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議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書/2年間のメイキングプロセスを全公開

はじめに

2017年1月に発売開始したグラフィックレコーディングの教科書が、なんと7刷りになったとのことです👏本当に嬉しいことです!

この本が出来上がってから2020年の今まで、実はすごく不安でした。

(考えてることが伝わるのか...?実際にこの本を読むことで本当にある程度グラフィックレコーディングのスキルが身につくのか...?机上の空論にならないか?スキル部分だけでなく、深いビジョンは伝わるのか...?)

実際、多くの人に広まった一方で、誤解やぶつかりも同じくらい生まれました。分野が未成熟の状態でグラフィックレコーディングはじめ、ビジュアルランゲージが社会での信用を失ってしまうのは悲しすぎるので、その度、ポジショニングトークにならないよう、あくまでフラットに色々な意見をその時々に表明する日々が続きました。

「意味も良さもわからない」というツイートが溢れた日のまとめ

「グラレコ / グラレポ / フォトレコ / 生グラレコ  」
略された言葉がもたらした文脈を整理

色々ありすぎた日々なので、あまり冷静にこの本を直視することができませんでした。本を出したこと自体が時期尚早だったのか?とかネガティブになることもありましたが、最近やっとこの本を出したことを良かったなと思えるようになってきました。

地方のワークショップでボロボロになるまで読み込んだ方、付箋が沢山貼ってある方、自分のやってることは今まで学校の先生に怒られててやっちゃいけないことだと感じてたけど、本があることで堂々とできるようになったと話してくれた方。

たくさんの読者の方と実際に出会って、今まで不安だったことや、沢山の誤解が生まれて奮闘してたことが、しっかりと足場になって多くの人が議論を可視化する領域に力強く踏み出すお手伝いができたのだと実感できるようになりました。そしてBNN新社の村田さんと一緒に作った書籍をちゃんとに直視できるようになりました。

そしたら、うん。
これはとても良い本だと思う。
かなり良い本です。

今日は、この書籍を作るにあたって、どのようなプロセスで言語化をしていったのか?どんな箇所を気をつけながら制作したのか?どこがデザインポイントなのか?色々と振り返りながら解説していきたいと思います。

グラフィックレコーディングの教科書を読んでくださった方、購入しようか迷ってる方、これから何かの本を作ろうとしてる方、色々な人の参考になれば嬉しいです。


2013年3月 / ペチャクチャナイトで拙すぎる失敗プレゼン

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ペチャクチャナイトというイベントがあり、なんというかTEDのカジュアル版のようなムードの会。Tokyo Graphic Recorder として活動し始める記念に応募して話してみることに。プレゼン下手すぎて黒歴史なのですが、言いたいことの本質は今もあまり変わらない。

リアルタイムで描くビジュアルを使うことで、物事の様々な面から見れるようにサポートして、ぶつかり合いを良いノイズとして捉える価値観で実験していきたいということ。感覚的だけど、やりたいことはすでに見えていた。

2013年10月 / 言語化を頼まれるが答えらえない事件

Tokyo Graphic Recorder として活動し始めて半年。いつものように、あるビジネスプロジェクトでグラフィックレコーディングを頼まれた。その時の担当者はビジュアルの効果を十分理解していたが、他のメンバーにも説明するために「グラフィックレコーディング」の一体何が良いところなのかを文章で欲しいとの要望を頂いた。私は困った。意外と言葉にならないのである。

「リアルタイムで記録するから、うーん、色々捗るんですよ。ファシリテートにもなりますね。。。」

みたいなふわっとした感じ。
図に書いて見たけれど、下記のような状態

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この赤い矢印の中で何が起きているのか?青い点線はなんの境目なのか?人々の間には何が生まれているのか?グラフィックはどのように描いて、どんな効果や影響があるのか?

