見出し画像

ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ予習用ネタバレ人物録

手塩にかけたタイムラインで熱烈な盛り上がりを見せているので、「こりゃだぜ!」と思って日曜にゴジって来た。あまりの画面の圧に、4回くらい目から汁が押し出されたので、コレは本物の映画で、文科省がヤク中でなければ遠からず義務教育課程にも登録されるだろう。

本作は「神話」であり、バーフバリ・王の凱旋と同じテンションで観るべき作品だ。主役は怪獣(神)であり、モータルは<旧支配者>Vs<外なる神>の地球がリングな大乱闘の観客兼ステージオブジェクトとして存在を許されている。

本作は「神話」であるので、登場人物の多くは一人息子のイサクを神の導きに従って燔祭に捧げるアブラハムのように、現代人の価値観では測れない行動をする。

そういった前提をあらかじめ把握していないと、入り方を間違えて「人間、本当に余計なことしかしてないな?」などといった迷いが生じて救済されないので、ここにこれから観に行く人の予習用教材として、登場人物全員についてネタバレをしておく。これをあらかじめ頭に入れておけば、余計なことを考えずに「神」の威容をただ受け容れて、君もアセンションできるだろう。

なお、本文は予備知識ほぼ無しで1回映画観て読み取ったことを書いており、所属組織など背景情報の考証は行っていません。また筆者はゴジラは第一作とシン・ゴジラくらいしか観ておらず、父はガメラ派でした。


~~本稿にはストーリーについての重大なネタバレが含まれていますが、知ったところで怪獣の凄さは1mgも損なわれません~~

モナーク

60年くらいの歴史がある全世界公認の秘密結社。巨大生物(怪獣)研究の老舗であり、5年前にサンフランシスコにゴジラが出てからは、世界の命運を担う存在になった模様。

もっとも創設以来の大半の期間は「古代生命体が地球の旧支配者だと信じて研究している、スピードワゴン財団並の財力をもったカルト団体」だったわけで、クトゥルフ神話TRPGなら確実にキャンペーンボス。突然世界が掌を返して歓迎したところで、中の人が変わったわけではなく、遠の昔に正気度/SANがなくなった奴ばかりである。

南極や海底を含め世界に100箇所弱くらいの拠点(字幕では「前進基地」という革命的な訳があてられている)を持っており、空中航空母艦アルゴを始め、近未来SFレベルの武装もしている。

※冒頭で国連ぽいとこから「軍の指揮下に入れや」って言われているので、武力はレンタルかもしれない。


マーク(アンドリューのパパ)

人間が主人公だとした場合の本作の主人公。2014年に突然シスコに上陸して息子のアンドリューを奪ったゴジラを憎んでいる。夫婦そろってモナークの研究員だったが、息子ロスからアル中になって3年前に離婚。コロラドで狼とか撮影しながらアニマルセラピーしている。

『オルカ』という「動物の鳴き声をコピーする装置」の開発者。会話までできるわけではないが、鎮静させたり怒らせたり、コントロールができる。怪獣にも効くという危険性からマークは破棄したが、モナークはやって後悔するカルトなので回収&復元してしまった。

メンタルが病み上がりなのもあってSAN値は低い。娘のためなら何でもするコマンドーで、南極基地で兵士同士の撃ち合いに丸腰で飛び込んだり、ギドラのど真ん前にオスプレイで飛び込んで生死不明の娘を捜索するなど、十分に狂人だが相対的には常識人枠。

ゴジラを危険視して「殺すべきだ」と言うなど、至極冷静な意見を持っていたが、モナーク内で「えっ、何いってんのこいつ狂人か?まぁ家族が大変だし、仕方ないかな」といった反応を受け続ける内に成長し、ゴジラと目と目で話せる男になった。


エマ・ラッセル(サノスおばさん)

本作の元凶。娘公認のモンスターペアレントであり、KoMのサーセイ・ラニスター。SAN値0。自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪。

モナークの研究主任でありながら、「病原体である人類が地球を滅ぼす前に、免疫機能である怪獣を起こしてバランスを取る」というGガンダムを徹夜でキメた中学生めいた目論見のために環境テロリストを雇って職場を襲撃させ、同僚を皆殺しに。人質という疑われにくい立場で、モスラやらギドラやらラドンやらを覚醒させて回った。

「一匹ずつ起こせば大丈夫」「島民避難は間に合うっしょ」「シェルターとかあるし、人類は滅ばないんじゃない」など、正義超人もビックリの自信と希望で行動する。一方で母性プログラムは生きており、死んだアンドリューの話題になるとエラーを吐き出すことがあり、娘のことも地球の命運の次くらいには大事に思ってる。

「文明は蹂躙されるが、人類は滅ばないし、娘も死なないし、自分も生き残る」など論理的には派手に破綻しきっており、ドラマの悪役としては迷走しているが、SAN値が無い人として芯が通っている。

蘇らせたギドラが外宇宙由来の『地球の敵』であることが明らかになって地球浄化計画が破綻してからは塞ぎ込んでいたが、愛想を尽かして脱走した娘を保護するべく、アポカリプス・ナウなボストンに車で単身突入。

