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産まれたての匂い

初めての出産。
産声を聞きようやくほっとした。赤ん坊は看護師さんの手できれいにされ、生まれたばかりの我が子を胸に抱く。
やっと生まれた感謝とともに、なんともいえない独特な匂いを感じた。

出産から数時間後、痛む体をひきずってトイレに行き、悪露の始来をした。
さっき抱いた赤ん坊と同じ匂いがした。
その時、あの子はたしかに、わたしの子だ。わたしの体から産まれ出たのだ、心からそう確信した。

今も時々その匂いを記憶から取り出すことができる。

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