2月某日、欠片

「次はー、〇〇ー、〇〇ー、」
1つ前の駅ではっと目を覚ます。
カードの残金を見た。
行先まで必要なのは1166円、入っていたのは1045円。
あー足りなかったか、と寝起きの頭でぼんやり思った。
100円と少しの金額が足らなくて、私はたどり着けないのかーと思った。
いや、別に乗越でチャージすれば降りれるのだが。

多分そんな感じだ、私の人生。
せっかく前もって入れて置いたのに足りなかった交通ICカードみたいに、連れて行ってくれないものに中途半端に託すんだ。
まあ別に、それが悪いとも思ってはいないけど。

精算機にカードを突っ込むと130円と表示されたので小銭入れの中を探る。
入っていたのは50円玉2枚と10円玉が1枚、それと1円玉が何枚か。
こんなとこまでか、思わず笑いながら、5000円札と50円玉を入れると、ガシャガシャと音を立てて4000円と小銭が返された。
返されてから、別に50円玉は入れなくてもよかったような気がしたが考えないことにした。

改札を出る。
2月の空はまだ寒い。

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