【詩】夜を想ふ【なん歌】
夜を想ふ静寂がしとやかに降り積もる夜
ドビュッシーの雲とターナーの月あかりに連れられて
おずおずと私のなかにそれは入って来た
不確かなそれに名をやると
みるみる膨らみ動き出した
とろみれ濃厚な珈琲 らそたせ陽気な音楽
君と私は語らった
散らかった部屋でとりとめなく
溶け合い すれ違い たまに、ぶつかり合い
私と君は駆け抜けた
入り組んだ街を果てしなく
ずぶとい雷鳴がドアを破ったある日の夕暮れ
私のなかから君がむんずと引き摺り出された
欲望を喰らう赤い獣の脂ぎった手によって