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すずめと一緒に「戸締まり」できた話。

昨日の金曜日ロードショー、「すずめの戸締まり」でしたね…!
映画館で見て衝撃を受け、すごく印象に残った映画の1つです。

そういえば、前にその日のわたしの出来事と映画の内容を絡めてnoteを書いていたなあ、と思い出しました。
仕事に対してマイナスなことも書いてるし、
書いた当時は投稿を躊躇していましたが、折角書いたしこの機会に出しとこう…!笑


…*…*………*………*………*……*

「すずめの戸締まり」をレイトショーで観る予定だったちょうどその日、研究授業が終わった。


所詮、こんなものか。


もちろん、映画の感想ではない。
抱いたのは、わたし自身に対する失望である。 


「研究授業」とは、「より子どもたちが主体的に学びを深める」など目指す姿を設定し、教材の研究をし、実践する場である。

そして多くの先生がその授業を参観しにくる。研究し実践する側だけでなく、見にくる先生たちにとっても学びの場でもある。

しかし当日、授業は思い描いていた展開には進まず消化不良に終わった。

子どもたちは、たくさんの大人に近くで見られるという、いつもと違う環境に萎縮し、自由に考えを表現することが出来なかった。

わたし自身も、子どもたちの声をきちんと、拾い、繋げることが出来なかった。

教材の解釈や研究。
今回は10時間を超える単元だから、1時間1時間、発問(子どもたちが考えること)から板書計画から、思考の流れがスムーズに展開するよう綿密に練る。

語彙力、自分の考えや意見を書いたり、話したりして表現する力。友だちの言葉を踏まえて考える力。
どれも一朝一夕でつく力じゃないから、力をつけるため、わたしも子どもたちもずっと頑張ってきた。

わたしが、練った授業を展開することで他の先生たちの学びになれば。
何かのヒントになれば。

考えることの楽しさ。
自分の思いを、豊かな言葉で表現することの面白さ。子どもたちが一人一人が感じられれば。

そんなたくさんの想いをかけた授業だった。

わたしの想いはみんなには重い?」と
Adoさんの「わたしは最強」という歌が、わたしと被り過ぎてなんだか、ちょっと苦しく感じた日もありつつ、今わたしがやっていることは価値あることだと信じて、ここまで走り抜けてきた。


その集大成が、これか。

「これまで、お疲れ様でした。」
「先生のクラスの子どもたちの〜〜する姿がすごかったです。」
「さすが〜〜だと思いました。」

他の先生方から、かけられた労いや賞賛の言葉も、響かず虚しく身体をすり抜ける。

自分の力不足も、子どもたちの力を充分に発揮させることが出来なかったことも、悔しくてやるせない。

折角あれだけ時間をかけたのに、わたし自身の力も、子どもたちも所詮こんなものか。

今までこんなに頑張ってきた意味ってなんだろう。
ここまでやって、この程度ならもうそんな力を注ぐ必要、なくない?

ぐるぐると負の気持ちが渦巻く。

そんな気持ちで映画なんて、という気分だったが、折角予約して席はとってあるのだ。
行かなきゃもったいない。


ぐるぐると渦巻く負の感情は、作中に出てくる災厄を示す赤黒いおどろおどろしいミミズみたいに、広がっていく。

そして、囚われてしまうと、わたしの思考を縛り、気力を削ぎ、進む力を奪っていく。


映画の中で、開いた扉から出てくる災厄を封じ込む草太の「閉じ師」の仕事を手伝った
主人公すずめ。

人を救うという重大なのに、危険を伴う仕事のことを周りの人にもっと知られたらいいのにと思うすずめにさらりと草太は、

「大事な仕事は、人からは見えない方がいいんだ。」

と返す。

そう、大事な仕事は必ずしも周りの人に見てもらえるとは限らない。

1番大切なのは、何を大切にして、どう向き合うか、なんだ。


上手くいかなくってたかが研究授業1日のことじゃないか。これまでやってきたことは消えるわけじゃない。

研究授業当日に、充分に発揮することは出来なかったけど、子どもたちは、春からだいぶ力を付けたじゃないか。
それは見えないけど、わたしにとって大事な時間だったはずだ。

映画中のたったその一言で、頑なにうねっていた負の感情が、すっと溶けたのを感じたとき、なんだか救われた気がした。

きっと、誰かに直接言われてもこうはすっと心に落ちなかったと思う。

いったん自分の状況や気持ちを傍に置き、映画という物語の中に入りこんでいたことで、素直になれていたのかもしれない。

この映画は、悼み鎮める物語だ。

かつて、そこにいた人々の声を、当たり前を忘れないように、刻み、そして前に進んでいく。

生きていれば、避け難い痛みや苦しみを感じることもある。
それは過去のすずめのような大きな痛みや今回のわたしのようなささやかな痛みまで様々だ。
向き合い、飲み込まれずに、正しく自身で閉じて、生きていきたい。

明日からまた気持ち新たに子どもたちと一緒に学びを楽しもう。
2時間の映画の中で、すずめと一緒に、わたしの日常にあった後ろ戸を一つ、閉められた思いだった。


#映画
#すずめの戸締まり








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