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令和5年年頭所感

年末年始には西武池袋本店、グランデュオ蒲田、松屋銀座等に行かせていただき、奮闘されている現場の皆様に勇気づけられ、消費の場を訪れて高揚している来外街者、良いものを狙うさながら狩人の目をした来館者を拝見し、私自身の立ち位置、賑わいの場が好きで、今後の賑わいについて考えていきたいという思いを強くいたしました。


本年は商業施設・商業空間界隈に人通りが戻り、街を賑わせて良いという雰囲気が醸成されてきているように感じた一年でございました。

昨年の年頭所感では、「消費の身体性」「売らない売り場」などについて述べておりますが、その傾向が進み昨年一年では、身体性回帰、買いにいきたい場としての売り場の価値が再評価されたように感じます。また、昨年の初めにセブン&アイ・ホールディングスからそごう・西武が売却される報道がされ、小売チャネルとしての百貨店という価値が問い直さなければならないよう感じました。

「ハコ語り、マチ語り。」という言論空間でも、1年で17施設を本編として議論しましたが、百貨店強化期間として小田急町田、西武所沢S.C.、GINZA SIX、伊勢丹新宿、阪急メンズトーキョーなど百貨店の今後の変容の突破口となる?べく異なる論点を多く取り上げました。

例えば、小田急町田や西武所沢、GINZA SIXを通して百貨店のテナントビル化について議論したり、メンズ館の2館を通して来店客の“専門化“について議論したりいたしました。


前提として、現状の百貨店の取り組んでいる施策は大別すると下記2点に分けられます。

①高級商材戦略:店頭はラグジュアリーブランド強化・対顧客では外商売りの強化

②脱小売戦略:テナントビル化、コンテンツ強化(サブカル・VRなど)、非モノ商材提案、“売らない店”化


以上から何が読み取れることがあるとするのなら、リーマンショック以後の2大戦略の答え合わせができるということではないでしょうか。


バブル崩壊以後始まったと言われるデフレの影響もあり、ただモノを消費するという時代は終焉を迎えました。

その結果、「何を売るか」の先にどの商品領域で利益を生むかという流れが生まれました。

上記流れの中で、売上が大きく百貨店から見て利益率が高い(仕入れ率が良い)婦人服飾の売場面積が拡大していきました。

一方、アパレルメーカー側も拡大する売場面積に対して、ブランド数が増加し、徐々に企業としての利益率が低下していき、リーマンショック以後のアパレル企業の倒産、縮小の下地が作られていきます。

婦人服依存が20年程度続く中で、ユニクロを筆頭にSPAの波が押し寄せてきます。

日本旧来の産業構造は川上から川下まで分業制が敷かれていましたが、

新たなアパレルの巨人は自社で製造から販売まで一手に引き受けることでコスト管理、品質管理、製造管理など、工業製品としての衣服を日本全国に均一かつ安価に行き渡らせました。

価格・品質管理・販売データ・立地と小売における4つの軸となるポイントを自社で統轄することで、

これまでにないビッグウェーブがアパレル業界にとどまらず、産業界全体を飲み込みました。

自社で生産能力がない企業でもOEMと呼ばれる製造委託を深化させ、

プライベートブランドと言う形で、「品質はよく価格は抑えめ」という

無印良品やセブンイレブンなどの企業により確立されたイメージをもとに、

百貨店業界もその分野に本格的に進出しました。

特に、リーマンショック前後から始まった大統合時代以後の戦略として、

三越伊勢丹やそごう・西武などライベートブランドを推進している企業と、

髙島屋や大丸松坂屋など賃貸借契約をベースにしたテナントビル化という2つの方向に分かれていきます。


それが10年程経ち、そごう・西武のプライベートブランド完全撤退及び郊外百貨店のSC化に象徴されるように、

前述②の脱小売戦略が優勢になっていきます。

百貨店とは買い物の民主化、理想の生活の大衆化という意義がありましたが、

その役割はインターネット通販の巨人が担っており、

中古品の消費者間での取引の利便性が増すと、

なお一層今までとは異なる役割を担う必要があると自覚しなければならない段階にあります。

モノで差別化、ヒト差別化、ハコで差別化、ユーザーインターフェースをより良くする改良改善を続けていくこと。


言うは易しですが、ここを突き詰めることでしか、活路が見出せない。

顧客との距離と深さをどれだけ強い紐帯にできるかが今後の小売の焦点かと存じます。


その中で、今シーズンはより海外商業施設との比較や百貨店の次の時代の大衆向け施設となった郊外モールの今後を探求していきたいと思います。

また、引いてはここ3年以内には大衆向け小売チャネルの王者ECプラットフォーマーの戦略と今後のビジョンについても深掘りしてきます。

メインとして興味関心があり、どうしてもその視点に立ってしまう駅前商業施設(百貨店を含む)との立地や社会、空間の比較することで、

より今後の商業施設の未来について考えられるのではないかと思います。


では、本年もよろしくお願いいたします。

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