには、6倍の速さになります。 このマインドの内部で起こる会話は、煙のように消えてしまうことなく、脳の神経細胞に蓄積されていきます。 その結果、たとえそれが事実と異なる言葉であっても、そんなことはお構いなしに、あなたのブリーフが強固になっていくわけです。

『まずは親を超えなさい』
 
(引用終了)

 
 上記の通り、セルフトークとは非常に重要な概念です。
 言葉が、私たちの存在を規定します。
 セルフトークが、「私は素晴らしい」と語りかければ、あなたのセルフイメージは『私は素晴らしい人間だ』になります。
 逆に、セルフトークが、「私は何もできない」と語りかけるのであれば、あなたのセルフイメージは『私は何もできない人間だ』になります。
 
 脳はセルフイメージに現実を合わせようとするので、セルフイメージ次第で、あなたは素晴らしい人間にも、何もできない人間にもなってしまいます。
 
 故に、セルフトークはとても重要な概念なのです。
 冗談ではなく、セルフトークによって、あなたの人生が決まります。
 
 セルフトークによって、セルフイメージが生まれます。
 そして、セルフイメージによって、コンフォートゾーンが形作られます。
 ならば、セルフトークとコンフォートゾーンは、同一とも言えそうです。
 
 コンフォートゾーンとは、つまり、あなたの使う言葉そのものでもあります。
 私たちが使う言葉を変えれば、コンフォートゾーンも同様に変化します。
 大袈裟な表現をするのであれば、世界が変わります。
 何故なら、コンフォートゾーンとは、あなたにとっての世界でもあるからです。
 
 だから、あなたが初めに、自らに語りかけるべきなのです。
「私は素晴らしい」
「私はなんでもできる」
「私は大きな人間になれる」と。
 
 たとえ今そんな風に思えなくても、そう語りかけることで、あなたは本当に素晴らしい人間になっていきます。
 その手法こそが、アファメーションです。
 アファメーションとは、未来に対する宣誓です。それはまるで、結婚式の誓いのようです。

 アファメーションの詳しいことについては、また別の記事で。
 
 それでは、また。
 

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