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マドレーヌ

フランス菓子の定番「マドレーヌ」。マドレーヌ は、つくり方は決まっていて、誰でもできそうな感じがすると思います。実際にできます。できますけれど、卵とバターと焼けた小麦粉の味が剥き出しの平凡と言えば平凡な「 うん、マドレーヌだね。 」という味になると思います。マドレーヌという定番のお菓子でありながら、静かな驚きのある仕上がりにしたいと思います。

小さいけれど、周りは焼かれることで乾いて食感があっても、中はしっとりしたお菓子を「ドゥミ・セック」と言います。「半乾きな」「半生な」とも言える意味になります。

材料の配合は、基本、フランス語だとカトルカール、日本語だと4同割(バター、砂糖、卵、小麦粉という基本材料がすべて同じ量という意味)のお菓子です。様々なお菓子に共通する製菓の基本中の基本配合です。マドレーヌという存在は家庭的で身近で簡単そうなのですが、製菓理論的には、質を高くつくるのは難しいお菓子です。作業が難しいのではありません。基本から逸脱して構築するのが難しいのです。でも、きちんとやれば、作業はみんなできます。私のつくり方は独特で、フランスの伝統的な方法ではありません。材料を入れる順番や混ぜ方が定説を覆すやり方になります。伝統的なやり方は、ある部分が犠牲になるところが私は受け入れにくいため、他の方法でマドレーヌに辿り着く道を考えました。どうしたらマドレーヌがマドレーヌという概念の中で、より日本人が好むものになるかを考えたらそうなったという方法です。同じやり方をしている人を見たことがありませんが、論理的にこの方が納得がいくのです。小さい焼菓子は、環境の影響を受けやすく、乾きやすい、湿気やすい、道具や作業の僅かな違いが仕上がりに出やすいお菓子です。その小さな焼菓子を外側がこうなって内側がこうなるように焼き上げるという繊細なイメージを実現するというのは簡単ではないことですが、皆さん、動画の通りにやればできますので試してほしいです。

少量でもおいしくつくれるレシピを紹介します。私の型で12個分の生地量になります。その日に焼かないといけない生地ではありませんので、3日間、毎日、少しずつ焼くこともできます。ぜひ、やってみてください。

マドレーヌは、ずいぶん前にnoteに書こうとしたお菓子で、動画で解説もすべてできないか試したのでした。その分、文字数は少ないですが、動画で説明をしています。焼き上がり後の作業まで動画があります。(なかなか書き進めることができず、動画は2021年1月に撮影したものになります。ご了承くださいませ。)

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