最終的には『オルカ』を狙うギドラの目を娘からそらすためか、何かの責任を感じたのか、家族の制止を振り切り、独断で『オルカ』を持ってギドラを誘導。(ヘリでオルカを持っていった方が、確実に時間は稼げた) 無事人類の敵として司法の裁きを受けることもなく、王の帰還を祝福しながら冥土に旅立った。

マディソン(娘)

肉体年齢的には最年少だが、精神年齢的には最年長な女子。激重感情を一方的に向けてくる両親を受け容れる度量があり、SANと幸運がカンストしたミネバ・ザビ級の偉人。

人類悪となったマッマを否定し、地球崩壊を救うべく、めっちゃ無造作に放置されていた『オルカ』を奪ってボストンのフェンウェイ・パークでヒーリング放送。怪獣集結を足止めし、ゴジラ反抗の時間を作り出した。

雷撃ブレスに襲われる中、ゴジラの戦線復帰を目にした瞬間の会心の笑顔など、「正気すぎて狂ってる」というタイプで、Fateにおける藤丸立香・衛宮士郎など『アラヤの抑止力』に近い。最終的に家庭崩壊(物理)に巻き込まれたものの、ほぼ無傷で生還した。


芹沢博士(渡辺謙)

限界ゴジラオタク。シン・ゴジラの尻尾から生まれた男。SAN値0。

冒頭から国連会議で「人類がゴジラのペットなのです」とか良い笑顔で断言する怪獣共生カルティストであり、「ゴジラは人類の味方である」という確信をなぜか持っている。

研究実績と怪獣への信仰熱量が、他の全査定基準に優先する秘密結社モナークでは、最高責任者に近いポジションで、少なくとも目の前に迫って威嚇するゴジラへの攻撃を制止する権限はある。

サノスおばさんに比べると思想は温厚であり、まともな話が通じそうに見えるが、彼にとって「ゴジラの生存、ゴジラとの共生が他の全てに優先する」ため、所々で会話が噛み合っておらず、静かな狂気を漂わせる。あと絶対に「ガッズィーラ」とは言わず、決断的に「ゴジラ(GO-JI-RA)」と言い切る

オキシジェン・デストロイヤーを打ち込まれ、ルルイエで休眠に入ったゴジラに目覚まし水爆を届けて殉教した。


ジョナ(や人愚滅おじさん)

環境テロリストのボスで、「人類間引き計画」を掲げるエマおばさんに雇われたか、彼女を唆したかしてつるんでいたや人愚滅マン。ギドラが出てからも「まぁいいんじゃない。や人愚滅だよ」というスタンスで状況を静観し、右往左往するエマおばさんを冷笑したまま何もしなかった。

モナークの隊長(女性指揮官)

モナーク付きの軍人たちの指揮官。セリフは少ないものの、SAN0シビリアンコントロールに文句一つ言わず、常に勇敢に戦った軍人の鑑。

芹沢・エマなど上層部のトンチキっぷりに比べ、モナークに従う兵士たちは士気・統率・練度など全体に非常に質が高かった。「ギドラの眼の前にオスプレイでランディングして、生死不明のマディソン少女を探す」といった公私混同のプライベート・ライアン任務でさえ、命令とあらば厭わない職務意識の高さは英雄的とも呼べるレベルであった。

そういった人材を育成し、組織していた彼女こそ、出番は少なかったが、人類の救世主と言っても差し支えないと思われる。


チェンさん(中華美人)

芹沢博士の側近で、三代続けてモナーキアンの純血構成員。飾り気のない黒シャツ、スレンダーなボディ、ショートカットとアジアン・リケジョ・ポイントが高い。

神話や古代伝承の専門家であり、あの壁画はゴジラ、これはギドラといった話をする。要するにキバヤシ。人道は弁えているが、怪獣美に弱く、モスラには陶酔しきっている。芹沢のニュークリア回天搭乗に際して一番悲しんでいた。

基本的に芹沢の隣にいるが、モスラ羽化タイミングには万障繰り合わせて駆けつけていて驚いた。しかし呼ばれ方がリン博士だったので、双子なのだろう。

ちょっと失礼なタレ目ナード(モナーク科学者B)

最初に親父を訪問するモナーク三賢者の一人。若いナード白人らしく、空気が読めない。

視点人物のアンドリューパパと別行動になるタイミングが多く、イマイチ影が薄いが、女隊長とともに数多の死地に帯同しており、裏でアムロ・レイ並に男として成長したんじゃないかと思う。

芹沢の形見のノート』(神話技能+10%。SAN消費は成功で1d3/失敗で1d10)の保有者。

頼りになりそうな爺さん(モナーク科学者C)

芹沢博士の側近の一人。ヤマトの徳川機関長とか、オルフェンズの雪之丞とか、若者に愛のある諫言をして、クライマックスで身を挺して未来を繋ぐタイプのブレーキ爺ポジションにいるが、基本芹沢と一緒になってアクセルしか踏んでいないし、特に死なない

あと何人か出ているかもしれないが、そんなことはどうでもいいので、とりあえず怪獣を観ろ。Long Live The King... その意味を知れ。以上だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?