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「サウンド・オブ・メタル-聞こえるということ-」を観て。

原題:Sound of Metal
邦題:サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-

監督:ダリウス・マーダー(2019)

あらすじ: ドラマーのルーベン(リズ・アーメッド)は恋人ルー(オリヴィア・クック)とロックバンドを組み、トレーラーハウスでアメリカ各地を巡りながらライブに明け暮れる日々を送っていた。しかしある日、ルーベンの耳がほとんど聞こえなくなってしまう。医師から回復の見込みはないと告げられた彼は自暴自棄に陥るが、ルーに勧められ、ろう者の支援コミュニティへの参加を決意する。(引用)

感想:欲してる音と必要としてる音。

実家で暮らしてた時は、誰かしらの話し声や生活音、テレビの音、それを遮るためにイヤホンをすることもあり、静寂なんてことは滅多に無かった。街に出ても広告音や信号の音、車の音、誰かの話し声、携帯の着信音、歩く音。音で溢れ返っている。現代人は、文明の音の中で生きている。

冒頭のミキサーの音やコーヒーが落ちる音、シーツの擦れる音など。生活音がとてつもなく美しく愛おしく描かれていて、支援コミュニティへ行く道中の鳥の鳴き声や葉が風で揺れる音など、何気ないものを綺麗に撮っていた。

ただ、その一音一音が大切なんだよ、と言ってるわけではないと思うこの映画。

そして、聾者へ対するお涙ちょうだいでもない。ルーベンが徐々に音が聞こえなくなっていく過程や手術後の音の聞こえ方など、観客にもその世界を見せてるあたりがとても新しい。

ジョーの言っていた、難聴は治すものではない、という言葉。残酷だなあと。もともと聞こえていたルーベンからしたら更に。難聴もその人の個性。

サウンド・オブ・メタル = 鋼の音。
鋼の音、とは、手術後の聞こえる世界の音だったのではないかな。割れるような鐘の音、人混みの中では上手く聞き取れない恋人の声。そんな恋人の歌声はあの頃のメタルロックとは違って美しい綺麗な声。ルーベンの欲してた音と必要としていた音は違っていた。

父の元で暮らすルーの落ち着いた雰囲気。彼女もまた、欲してた音と必要としていた音は違っていた。リスカの傷跡も掻きむしることもなく。過去のことを思い出してく過程など、彼女目線の話もぜひ見てみたい。

お互いの必要とする「音」が違っていたとわかり、「もう十分だよ」と言うルーベン。ワタシも大号泣です。

聞こえる残酷な世界から、機械を外して静寂な世界へ。静寂は彼を救ってくれるのか。

支援コミュニティでルーベンが少しずつ輪に入れてく過程とか、子供との触れ合いとか、ドーナツ潰す場面とか、全てが素晴らしい。

ルーベン演じたリズ・アーメッド。冒頭の自暴自棄のときの表情と、コミュニティを出て行くというジョーとの会話の表情。ジョーの言う通り、ドラッグ中毒者のような異様な目を同じように表現してるのが素晴らしかった。手術後の戸惑いの表情も素晴らしい。ナイトオールというサインネーム、素晴らしすぎる。でも、アーメッドさんのお顔って基本優しいんだよなあ。

ルー演じたオリヴィア・クック。映ってるシーンは少ないけど、確かな存在感。眉毛あって髪も整えてるとめちゃくちゃ可愛いんだなこの人。。

ジョーもよかった。この人の存在感は素晴らしい。この人はもともと聞こえなかったのか?静寂について悟るまでどれくらいかかったんだろうなあ。

その後の彼らはどうなったのか。
ルーベンは自分が必要としている音は何なのか見つけられるのか。そして、ワタシ自身が今必要としてる「音」とはなんなのだろう。今の環境の自然音であって欲しいと願う。

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