わからないことだらけだった。

めも

私はひとまず、色々と書き出し、説明を始めた。

2014年8月 / 本のプロトタイプを作ってみる

初めての言語化から1年半、様々な場所でグラフィックレコーディングの仕事を依頼されるようになった。私は色々な手法や発見を毎回得ながら、仕事のたびに説明していたが、一回まとめた方がいいな、と思って、下記の方法で記録してみた。思いついた時に、自分が実際に生んだ価値や技術をランダムに書き溜める。

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そしてできたのがこのプロトタイプだ。ダーティ。

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私はこれを本にしたいと感じた。そして多くの人に届けたいと。インフォグラフィック・エディター 櫻田さん、多摩美でお世話になった永原さん、信頼できる2人の人に相談したところ、なぜか同じ編集さんの名前が出たので、その人のところを訪ねることにした。村田さんだ。


2014年10月 / コンセプトとストラテジーを考える

村田さんに会いに、BNNへ。
「この本を出してあなたはどんな風になりたいの?」的なことを聞かれたような気がする。グラフィックレコーディングはどれだけビジネスに役に立つのか?という説明を期待されるかと思ったら、拍子抜けだった。

そのあと何度か打ち合わせして、企画書が通り、書籍ができることになった。今はなき、青山ブックセンター六本木店をウロウロしながらどの棚に置かれたいのか?イメージしてみようという打ち合わせをしたり、ゼロからイメージを作り上げるのはとても楽しかった。

村田さんより蓮實 重彦さんの齟齬の誘惑という本を紹介していただいた。自分ではたどり着かない書籍。特に「齟齬」という漢字には大きなインスピレーションをもらった。

まずは目次ということで、こんな物を作ったりしてた

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硬い本にはしたくなくて、かといってユルすぎる本にもしたくなくて、この時、目次の参考にしてたの筧さんのソーシャルデザイン 実践ガイドだ。森に例えてみんなをガイドしていく目次がとても素敵だった。


2014年10月 / コンセプトをテキスト化

目次をなんとなく作りつつ、この本のが出ることでどんな世界になるのかをイメージしながら、ビジョンとミッションを作った。このことはここで初めて書く。ものすごく大きなビジョンとミッションである。この本で達成できたかは分からないけど、今でもこれは変わってない。

■VISION
思考し続ける人を増やす。
人間関係から生まれる重なりと隙間に遠慮して、偽りの共感ばかり示して、本質的な違和感を示せない組織や集団の関係を減らしたい。不確定事項が多い時代でも、思考を止めないようにみんなで生きていきたい。仮にAIが発達した後世でも思考停止で行った大きな間違いを残したくない。

■MISSION
視覚言語の存在を多くの人に広めて、
ビジュアルで不確定事項が多い問題に取り組める人を増やす。

HOWではなくWHYを深められるようにしたい。問題に対する解釈を安易に終わらせず、深くしてから、答えを考えたい。一人一人がより良い未来を諦めず、ポジティブに行動できるようになる手助けを行う。エンパワメントする。

思考は、善悪を区別する能力であり、美醜を見分ける力を強くする。
(映画『ハンナ・アーレント』より )

※まだ自分の言葉で適切に言語化できる域に達してないので割愛するけれど、私がこの本を出す大きなモチベーションになってる考えは、ハンナ・アーレントの思想に強く影響を受けている。気になる人は下記の記事読みつつ、映画を是非みてほしい。


2014年11月 / 読者のas-is/to-beを考える

大きなビジョンミッションができたところで、1つの商品として、どんな価値があるのかを言葉にしていく。村田さんの問いかけで、描ける自分と描けない読者との距離感が見えてきた。
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■読者の変化
as-is (恐ろしくへたくそでイライラするレベル)から
to-be (そこそこ上手で自分でも楽しめるレベル)へ連れていく

■読者のゴール
読者が議論の可視化を実際に試してみたくなる
・「これは有効!」
・「自分もできる!」
・「私も描いてみたい」
・「応用できそう」
・「書けるようになる」

■どんな存在?
本質的な考え方をインストールしてくれる
細かいことでは無く、大きなフレームワーク
フレームワークを自分で埋めていくイメージ
今後どんなシーンでも応用可能。習得する価値があると思わせる。
全体感をつくる
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2014年12月 / ビジョンが実現するための制作指針を作る

