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山村留学でまた揉める(離婚調停②)

山村留学が正式決定し、私もこどもも喜び、そして学校やご近所さんまでも、みんなで応援してくださっていたのも束の間。

ここからちょっと雲行きが怪しくなる。最終決定した三日後、離婚調停があり、その場で転居を伝えると、夫の反対表明が始まった。それはもう、荒ぶらんばかりに。

もちろん夫には、事前にこどもを通じて山村留学の意向は伝えてあったけれど、特にアクションはなく、決定した瞬間から妨害しようと決めていたかのようだった。

調停内では、夫の山村留学に関する懸念点について、次回までに文書で回答を、との要求があった。

夫の懸念点というのは「いっちゃんのの高校受験はどうなるのか」「ニンタの医療は継続できるのか」「ミコの習い事はどうするのか」などで、そんな事はもちろん全部検討してクリアしたから山村留学を決めたのであって、回答するのはなんでもない事だった。

私がそんな事も考えずに転居するわけないでしょう、私があれこれ心配してリサーチしたがる性格なのは知っているでしょう…と思うけれども、信頼関係が失われて離婚するのだから、どういう事柄であっても一任出来ない、という感情が夫にはあるのかもしれない。

とにかく、調停では夫の意に沿うように説明を尽くそう…と思っていた矢先。

レポート用紙にびっしりと誹謗も混じった長文の手紙が私宛に届き、いっちゃんにも長文のラインが届き、私もいっちゃんも、げんなりした。

その上、山村留学の受入先から連絡があり、担当者から「旦那さんから反対だとのご連絡を受けたのですが…」と告げられる。

怒涛の三連続攻撃に、いっちゃんは、「もうヤダよ〜、お父さんめんどくさいよ〜!」と床に突っ伏した。

嫌がらせを受けても、妻の私はまだいい。でも、やっと行きたい場所を見つけられた子の心を挫くような事をするのは、どうなのか。

『千と千尋の神隠し』で湯婆婆が「お客様とて許せん!」と手から閃光を発するような、久しぶりに怒りに震える思いだった。父親とて許せん、と思う。そんな事は。

山村留学の決定までに、夫が一切関わっていないので、文句の一つも言いたいのはわかる。でも、こども達が楽しみにしている様子は目にしているはずで、それを妨害するような行動がなぜ出来るのが、理解に苦しむ。

山村留学先に「いわくつき」と思わせて、決定を覆させようとしているのだろうか。受入先はどう判断するだろう。でもやっぱり、そんな妨害行為を受けている家庭、やはり受け入れるのが嫌なんじゃないだろうか。

担当弁護士にも連絡し、法的な問題はどうかと聞くと、「親権がまだ決定していないので、相手が転居を争点としてくるかもしれませんが、転居が問題だと判断される事はほとんどありません」という回答だった。

つまり、山村留学の件で調停がまた長引くことがあるかもしれない、ということ。

うう…。

でも、ここでまた一筋の光が。

山村留学受入先の担当者が、夫と直接電話で話したようで、「おせっかいかもしれませんが」と、その様子を伝えてくれた。

「お話した限り、旦那さんもどうしても反対というわけではなく、懸念点があるということで、きちんと説明して頂ければわかってくださるのではないかと感じました。私達もお子さんに良い体験をして頂きたいと思っていますので、ご両親同じ方向を向いて応援してほしいと思っています」

「それから、親権がお父さんに決まるということでもない限り、こちらから山村留学の決定を取り消すことはありません」

夫から私といっちゃんへ向けられた長文を読む限り、「説明すればわかってくださる」とはとても思えず、想像だけれど、受入先の担当者が夫を懐柔してくれたのではなかろうか。頭が下がる。

何にせよ、ただただ威嚇するような文章だけ送られてきていて恐怖しかなかったので、夫の様子が伝え聞けたのはありがたい事だった。

この際、直接会って話したほうが良いのかともチラっと思ったけれど、何のための調停かわからなくなるし、直接話してもどうにもならなかったから調停を起こしている、という経緯もある。

調停に提出する文書で、夫は納得してくれるだろうか。いや、してもらわないと困る。

私は精魂込めて、山村留学がいかに子供たちにとって有意義で必要な事なのかを書いた。夫がまた曲解して読んだとしても、少なくとも調停員には伝わる文章が書けたと思う。

同時進行で親権についても決めなければならず、夫が前回の調停でも譲らなかったので、最後の手段として、陳述書を書くように言われた。調査官もこどもの学校などへ聞き取りに来てくれると言う。

陳述書には、こどもの生育歴、病歴、別居前と別居後の暮らしの変化、1日のスケジュールなどを事細かに書く。これで夫が引き下がらなかったら、訴訟になる。

私は文章を書くのが好きだけれど、こんなに骨の折れる作業は久しぶりだ。まるで祈祷かお焚き上げのような心持ちでパソコンに向かい、とはいえ、調停という場にふさわしい出来上がりになったかどうかは自信がない。

何度読み返しても、これで完璧だと思えることはないので、諦めて弁護士さんに送信した。不適切な部分は削除して構わないとも申し添えた。

山村留学に行けないことはないかもしれないけれど、最悪、四月に間に合わないかもしれない。あとは関係者の良心に任せるしかない。

気を揉んでもどうにかなることではないのだけれど、ああ、はやくスッキリしたい。こんなに次の調停が待ち遠しかったことはない。






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