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自分の身体を錬成したという話

このnoteを開設して、Twitterのアカウントを作ったその時に、別段「そんな」つもりはなかった。それは間違いないと思う。

久々に全くゼロからネットの海に漕ぎ出して、不安感に苛まれ、友人にはまだ一言も発言していないうちから「ネットコワイ」と連絡したほど、震えていた。得体のしれないものは怖いのだ。広大な、見知らぬ土地は怖いのだ。

それでも一歩踏み出して、ここで言葉を紡いでみようと決めてしまったから、せめても怪しくないように身分を明かさねばならない。見えない顔よりは見える顔。動かない身体よりは動く身体。黙るよりは声が聞けるほうがいい。事は単純だった。

そういうわけで、身体の錬成に着手をしたのである。

目指すは2DタイプのVtuberだ。彼らの動画は大好きで、ほぼ毎日どれかしらを見ているのだが、彼らの身体はどうやって動いているのかと調べたところ、Live2D Cubism Editorというソフトの情報がそれはもうわんさか出てきた。それとは別に、SteamのFaceRigとFaceRigのDLCであるFaceRig Live2D Moduleを使って動かすのだそうだ。全くわからん。

Steamは知っている。ゲーム買うやつだ。以上。先が思いやられる。

今回重宝したのはこちらのブログだ。
https://tmamagoto.com/live2d-rig5/
とりあえずやってみたい人向けにとても最低限で、かつとてもわかりやすい説明をしてくれている。基本はこの記事に則って進めていくことにした。

記事通り、公式のサンプルpsdデータをダウンロードしてきて開いてみた。可愛らしい女の子の絵が開く。さて、とレイヤータブを開いた。

……ちょっと待って欲しい。
絵を動かすからには、たしかにある程度部品は分かれていないといけないとは思う。

前髪。わかる。
腕。わかる。
眉。わかる。
目玉。わかる。
ほっぺ右。まぁ……わからんでもない。
鼻。……必要?

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まぶた上。まつげ1、2、3。ハイライト上。ハイライト横。まぶた下。

目、細かすぎません?まつ毛だけでパーツ3つ?こんなに細かく描いたことないんだけど。

テンプレートを無視して後から困っても嫌なので諦めて描くことにした。それでもやっぱり途中で面倒くさくなったので、コピペできる部位は躊躇わずにコピペした。楽しんでやれる範囲でやるのが一番だ。
ペンタブがなかったら多分詰んでいた。

輪郭はサンプルほぼそのままのようなものなのだが、肌の色を少し変えたが故にまぶたや口の色をなじませる作業が発生した。難しくて何度かやり直した。

皇噛ユカリさんのホラー動画を見ながら後ろ髪を描いていたら、同じ紫系の色な上に形まで似てしまって「あー」となったものの、そのまま採用した。

丸2日近くを費やし、元の身体のデータはできた。あとはこれを動くようにするだけである。Live2Dのソフトには、動きに関しても入れて実装するだけのテンプレートがあるので、ありがたく拝借する。

……顔面がお見せできないほど大崩壊した。
前述した記事にもあったのだが、イラストのそれぞれのパーツを、ソフト側が大体この部位のパーツだろうと読み取る際に、小さなパーツだらけの顔は間違った部位で読み込まれやすいらしい。細々しいパーツそれぞれを、テンプレートの対応する正しいパーツと紐付けてやることでこれは解決する。

なんだかわからないが私の左目は常に半眼になっていた。直した。

顔はましになった。なんとかなりそうだと思った。顔だけなら。

首から下が大問題を抱えていたのだ。
ランダムに身体を動かすと、腕は肘のところで関節がずれ、肩はTシャツを突き破り、首は肩から吹っ飛んだ。これでは有名な錬金術師のお母さんみたいになってしまう。

色々やったが全くわからなかったので、ひとまず首から下は1つにまとめて外れないようにした。

そしてこちらの記事を見ながら、今度は書き出したデータをFacerigの中に入れ込む。
大量のエラー文が吐き出された。自分を画面に表示させようとした時だけ、エラー文が出たかと思うとソフトが落ちる。もともと入っているモデルは動くにもかかわらずだ。

何度かやり直してもうんともすんとも言わなかったので、全部アンインストールしてから、セキュリティソフトを全てオフにしてもう一度インストールし、ファイルをあげ直した。

入った。

セキュリティソフトを入れていて、これからVtuberをやってみようという人は是非覚えておいて欲しい。
時にセキュリティソフトと袂を分かつ必要があるということを。勿論終わったらきちんと戻そう。

PCのカメラに向かって瞬きをする。
画面の中の「私」も瞬きをした。

左目の目の光左パーツが、眼から飛び出していた。
Live2Dを開き直して修正し、ファイルをあげなおす。こうした細かい修正を3度ほど繰り返してやっと、「私」がひとまずの完成を見た。

「ねここ」の名前は、ずっと、仲間内で作品を出す時に使っていた名である。それはインターネットの海をいくら泳いでも見つからない名だった。

その名が、瞬きをする存在を得た。これはそんな話。


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