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お豆腐への愛がすごい!「Tofu & Botanical Kitchen LOIN」 ランチレポート

昨年出会えてよかったレストラン私的第1位の「Tofu & Botanical Kitchen LOIN」が雪解けを機に春メニューをスタートしている。

極寒の日に訪れると、前菜の前にそっと出来立ての豆乳が差し出されたり、コースが「お豆腐ができるまで」のストーリーに準えられていたり、お茶とのペアリングが楽しめたり・・・お料理そのものの満足度にプラスして、帰るころには「良い映画1本見た」くらいの満足感と余韻につつまれる。来月訪問予定なので1度昨年の体験を振り返ってみる。

シェフ小澤さんの豆腐へのきもち

和歌山県内に住んでいる方だと、「龍神 地釡とうふ工房るあん」のお豆腐を知っている方も多いかもしれない。龍神の清らかなお水を使って、薪で炊き上げたとうふ。それを木枠に入れて重石をして・・・と昔ながらの製法でつくられたお豆腐はとにかく濃厚で甘味がある。木綿豆腐以外にも、ざる豆腐やおぼろ豆腐も、原料は同じはずなのにそれぞれ味に特徴があっておもしろい。

るあんさん自慢の木綿豆腐。

最近ふと拝見した小澤さんのInstagramに

「春になって、大豆の内部が目まぐるしく変化しているのを感じます。今朝は、大豆浸漬のジャストタイムよりさらに長く浸けて、発芽準備ステージに入った大豆で豆腐を作ってみます。芽吹きのニュアンスが、豆腐に現れたら嬉しい。」

とのお言葉が。おなじ素材を相手に加工をしていると、安定や均一を目指して試行錯誤してしまいそうだが、毎年天気も、雨の多さも、温度も湿度も違うのに同じ大豆ができることはありえない。その時々の大豆の特徴を香りやテクスチャーで感じ、その特徴的な部分をぐっ!と引き出して豆腐にまとめる。なんかすごい。

それと同時に、見た目が同じ大豆でも季節によって内部が変化しているというのも、普段大豆を見つめていない私は知らなかった。春はフレッシュな香り、冬の冬眠モードの大豆はナッティーな香りがするらしい。そういったちっちゃな変化を逃さず、そこをチャームポイントとして引き出してあげるというスタンスはもう豆腐界のジャニーさん。

Tofu & Botanical Kitchen LOINのお料理

そんな小澤さんが腕を振るうのがレストラン「Tofu & Botanical Kitchen LOIN」。お料理が提供されるタイミングで添えられるひとことが、その一皿をもっと楽しめるtipsになっていることが多いので、ついつい色々聞いてしまう。

2度目に訪れたときは、コロナ対策のため、そんなひとことがお手紙に代わっていた。
食後には封筒にいれてプレゼントしてもらえた!!!

お料理と一緒にリクエストしたワイン、オレンジ色の見た目と、辛口なのに葡萄の風味がはっきり濃厚に香る、感動もののワインだったので、ワイナリーを教えてもらったこともあった。その後も知人に紹介したり、自分でもお取り寄せしたりしている。ラベルやネーミングもかわいくておすすめ。

コバヤシワイナリーさんのワインはオンラインでも購入できる。(新作はすぐに品切れてしまう)

こちらは「prologue」と題された1皿。ちゅるんとした湯葉の下に、南瓜と青菜の白和えが。こういう風にして、お豆腐が異なる素材をつないでいる

熊野のお茶とのペアリングランチ

熊野で茶園を営む倉谷なつみさん(通称なっちゃん)の作る、無農薬のお茶「なっ茶」とのペアリングランチも記憶に残っている。こちらは前菜と一緒にいただいた、水出し煎茶。淡く甘い、フルーティーさ。この後も、熊野伝統のあたたかい釜炒り茶や、デザートには「なっ茶チャイ」が続き、お茶とお豆腐が見せてくれる色々な顔を楽しむことができた。またやってほしい。

案外知られていないが、熊野大社周辺は、家庭でもお茶文化のしっかり根付いた全国的にも珍しい地域。庭にはお茶の木とお茶を炒る釜がある家庭も多く、今も毎日の生活の中に「お茶を炒り、急須で炒れる」ということが自然に行われている。そんな地域で作られたなっ茶に関しては、お茶のことをよく知らない私でも丁寧に作られた、いいところのお茶だということがすぐに分かってしまう。それくらいこのお茶は、シンプルなのに圧倒的な奥行きがある。

お客様においしいお茶を出せたりすれば粋だと思っているので、私も「なっ茶」は常にストックしておくようにしている。

おつまみにも、スイーツにもなる豆腐やおから

チーズの代わりにお豆腐を、小麦粉の代わりにおからを、というのとは少し違う。逆に言うと、チーズや小麦粉ではこの風味、この食感は出せないと思う。酒粕やゴマの入ったクッキー「エナジーボール」はおからが表現してくれるホロっと感がベストマッチだし、豆腐の燻製は表面だけではなく、スモークの香りを含んだ塩味(えんみ)が内内側までしみわたっていて食べ終わるのが惜しい。毎回、良い意味で裏切ってくるのが、るあんさんの手掛けるアイテムだ。
期間限定・数個限定で発売されているギフトボックスも見逃せない。豆腐やおからもハレの日のギフトになりうる。

季節の変わり目を、豆腐で感じる

春の大豆はフレッシュな香り、冬の冬眠モードの大豆はナッティーな香りがする。そんな変わりゆく風味を逃がさず、四角く閉じ込めているのがるあんさんのお豆腐だ。
月に1度、同じ釜からお豆腐を買ってみる、という季節の楽しみ方があれば素敵だと思っていたら、るあんさんが「その月のお豆腐」を毎月1度、販売するというお知らせが舞い込んできた。数種類のお豆腐と、おつまみやスイーツなどのおまけも入っているというのでさらに楽しい。こちらから注文も受け付けているので、是非チェックしていただきたい。


さいごに

るあんさんとの思い出を振り返っていると、春のランチがますます待ち遠しくなってきた。Tofu & Botanical Kitchen LOIN、是非行きたいところリストに追加してみてほしい!

〒645-0521 和歌山県田辺市龍神村小又川259
Tofu & Botanical Kitchen LOIN
Lunch 要予約

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