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【これから】の人は【どこから】

当社の60歳以上のベテランさん方、
九州出身の方が殆ど。
創業者が、かつて九州の中学校を周り、
会社の紹介に走り回ったと聞く。
そこで、故郷を離れ、
遠く愛知の当社に来ることを選んで下さった。

所謂【金の卵】と呼ばれ、
中学校を卒業後、地方から長時間列車に揺られ、
見知らぬ土地に降り立った。
【働き方改革】【ハラスメント】
そんな言葉は何もなく、
【仕事は見て覚えろ】が当たり前の時代。
今の様にSNSやメールやスマホもない。

家族と遠く離れ、
石にかじりついて技術を磨き、
当社をずっと支えて下さっている。

どれだけ心細かっただろう、
どれだけの覚悟で列車に乗ったのだろう、

今、ベテランとして
年下の管理職を支えて下さる皆様の顔を見るたび思う。

当社には、稀に飛び込み営業の方が来社する。
保険や設備関係の方が多いが、
中でも多いのが【人材派遣】の方だ。
大抵は、
「当社には派遣の方はいらっしゃらない」
「当社に外国人実習生の方はいらっしゃらない」

そう、事実をお伝えすると帰って行かれるのだが、
ある日、『情報提供だけでも!!』
と仰るのでお話を伺うことにした。

外国人技能実習生の斡旋をなさっているそうで、
色々と仕組みなどをお話しなさったが、

う~ん。。と首を捻ってしまう事があった。

『日本人よりも、彼らは良く働く』
『若い日本の子たちみたいに文句を言わない』

外国人技能実習生を受け入れてらっしゃる企業さんの声として、営業の方がそうお話しされたのだ。

恐らく、営業の方は嘘は仰っていないと思う。
企業の方も、心からそう思っていらっしゃると思う。
でも、
『何かそれは違うんじゃないかな。。』
そう思ってしまう。

かつては、九州などの地方から来ていた人材、
それが今はアジア等の海外に移っている。

【外国人技能実習生】
その仕組みは素晴らしいと思う。
少子化もあって、どの企業も採用に苦しんでいる。
『働き手がいない』そんな声をしょっちゅう耳にする。

ただ、
40年程前は九州や東北から採用し、
今は海外から実習生を受け入れて、
次はどこから連れてくるのだろう。
この先も、本当に海外の方は、
日本で働くことを選んで下さるのだろうか。

嘗ては、愛知と九州は相当な距離
日本と東南アジアも、相当に距離がある。
おいそれと戻れる距離ではない。
『文句を言わない』
ではなくて、
『おいそれと戻れる距離ではないから我慢している』
『言わない』ではなく『言えない』
そんな可能性も無きにしも非ず。

私はかつて、商船と呼ばれる船を毎日訪問していた。
その中で、フィリピンやベトナム、マレーシア、様々な国の乗組員の方々とお会いした。
確かに皆さん、仕事に非常に一生懸命だ。
でも、今当社で働いてくれている、
地元生まれの若い社員たちの働きぶりが、
それらの船員さんと比べて劣っているとは全く思わない。

当社が、この地で根を張って、
これからもここで仕事をしていくと覚悟を決めた以上、
やはり地元の人たちに就職先として選んでもらいたい。

以前、こんな記事を書いた。

その中で、
【今当社で働いて下さっている方々に報いることが、これからの人たちに報いることに繋がる】
そう記述した。

世の中がどんどんボーダレスになり、
最初に就職した会社で勤め上げるよりも、
より良い場所に移る転職が当たり前な時代。
その時代とは逆行しているかもしれないが、
それでも
【ここで働くのは悪くないな】
そう思ってもらって長く勤めて頂く方がいい。

社員の皆さんのこれからのライフイベントを考えると、
頼れる人が近くにいる地元と言うのは
安心感にも繋がるだろう。

組織である以上、
新しく来てくれた人に、
組織に合わせてもらう部分がある。
でも、
会社も時代時代に周波数を合わせて、
これからの人たちに合わせる必要がある。

【これから】の人が
【ここから】来てもらうため、
今【ここで】働いている人たちに出来る限り報いること。


遠回りかもしれないが、
きっと、間違ってはいないだろう。

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