この書籍でどんな世界が作りたいのか?誰に何を届けたいのか?見えてきたので、ではどのように実現するかの指針を考えた。色々な図解やインフォグラフィックの本を読みつつ、評価が高いものと低いもの。なぜそうなるか?傾向を分析した。色々と織り交ぜながら、今回の書籍は3つの方針で進めていくことにした。願いだけでは読者に届かないので、具体的な方法を同時に考えて、指針とした。これがものすごく役にたった。

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願いその1 - (読者が取り組む価値を感じられるように)
→方法 / なぜグラフィックレコーディングが良いのか?を伝える
👍GOOD / 明確で、シンプル、腑に落ちる説明にする
🙅‍♂️BAD / シンプルと見せかけて、内容が薄い、中身が全くない
・抽象的な崇高な概念と具体例はセットで示す
・道具などみんなの目に見えるものをしっかり記述する
・手書きメリットを(DATA←→STORY)で、しっかり記述する
・納得度を高めるロジックや数字や事例のファクトを用意する
・時代背景や海外事例
・読みやすい文章、直感的な図解を心がける

願いその2 - (読者が使用シーンを自分ごととしてイメージできるように)
→方法 / どんなシーンでどんなことが可能なのか?を伝える

👍GOOD / 具体的な事例をなるべく多くみせる 
🙅‍♂️BAD / 事例と見せかけて、レイアウトのテンプレート集
・親近感のあるシチュエーションや悩みを調べ押さえる
・読者の悩みに合う事例を揃え、明確に系統立てて分類する
・具体的な会議のシーンを解決できる事例にする
・レイアウト別の特徴が学べる

願いその3 - (読者が本気でやってみようと感じられるように)
→方法 / 的確に使いこなすにはどうすれば良いのか?を伝える
👍GOOD / どうやれば良いのかがイチから丁寧に描かれている
🙅‍♂️BAD / 丁寧すぎて、少し考えればわかる当たり前のこと
・どんな道具を用意すればいいのか?
・なぜこの図解を使うのかの意味が書かれている。
・作成の手順がどうやればいいのかやコツが書かれている。
・最終的な具体的使用法が、解説されている。
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2015年1月 / イメージを作る

あとは書くだけ!一瞬でできる!
そう思ったのは間違いでここからが地獄のはじまりだった。
文章が書けない。
村田さんは「書き下し」という言葉を教えてくれた。
ひとまず雑でいいので、頭の中にあることを、どんどん外に出していこうと。

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なんか企画書のような書き方はできても、文章にならない。そもそも多くの人に向けて本など書いたことないので、キャラ設定から謎で迷う。これは本である、本です、本なのだ、本だよ〜ん。難しい。

私は作戦を変えて、ひとまず言いたいことを全部一冊のスケッチブックに書き下すことにした。文章ではなく図で。

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なんとなく見えてきたが、スケッチブックなので、前後の編集ができない。

2015年3月 / 図解を書きためる

無印でバインダーとルーズリーフを買ってここに書くことに。どんどん見えてくる。しかし文章は依然としてゼロである。

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2015年6月 / ワークショップの内容を反映

コピー用紙で全体構成を考えながら書く。全体でやりたいこと伝えたい情報が絵でまとまってきた。

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2015年8月/デザイナーさんに会いにいく

村田さんのご紹介で、デザイナー前田晃伸さんの事務所を訪問。空間と空気がカッコ良すぎてこの時のことはあまり記憶にない。


2015年9〜12月 / 執筆が進まない...!

前田さんのカッコ良さと経歴にビビってしまったのか、良いもの作ろうとしてプレッシャーなのか、普通に文章が苦手なのか?キーノートに叩きを作ろうと、画像と文字を合わせて作る。
あっという間にできるはずと思ったのにできない。。。

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2016年1〜3月 / 相変わらず執筆が進まない...!

