見出し画像

「地球星人」

 村田沙耶香さんの「コンビニ人間」に衝撃を受け、他の作品も読みたいと思い手に取ってみました。

 これもびっくりした。社会への違和感を「宇宙人の目」として捉え、まなざす力強さに圧倒される。
 コンビニ人間と同様に、社会のいわば当たり前に疑問を呈するような作品で、私も含めうっすらと感じたことのある違和感を炙り出している気がする。

 社会を「工場」と呼び、自らを部品という。

僕たちは肉体で繋がった部品だ。子供を作りつづけ、遺伝子を未来に運び続けるだけのパーツだ。

そして結婚適齢期の主人公は下記のように感じる。

「工場」は、「恋愛」がどんなに素晴らしいか、そしてその末に人間を生産することがどんなに素敵か、どんどん力をこめて宣伝しているようだった。
 この巨大な「人間工場」のための子宮は、私の下腹のなかですでに完成されていた。この臓器を「工場」のために使っているのだというふりをしないと、糾弾される年齢になろうとしていた。

 社会から感じるプレッシャーのようなものをこのように表現すると言うのは驚かされた。辛辣。

 宇宙人の目とまではいかなくても、私も普通を擬態している。昔から、普通になりたい、とずっと思ってきた。普通に憧れていた。まあそもそも結構普通なのだけれど、おそらく。でもなんとなくその憧れの普通であるぽくしている。

 そんな違和感がある私としては、色々と共感するところもあるのだけれど、結末がなんとも想像の斜め上というか、はるかに想像を超える展開で本当にビックリした。
 「コンビニ人間」といい、ほんと村田沙耶香さんの書くものはすごい気迫と迫力だ。突きつけられる感じが強い。

 この本は舞台になったらしいのだが、ちょっと怖いな。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?