繋がりと優しさ

人と会う予定がたくさん詰まった休日だった。土日フルで詰まっていた。久々だった。

土曜日の朝に、人と会った。翌日、僕が所属している所謂「まちづくり」団体でフリマ出店することになっていて、それに使うためのテントや机の受け渡しをした。集合場所の近所に大好きなパン屋があり、行かないかとみんなを誘ってみたところ、乗り気になってくれた。まさかの臨時休業でパンは食べれなかったが、朝に集まってパン屋に行けるような間柄の人がいるという事実が嬉しかった。

僕たちは朝9時に集まった。普段はこんなに早くから外に出ないので、1日が長く感じられて良い。これは小さな、大きな発見だった。次の予定まであと2時間。2時間。たっぷりだ。普段行かないところにあるコンビニに立ち寄り、コーヒーを買って飲んでみたり、周辺を散策したり、本を返しに図書館へ行ったり。借りたり。贅沢な時間を過ごした。

11時からは、別の友人とランチ。初めて会う人もいた。趣味の話をたくさんした。学生時代やっていたようなオタク談義に久々に花を咲かせることができて、嬉しかった。

ランチ後は翌日のフリマにむけて不用品の整理をした。

日曜は朝からフリマ。悪天候というトラブルはあったけど、みんなで協力して乗り越え、高い売り上げを出すことができた。

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「人の優しさ」に触れた休日だった。それは地元に帰ってから最近すっかり忘れていたものだった。

土曜の朝、フリマ日は都合が悪く出れないメンバーが、テントや机を貸してくれた。朝早かったし、集まった内のひとりは隣の市に住んでいる。それなのに、嫌な顔ひとつ見せなかった。

日曜、荷物運搬のメイン担当だった僕が荷物を乗せたキャンピングカートを引っ張って歩いていると、段差があるところで物が落ちないようにメンバーが支えてくれたり。普段あまり一緒にいないメンバーが、子どもやいろんな人に分け隔てなく自然に接することができる人であると知ったり。人と一緒に何かをすると、知らなかった良いところがたくさん見えてくる。帰りに荷物を僕の車に乗せる時も、ひとりでやるつもりだったのに、みんな手伝ってくれた。

体調を崩している間、自分を信じることができず、人のことを信じることができなくなってしまった。団体のメンバーのことも、怖く感じてしまったことがある。みんな何も悪いことしていないのに。一時は信じられなくなってしまった自分に対して強い後ろめたさがある。今も。そもそも、そこまで話したことがないメンバーもいたから、一緒にフリマをやってて「何を話そうかな」「いろいろ話したいけど気恥ずかしいな」という時間が多々あった。

2年前まで僕は長野にいた。長野にいるとき「渡邉さんはいろんな人に合わせられるんですね!」とか「コミュニケーション技術が高くて羨ましい」とか言われることはあったけど、全然そうは感じなくて。昔は人見知りだったし、今だってそうだ。それに合わせた中には「心から自分がそうしたかったからそうした」もあるわけで、それを「合わせるのがうまい」といわれて、当時はすごく悲しかった。

話を地元に帰った後に戻す。メンバーには年上もいるけど、年が近ければ僕は自ら敬語を外すようにしている。異性であっても。壁をつくりたくないし、仲良くなりたいからだ。でもひとつ気恥ずかしいことがあって、それは「ありがとう」と言うことだ。

「ありがとうございます」は誰にでも言えるけど、「ありがとう」は、年上や、あまり接した時間が長くない人に対して言うのは、気恥ずかしさがある。今日のフリマは「ありがとう」と思う瞬間がたくさんあったけど、全部は言えなかった。裏を返せば何回かは言うことができた。メンバーからも「ありがとう」をもらった。距離が縮まった気がして、嬉しかった。

みんなの力を借りて、フリマは成功した。

帰宅後、車の中の汚れが気になった。雨や泥にまみれたテントを積んだからだ。濡らしたタオルで車内をくまなく掃除をしていると、以前なくした眼鏡を見つけた。お気に入りで、なくした時はすごくショックだった。眼鏡は、ずっとここにあったんだ。

きっと、人の優しさもそうで、そこあるものなんだ。なくなってなんかいなかった。自分が気づいていないだけだった。

僕の周りの人たちは優しい。僕が思っている以上に。善意は時に人を傷つけてしまうことがあるのも知っているけど、受け取って「心地よいな」と思える優しさを持っている人が、僕の周りにいる。

今までの自分は気を張り詰めすぎだったな。それがメンバーに伝わってしまうことが今まであったと思う。今日だって「いろいろ話したいけど気恥ずかしいな」が伝わってしまったと思うし。

ちょっと肩の力を抜いてみようかな。

もっと、メンバーといろんな話がしたい。
素直に「ありがとう」って伝えたい。


心地よい疲労感とともに、布団の温もりに包まれながら、スマホで文章を書いています。秋も終わりに近づいているけど、いまはあたたかい。




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