紅が似合う彼女

高校時代、恥ずかしいと顔が赤くなる子がいた。

その子はとても美人で、同性受けするさっぱりとしたきれいさがあった。

漫画(とくに少女漫画)では照れたのを///で表現するように、うぶな頬に紅がのるのをうっとりと見つめていた。

周りはあかーいと言ってからかい、さらに首や耳に染め広がって、手で振り仰ぐことも珍しくなかった。

わたしは彼女をからかいたいわけでも、そばにいたいわけでもなく、日ごろ観察させてもらってる感謝をこめてきれいだと言いたかった。

本当に彼女は教室内でミューズだったから。

ふいにそのときがやってきて、可愛いねと言った。

彼女は少し戸惑った風に返してくれた。

やはり可愛くチャーミングだった。

頬の赤さはあまりわからなかった。

蛍光灯の光が明るくて、観測に失敗したのではなく、わたしが多分忘れた。

彼女の顔をあかーいと囃す同級生と同じかそれ以下のことをやってしまったと思った。

それ以来、話してもちょっと控えめに、適切なタイミングで可愛いというようにしたけれど、彼女に可愛いは伝えられなかったように思う。

記憶の中でやはり彼女は快活に笑い、頬を紅潮させてきれいだ。


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