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先生の夏休み。


夏が、来た!
待ちわびた、夏が来た。

わたしにとっての夏とは、梅雨が明けてからでもなく、日差しが凶暴になってからでもなく、アイスが身体に沁みるようになってからでもない。

学期末の成績処理、懇談、その他諸々の怒涛の仕事をやり遂げ、迎える1学期が終わりの日、終業式。
その日を無事迎えてから、わたしの夏は始まる。

子どもたちが夏休み入ったら、先生たちはは暇なの?」

先生をしていると、こんなことをよく聞かれる。

その答えは、半分NO.半分YESである。

「子どもたちが夏休み」=「先生も夏休み」
の認識を持つ不届者はいないだろうけれど、(なんでも、何十年もの昔は「自宅研修」という名目の元、ほぼ休みだったらしいけれど…)
子どもたちに勉強を教え、生活指導がメインのこのお仕事、子どもたちがいない学校で何をしているんだろうという疑問が浮かぶのもうなずける。

半分の「NO」の理由。
子どもたちがいないからこそ、諸々の事務仕事の合間に、会議、研修、会議、研修とここぞとばかりに会議と研修が降ってくる。
というわけで、やることやら予定はいろいろあるので、暇をしているわけではない。 

半分の「YES」の理由。

しかし、授業や生徒指導、保護者対応がほぼないというのは大きい。
(ちなみにほぼ、というのは場合によっては不登校児童、学力保障が必要な児童の登校があったりするので)


その日大変だった生徒指導の内容を共有する姿、あるいは夕方からエナジードリンクを流し込む姿の代わりに、和やかな談笑姿があり、学年団でお昼を食べに出る姿あり。

お昼時、お食事処で年代、性別バラバラの3〜5人のカジュアル私服集団を見かけたら、それ高確率で、先生たちですからね!!!

そして
「あ、もう5時ですね〜!」
明るいうちに、そそくさと人が出ていき空になっていく職員室、
「明日は時間給とって、10時に来ます〜!」などと用事を済ませてから、ゆっくり通勤する人もいるため朝、まばらな職員室。

ビバ・平和!!!
そんな職員室を見ると、ああ、夏休みだ…と実感し、ひしひしうれしくなってくる。

平日、仕事が終わってからも、充分に自分のしたいことが出来る時間と心の余裕がある。
それは、この上ない贅沢だ。

そして普段子どもたちが来ていると普段あんまり取れない年休をここぞとばかり消化するので、8月はお盆より前に、ほとんどの職員がお休みに入る。
8月、人によっては月の半分くらいは休むことも充分可能だ。

よって、部活指導のない小学校の先生たちは、会社員の方々よりは格段に夏休みは長いといえる。

残業代がないのに、残業が余儀なくされる「定額働かせ放題」なんて自虐も耳にする、
ブラックorグレーなこのお仕事。

けれど、そんな感じで7月後半〜8月後半の一ヶ月は、ホワイトに変貌。
そりゃあもう、ピュアピュアホワイト。純白。

しんどい日々があっても、夏休みがあるから踏ん張れる、わたしを含めてそんな先生たちもわりと多いんじゃないだろうか。

夏は単なる季節の一つではなく、
したかったことにも、じっくり取り組みたいことにも手を伸ばせる、いったん先生という自分から離れて自由に過ごせる、わたしにとって特別な季節なのだ。


さて、ここから始まった、わたしの長くて短い夏。
何をしたいか、どんな風に過ごしたいのか、
うきうき計画することにしよう。

#エッセイ #先生の日常





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