ツールがいけないのかと、ワードにしたり、web形式にしたり、色々試行錯誤するが、キーワードだけが並び、文章にならない。村田さんは打ち合わせで話してることをそのまま文書にすればいいのだよ、と言うが、人前では出る言葉も一人になると全く思いつかない。どうしたら出てくるのか。

村田さんはこのリンクを教えてくれた。

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この絵本の中のムカデのようになってしまった私。困った...!


2016年4月 / グラフィックルールを考える1

なんでできないのか?ここで頑張って文章を書けばいいのかもしれないけど、この時の私は煩雑なビジュアルのせいだと考えたっぽいです。もはや4年前なので別人ですが、時間がないこの状況で、文章ではなく、ビジュアルの検討に入るところが、もはや興味深いビジュアル脳です。

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言いたいことは沢山書けたけど、絵のトンマナがバラバラで気持ち悪くて、安心して文章が書けない...!ずっと見ていたい奥深い情報を発する絵を開発せねば...。と試行錯誤。

2016年6月 / グラフィックルールを考える2

この時期に絵なんかやってていいのか?
でも、その勘と直感は正解でした。言いたいことの半分をグラフィックに語らせることに成功したのです。

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書籍を持っている方はご存知だと思いますが、
青と赤と黒
メインでこの3色以外は使っていません。これはオシャレとかではなく、

・黒は目に見える物理的なもの
はグラフィックレコーダー
は目に見えない人々の関係性や声

という分類になってます。
視覚言語による感覚的な情報伝達も試みたのですね。これらを”インフォグラフィックモジュール”と名付けて、一貫したルールで活用してみました。文字でしっかりと理論を説明しつつ、全体をパラパラと見るだけでもなんとなく解るという体験を作ることにしました。
そしたらどんどん進んで行きました。視覚言語的な作戦が成功です。

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また細かいこだわりだけど、グラフィックレコーダーは、清水風の女性にしてたけどやめた。全部書き直して、ニュートラルなツルツル人間にした。この書籍でグラフィックレコーダーは若い女性だというバイアスがかからないようにと、細かいところだけど気を配って修正した。

2016年8月 / 文字と絵を組み合わせた状態で執筆

グラフィックモジュールを当てはめて、今まで書きためたスケッチをどんどん清書して、どんどん文字が進みました。

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半分くらいは文字ではなくグラフィックモジュールがこぼれ落ちた意味を拾ってくれるので安心です。これは、すごい発明品でした。どんどん進む。時間だけが足りない。停滞時期はなんだったのか?
執筆だけでなくワークショップの仕事もたまに入る。その時の発見はギリギリまで詰め込んだ。

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特に秋田でのワークショップはビフォアー/アフターの事例として非常に重要な資料となりました。本当に感謝です!

2016年12月 / 原稿がデザインされてゲラになる

ゲラになります。たぶん本来ならば、ここの時間をゆっくりとるのでしょうが、もうギリギリまで待たせてるので余裕がありません。大急ぎで確認して村田さんに修正のお願いをします。

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2017年1月/ 表紙を考える

BNN名物、発売直前は手書きのサムネイル。こちらも直前まで色々要望を伝えさせていただき、自分でイラストを書くことに。

手書きサムネ

いろいろあり、よくわからないけど、5時間くらいで書かなきゃいけない事案に。自分は美大受験の時に3時間で目の前にないコップや花や動物を組み合わせて本物のように鉛筆だけで書いていたじゃないかと。大丈夫だよ、パソコンあるから上手くいくよと、泣きながら自分で自分を励ましながら、表紙になる絵を作成。

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できたのがおなじみこれ。

何故この絵かと言うと、グラフィックレコーダー自身のイラストを大きく書きたくなかった。グラフィックレコーディングすることで生まれて、伝わっていく情報と変化する関係性を描きたく、このような全体像になった。もちろんここでもグラフィックモジュールの意味合いは生きている。また登壇している人は全員スーツではなく、色々な立場のゲストが話すカンファレンスが増えるといいな、と願いを込めて、THEスーツの人、女性的な人、自由っぽい人、を混ぜ込んだ3人にした。話してる人たちもなるべく多様な人を入れたつもりだけど、今なら車椅子の人とかも描いたかもしれない。多様な人を表す絵は難しい。

2017年1月/ 帯をかいていただく

書籍のP134に載ってる事例の「本当に本当にデザインすべきもの」のイベントでお世話になり、尊敬しているNOSIGNER(ノザイナー)の太刀川さんにコメントを書いていただいた。

図示する力を身につけよう。
可視化することで初めて、人は目に見えない関係性を理解できる。

素晴らしいメッセージ。本当に感謝です。


2017 1/27 ついに完成!!!

