お金の足りないインドの日常

 ナマステ!じゃなくてワナッカム!
 今年もインドにやってきました。
 聖山アルナーチャラのそびえる南インド、タミル・ナードゥ州の聖地、ティルバンナーマライに滞在しています。
しかし今年はいつもと様子が違う!突然の新紙幣問題、そして州首相ジャヤラティタの死去、チェンナイを襲ったサイクロンなど、タミルナードゥは荒れ模様....

 チェンナイ空港に降り立ち、まずは両替しなくちゃ!と窓口に並ぶと、レートなどは一切表示されていない。「両替は最低40ドルマックス80ドルね」とそっけなくおっちゃんに言われ、80ドル渡すと返ってきたお金は4500 ルピー。通常は100ドル渡せば6500前後にはなるから、そのレートの悪さにまず驚愕。渡航前から、とにかくATMは大変なので、ドル紙幣を持参するようにと言われ、円安なのに泣く泣く多めに両替したのに...これじゃ一体1ルピー何円になるんだろう・・・?考えたくない。

 予約したタクシーで空港を出たのは午後10時半、ここからティルバンナーマライまで約4時間。長旅で疲れ果て眠りこけていると、真夜中にドライバーに叩き起こされた。 「さあ、ATMだ。夜中だから空いてるぞ!」
ぼんやりした頭を振って外を見ると、確かに煌々と明かりの灯るATMには数人しか並んでいない。ドライバーはちょっと愉快そう。「昼なら1時間以上待つんだぞ、さあ行こう。」

それでもATMにはひっきりなしに人がやってくる。そそくさと列に並びお金を手にすると、ほっとしたように帰ってゆく。一回に引き出せるお金は2000ルピー。違うカードだとまた引き出せるということで、手持ちの3枚のカードを使って6000ルピーを引き出した。

渡航直前に友人に海外旅行保険のことで勧められ、急いで2枚クレジットカードを作ったのだが、こんな風に役立つとは!何だかお金集めゲームみたいだけど、これで当面は何とかなりそう。

 それから、会う人にお金のことについて尋ねたが、人々はそれぞれ何とかやりくりしている、という感じ。男性なら夜中にATMに行くという手も使える。有力者に知り合いがいれば、結構どうとでもなるらしいし、そういう人が大家なら外国人でも大家を通して両替してもらい、ATMには並ぶ必要がない。でも庶民は大変そう。いつも朝ごはんを食べに行ってた食堂のおばちゃんは、毎朝ATMに1時間並んで2000ルピーを引き出して必要なものを買う、とのこと。

 おばちゃんが作る普通の家庭料理が食べられるこの店は、長期滞在の馴染みの客が多かったが、今年は全くの閑古鳥らしい。短期滞在の旅行者は、隣のピザなどが食べられるカフェで食事して数日で町を出るが、長期滞在者はお金を使いたくないので外食しなくなったと。

 確かにいつもは人で賑わってるカフェも、全く人がいない。注文するものもみな、心なしか控えめ。一方カードが使えるスーパーやレストランは人が大勢客が来て賑わい、みんながカード払いをするので、店員は大変そう。
 でもこんな状況なので、いくらカードが使えるといっても、無駄な買い物は何となくしたくない。普段は気にしないで買っている100ルピー前後のお茶や化粧品なども、本当にこれいるのかな、と一息考えて買う癖がつく。
 ふらりと店に入って何か買い物をする、ということも何だか気がすすまない。楽しく買い物をする、という空気感が全くないのである。

 ちなみにデリーやムンバイでは出回ってるらしいPaytm というお財布携帯もここでは全く使えない。ドルの両替もレートが悪い。一番いいのはとにかくATMでお金を引き出すことだよ、と町の人は言う。聖地の田舎町のせいか、paytmしかり、機械を導入してカードで支払いできるようんするなど、消費を活性化させる努力は全く見えず、天気も悪いせいかエナジーはいつもより低め。

「こんな状況で大変だねえ」と宿のおじさんい言うと、
「こう言う時は深く考えないに限るよ、くよくよしてたらストレス溜まるばっかりだろ、健康に悪いよ、忘れるのが一番さ。」この手のセリフはインドではよく聞くが、「問題だと思う心が問題を作る、問題ではないと思えばノープロブレム!」という今を生きる、インド人的発想。まあ、こういう不測の事態でもあまりヒステリックにならずに、何とかかわして、やりくりするのがインド人のいいところといえば、そうなんだけど。

 気がつけばもう数十回インドに来続ている。ちょうどインドが豊かに変化して行くのを見て、旅でもそれをエンジョイし続けてきた。しかし今年はそんなインドにとって転期のような時期なのかもしれない。
 今までのお金がゴミになる、口座にお金があっても引き出せない、使えない。そんな生活が人々にどんな影響を与えるのか。
奇しくもこんな時期に、これから約一年インドで生活してみようと、やって来たのも何かの因縁。

これからのインドがどう変わって行くのか....
私もそばにいて、状況をしばし見守っていきましょう。

そんな、インドの暮らしが始まります!

次回はその顛末などを



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

2

若山ゆりこ

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。