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映画『ザ・キラー』の感想

※ネタバレありです。

『セブン』や『ファイトクラブ』『ゾディアック』などで知られるデヴィッド・フィンチャー制作監督の最新作『ザ・キラー』
神経質な殺し屋が主人公。
主演はマイケル・ファスベンダー

フィンチャーといえば
以前ドラマシリーズの『ハウスオブカード』『マインドハンター』も面白くて夢中になって観てました。
残念ながらハウスオブカードはケヴィンスペイシーが途中離脱(理由は割愛)してしまい、はぁ?な結末だったけれど。
マインドハンターもシーズン2で終了となります。(続編楽しみにしてたのになあ)
この『ザ・キラー』制作の為の打ち切りだったらしいので
ならしょうがないとまだかまだかと新作を待ってました。

フィンチャーの映像はとにかくスタイリッシュ。特にモノクロの画にはこだわりを感じ、演出や構図で「あれ?これもしかしてフィンチャー?」と気付いてしまうほど。


MV監督時代の代表作。

nine inch nailsのレズナー氏とアティカス・ロス氏のコンビは
ソーシャルネットワーク、ドラゴンタトゥーの女、ゴーンガール同様、ザ・キラーでもスコアを手掛けています。
そして今回はNetflixで視聴。
映像も音楽もめちゃくちゃ楽しみで、ウーファーを効かせ音響効果も1mmも聞き逃さない環境で観ました。

序盤から暗い暗い重低音と共に完璧と言っていいほどの準備をする殺し屋。
どんなスペシャルな仕事を見せてくれるのだろうか。と思わず前のめりに。
その時はゆっくりと少しずつ近づきます。
不穏な音響がますます心臓の鼓動を激しくし、ここからどんな展開になるのか目が離せない状況に…。

そして緊張感をほぐす為なのか、それとも煽る為なのかイヤホンを装着し聴く音楽は…

とりあえずThe Smiths
何をする時もThe Smiths
失敗してもThe Smiths
飛行機の中でもThe Smiths

標的の画になるとハッキリ聞こえる音。
殺し屋の画になるとシャカシャカ音。
このカット変更が頭が気持ち良く混乱してしまいました。
音楽をよく知ってるだけに。

フィンチャー曰く
「心を静めて無心になる瞑想テープとしても気に入ったし、愉快で面白いと思ったんだよ」

うーん笑
全く映画と合ってないようですが、
実は一曲一曲の歌詞が、主人公の輪郭〜人格を少しずつ形成していくように思えたのです。
ちなみに主人公(の彼女?)自宅ではポーティスヘッドを聴いてたようで。

長くなるので音楽の話は置いておいて。

そして…!
ついに!
一気に緊張感が溶けます。

うっかりミス。
えー。
この神経質な男がミスるんです。
今まで何件も片付けてきたであろう案件があるだろうに。
この容易周到にきっちり終わらせてくれるものだと思った仕事を…。
当然失敗した自分を狙う人間もいる。
一瞬崩れそうになりながらでも、少しの焦りで持ち直す。
そして、やられたらやり返す。
守るものはただ一つだけ。

いつでも準備OK、名前もパスポートもいっぱいあるよ。
決して自分の匂いを残さないよ。
使った物はゴミ収集車に放り込むよ。
的な感じでスピード感の中で立ち回る。
そして猛犬も熟睡させる。(途中起きるけどね)

・計画通りにやる
・予測する
・即興はしない
・感情移入するな
・誰も信じるな
・対価に見合う戦いにだけ挑む
その他:糖質、炭水化物は摂らない

マイルールを散々聞かされた理由が最後に分かった気がしました。

結局はどんな「仕事」に関しても同じなのではないかと。
失敗続きだけど、それを糧にまた倍にしてやり返すくらいの気持ちがないと本当の幸せは訪れない。
後は絶対に自分のルールは曲げない。

ありきたりな表現だけど、少しだけこの映画にヒントを頂いた。
自分もここまでストイックじゃないと生き残れないんだろうな‥。
失敗は人生においての勉強。
そこから学ぶものが無いのなら、神様はそんな試練はわざわざ与えたりしない。
でも納得いかない事には行動しないと、最後に後悔するのは自分だからな。
と言われている気がしました。

マイケルファスベンダー、アイルランドの出身の俳優です。
とにかくふっつーの人の演技が上手い。
とても殺し屋なんかに見えない。見えたらマズイし。
それにかなり今まで見た好きな映画に出てるのを知り驚きでした。
ドラマシリーズのバンドオブブラザーズ、エイリアンコヴェナント、イングロリアスバスターズなどなど。
どれも好きな映画です。
また見直すことにします。

ザ・キラーも、フィンチャーの演出によって、物凄い特別な人間に見えてくるから不思議です。
第一章は、映像的にも緊張感を味わうのにも何度も見たくなる映画でした。

The Smithsに関しては、歌詞の意味も並行してまた見直す事にして。
この映画はひょっとしてスルメかもしれない。
あと何回見るかな。








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