そしてついに発売...!
よかった〜〜〜〜〜〜!

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本

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青山ブックセンターではビジネス棚とデザイン棚の二箇所で並べてもらいました。ビジネスとデザインを横断する存在だったのでこれは本当に嬉しいことでした。

amazonでも、ビジネス企画部門で1位に。
(3年経った2020年2月現在の今日は7位にいる。落ちない順位にグラフィックレコーディングの広がりを感じます。)

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そこから3年、多くの方に届いているようです。
本当によかった。
この後、私はこの書籍の内容をより深めて考えるために、藝大修士で本格的に研究を始めることになるのですが、その話はまた今度。

執筆時間を多く取るためにできること

普段のプロジェクトを綺麗にまとめておく
 ーいつ、だれと、何のために
 ーどんな課題があったか
 ーどんな成果があったか

本を出し慣れてる方は、
普段から意識して活動をまとめている人が多いとのこと

Face with Tears of Joy

この2年、いろいろと泣き笑いな一年でした。

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ちなみに、オックスフォード辞典主催2015年ワード・オブ・ザ・イヤーに
選ばれた泣き笑いの表情をあらわす絵文字とのこと。選んだ理由として、2015年に世界でもっとも多く使われたらしい。
世界中でこの絵文字が使われてると思うと元気出ました。


苦しいときに

励ましてくれた本…夏目漱石から松本清張、村上春樹など、90人の書き手による悶絶と歓喜の〆切話94篇を収録。論文、連載、などの執筆活動で
日々苦しんでる方必見です!


最後に

起きたできごとを描写する。これは簡単なようで非常に難しい。そして実は、私は何かを読むことで技術を獲得した経験が少ない。デザインの本で何かを習得したことなんて本当はないのだ。常にやりながら空間ごと飲み込んできた。

だから、読むことで技術を習得する体験を作ることには本当に苦労した。読むという行為は思った以上に複雑な仕組みで動いている。読むことで実際の体験を再現することは、どこまで可能なのだろうか?

またソクラテスは書き言葉の普及を非難したと言われている。

ソクラテス自身はただの一語も書き残さなかった。プラトンの『パイドロス』に記されている。ソクラテスが挙げたとする理由を信じるならば、書物は積極的かつ批判的に理解する作業を省いて、"知恵があるという誤った思い上がり"を抱いた弟子を作り出してしまうとソクラテスは考えていたからだ。ーマーサ・ヌスバウム

プルーストとイカー読書は脳をどのように変えるのか?
メアリアン・ウルフ (著), 小松 淳子 (翻訳) P109より引用

複雑に脳内で起きてること、空間で起きてること、社会に生まれる影響力。私はこの書籍で文字と視覚言語で適切に起こせただろうか?

3年経って良い本だと思えるようになったが、体験を深く伝えるための手段として文字は本当に適切なのか?文字からこぼれ落ちた感触を視覚言語によって拾い上げることはできるのだろうか?

2000年以上前のソクラテスの問いについては今も悩むところがある。

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ムカデとヒキガエル最後のページより。
とはいえ、言語化することで豊かになることも沢山ある。
その価値を信じて、これからも懲りずに、消えてしまうできごとを言語に記して残していくことを続けていこうと思います。

PS.

執筆活動や情報発信で日々苦しんでる方、
ビジョン/ミッション何を伝えたいかよくわからなくなってる組織の方、
人の案件の整理は得意です。
お仕事として、いつでも相談にのります。
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