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【ブランド】ではなく【ブランド化】

バーミキュラってご存じだろうか

愛知県名古屋市にある鋳物メーカー
愛知ドビーが開発・販売している調理器具ブランド
元々は油圧部品を製造する中小企業だったが、
3代目の兄弟の
「町工場から世界最高の製品を作りたい」
という思いから生まれた。
参考: https://www.vermicular.jp/

数年前、
手に入れてキャベツとしめじと鶏肉の料理を作ったのだが、
「こんなに野菜って甘いんだ」
そう、びっくりしたことを今でも覚えている。

創業当時から、下請け仕事をしていた同社、
しかしながら、自社開発自社ブランドに舵を切り、
調理器具ブランドとしての地位を築いている。

こういった事例を見ると、
大企業の下請けをしている当社としても
「いいなぁ」「やってみたいなぁ」
それで、新規事業開発セミナーなんかに足を運ぶ

必ず講師の方がおっしゃる言葉がある。
『自社の強みを活かしましょう』
ただ、ウチの強みって何だろう。。。
ここで詰まってしまう。
ブランドは理想だが、一朝一夕には行かない。

そこで、考えた。
【ブランド】は難しくても、
【ブランド化】は出来るはず、と。

ブランド化

当社は、お客様から図面をお預かりして、その通りに作る。
つまり、お客様のブランドを製造するOEMだ。
しかし、その作り方、仕事のやり方、会社としての在り方。
ブランドは作れなくても、
この部分はブランド化出来るはず。
そう考えた。

簡単に言えば、こういうことだ。

自分たちの事は、きちんと自分たちで考えよう
皆で議論して、当社のやり方を作っていこう
そして自分たちで実行しよう
その結果で、お客様に評価頂こう

こう考えるに至った、きっかけがある。
私が社長になってすぐのころ、
あるお客様から、製品に対するクレーム電話があった。

直ぐに皆で検品し、
担当者がお客様に謝りに行き、
『まぁ今回は。』とお許しいただいた。

その一週間後、
担当者に「この前のクレーム、どうした?」
そう尋ねたら、事も無げに言われた。
『え?何もやってないですよ』と。


いや、ちょっと待とうよと。
クレームに対する対策したりとか
社内の工程を調査したりとか、
何かやってくれたでしょ?

『いえ、なにもやってません。』
『お客さんから求められてないんで』

『お客さんから求められてないんで』
この言葉を聞いて、
この会社に必要なのは、ブランドを立ち上げる事じゃない。
その作り方、仕事のやり方、会社としての在り方
それを『ブランド化』することだと気づいた。

『お客様のブランドを生産している』
それはいい。
ビジネスモデルとして胸を張っていい。
ただ、
・何が正しくて何が間違っているのか
・何をして何をしないのか
・自分たちがこの先も仕事をしていく上で、
何をしたらいいのか

その価値判断まで、お客様任せで果たして、
『自分たちは自分たちのために仕事してる』
そう、言えるだろうか。

社長になってから2年間は、
ほとんどやり方は変えてずにやってきた。
ただ、考え方だけ少しずつ変えてもらってきた。

自分は自分のために仕事している。
【自分のために仕事する場所】
それがたまたま今はこの会社なだけだ。

そう、皆が思ってくれることを願っている。

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