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「黄色い家」

 オーディブルで聴き始めて、かなり面白くて寝る時間も削って聴き続けた。19時間強あったけれど、2日くらいで一気に聞いた。本当に面白かった!何かしながら聞くことが多いのだけど、つい手が止まってしまうほど面白く先が気になる展開だった。

 あんまり面白いので2回目すぐに聴き始めた。audibleは早く次を読みたいと思っても、ペースが決まっているので、きっちり読んだ感がある。じっくり聞くと。

 主人公の花は、母の知人の黄美子さんと出会い、母親不在の1ヶ月間を過ごし、その後、黄美子さんは消え、母親が戻る。そして一年後、黄美子さんと再会、高校を卒業せず、黄美子さんとスナック「れもん」をはじめ、働き始める。
 その後知り合った、蘭、桃子たちとも一緒に住み始める。ある時スナック「れもん」が火事になり、収入源をたたれた花は犯罪に手を染める、というのがざっくりとしたあらすじ。

 母親からケアされずに育った花が黄美子さんと出会って、一緒にいてもらう、気遣われることで、ケアされることの喜びみたいなものを感じて、黄美子さんに愛着を持つところが、ちょっと切ない。
 でも母親も黄美子さんも、花の将来を心配したり、考えたりするところがなく、ちょっと驚く。なんとなくその日暮らしみたいな生活が見え隠れする。

 高校も中途半端に辞めてスナックで働き始めたり、スナックが火事で焼けたあとに犯罪に手を染めるなど、選択肢の少なさみたいなものも悲しい。差し出される選択肢の少なさや、一線を軽々と越える、超えさせる環境が、なんとも言えなくなる。

 花が純粋にみんなで暮らす幸せな家、みたいなものに憧れて、それを守るために、お金をめぐってどんどん変わっていくのも切ない。黄美子さんと、花の関係も、花がケアされる側から、ケアする側へとどんどん変わっていく。まだ保護される存在であるはずの花が、1人で全てを背負い込んで、なんとかしようと走り回るのも悲しい。

 でも、物語全体に悲壮感もなく、当然の選択のように自然に流れていくのが良い。
 周りに出てくる、蘭、桃子、ことみさんも、ユニークだし魅力的なキャラクターで、この物語の隅々まで面白い。中弛みなど全くなく、ペース良く話が進んでいき、読み手に同情させたり、憐れむような感情を持たせるようなこともなく、流れるように話が進んでいく。グイグイ読ませる(聞かせる?)。

 活字でも読みたいと思っている。また聴くのと雰囲気が違うだろうか。

 ここ最近で1番盛り上がって興奮した読書のような気がする。読めて(聞けて?)良かった。ぜひ読んでみて欲しい一冊。

 最後になりましたが、今年もよろしくお願い致します。今年もぼちぼち本を読んで、感想とかを書き留めていきたいと思います。
 いろんなことを言語化できるようになりたいし、できれば文章も上手くなりたい。

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