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「にごにが日記」

 ついに岸政彦先生の「にがにが日記」を読みはじめた。これ楽しみにしていた。

 読んでいると、ほのぼのしていて、何気ない日常がとても愛おしく感じる。その中にきなこ(飼い猫)を亡くした悲しみなども語られていて、悲喜交々といった日常。

 人柄だろうか。本当に良い。(語彙力がなくて申し訳ない)こんな暖かい文章って書けるものなんだな、と。
 こんな風に文章から人柄が滲み出してるとしたら、わたしの文章からは何が滲み出しているんだろうか(笑)逆に怖い。

 岸先生のパートナーのおさい先生との関係性も、自立した2人の対等な関係という感じでとても素敵だ。

 岸先生の生活史の本はどれも手を出したことはないけれど、生活の語りはこう言う感じなのかな。なにか大きな事件がある訳でもないのだけれど、日常がとても愛おしい。

 最後のおはぎ(飼い猫)日記は、愛が溢れている。徐々に状況が悪くなっていって、亡くなるまでの記録。大変な介護生活だったと思うのだけれど、淡々としつつも心のこもった生活が描かれる。猫の介護の話なのだけれど、全ての生き物は老いるし、自らの老いについても考えてしまった。
 家族を失うということも切実に書かれていて、涙なくしては読めない。おはぎときなこは、本当に愛されていたんだな、というのが伝わってくる。

 これを読んでいるとなんだか日記が書きたくなる。私の場合はネガティヴになりそうだから、「ねがねが日記」だろうか。苦しいことも、良いことも、重くならずに書けたら良い。

 最近岸先生は、「岸政彦の20分休み」と言うポッドキャストを始められていて、それもまた良いのだ。日常感があって。

 岸先生は、きっと目にも止まらなかったような小さなこと、当たり前すぎて見えていないことなんかをすくい上げて、それらを輝かせることができる人なんだろうな、と。

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