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旅に生きる~撮り溜め放出編~その25~自殺と地形③

※有料ですが全て読めます。
過去の撮りためた内容と無関係の画像を使っておりますが、ところどころ説明入ります。
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笹山神社
〒963-4321
福島県田村市船引町笹山字仲之内456

前回のその②で
『ただし地形に影響されない方法がただ一つあるのですがそれはまた今度書きましょう。ちなみに日本人は絶対無理です。』

と書きましたがどうでしょうか?
人間が地形に影響されないとはどういうことか?日本人には無理な理由は?
これを今回説明・・・・できますでしょうか。ひょっとしたら2回に別けるかもしれません。


ピダハン族はご存じでしょうか?
ブラジルの熱帯雨林の中で暮らす先住民族です。
言語学が好きな方や、よくある『幸せな生き方(笑)』みたいなやつを読む人は目にしたことがあるかもしれません。

彼らの暮らしはおかしいのです。簡単に列挙します。
①夜と昼の区別がない(夜間に連続して睡眠を取らない)、つまり時間の感覚がない
②道具を作ることをあまりしない
③食料を保存しない
④親しい人の死に執着がなく、墓も作らない。川の近くに住んでおり大雨で流されたとしても気にしない
⑤家を持たない(道具を保管する最小限の小屋はある)
⑥神を知らない、見えないものに興味がない

わたしは世界の先住民族には詳しくないのでこの程度で勘弁していただきましょう。


色々深堀りせず簡潔にいきましょう。

なぜ時間の感覚がないのでしょう?
逆に皆さんはなぜ時間の感覚を持っているのでしょう?

例えば隣町にお使いに出かけたとしましょう。
買い物ならお店が開いている日時に、お店の人もお客さんがわかるように休みを決めます。
一番簡単な時間の感覚は『日の出・日没』だと思うわけですが
それはお天道様を浴びることによって得る感覚です。ところが彼らピダハン族は背の高い樹木がどこまでも覆い隠す熱帯雨林の中で暮らしています。
熱帯雨林の中で地表に届く太陽光はわずか2%足らず、
日本の薄暗い森なぞ比べ物にならない薄暗さです。彼らは常にこの中に囲まれているので昼も夜もないのです。


道具を作らない点では他の部族との物々交換などで得ます。鉄製のナイフやシャツなどもここで手に入れます。
外部との接触に抵抗なく、友好的であります。
食料を保存しない点と合わせて原始的な暮らしと初期的脱原始初を形よく残しているのも日本人からすれば理解しがたいところです。
つまり『日にちの概念』も薄いわけです。

アマゾンには305の先住民族がいるとされます。
持っている土地の面積・人口の大小のほかに『移動型狩猟民族』と『狩猟採集型民族』が混在しています。
開発による農地化や森林破壊によって狭い保留地に追い込まれる民族もいればひたすら移動して逃げ続ける民族もいます。


ピダバン族はアマゾナス州のマイシ川沿いに住んでいるので必要であれば移動はくらでもできるはずですが、ここまで日時の感覚がないのはなぜでしょう?

人間の五感、視覚・触覚・聴覚・嗅覚は哲学をはじめ人間が人間らしく、もっと言うと社会的になるきっかけだと思います。
裸足で歩くのは現代人は痛くてたまりませんがジャングルの中では裸足のほうが便利なのかもしれません。
しかし他の文明が発達した地域ではだいたい靴を作って足を保護しました。
世界最古の靴は紀元前7000年前、それから革を縫ったり、ゴムを使ったりどんどん進化します。
それは足からの感覚遮断です。


ジャングルの中では視覚とともに聴覚・触覚も鋭く研ぎ澄まされることでしょう。
一方で欧州では森を切り倒しまくって切り倒しまくって海と山に阻まれるまで切り倒して住む場所と小麦を作る場所を確保しました。
豊かな恵みを得られるジャングルとは違い手のかかる農業を始めました。
そのかわり多くの人口と家畜を養うことができ、それは貧富の差と戦いを生みました。

もちろんアマゾン先住民でも争いが多い民族もいると思いますが、そもそも喧嘩しなくても済んでいる場所が恵みも命を奪う危険も何もかも与えてくれるゆりかごです。

ああ、前置きが長い。このテーマ短くまとめられるはずがねぇんです( ノД`)


でもやっと本題に入れそうです。
ジャングルは鬱蒼としているのはわかります。
危険な生物もいるけど狩りにはもってこい、植物から果実や可食部分を採るのも安易でしょう。

日本はどうですか?
崖に峠、地震、火山に大雨が降ればぬかるみ川は溢れる。
人間が便利に住めるところは水害に襲われる。
山奥は険しく、四季通して食料を確保するのは困難。
何をするにでも場所と時間の概念が強くないと移動も定住も難しい。

バカみたいに暑くお日様が照り付けるのは人間には辛いですが農業には大切、しかし強すぎればダメ。
涼しいと人間は過ごしやすいですが農業には厳しいし。強すぎれば人間も農業も何もかもダメ。

日本人が時間に正確だ、集団秩序を保つことが比較的容易だ、シンプルな美を好む・・・・と美徳とされるものはすべて
『そうしないといけない土地だから』だと思うのです。


ピダバン族は家族内の『父・母・兄弟・子供』などの呼称もなく、会話に過去形や未来形がない(若干はあると思いますが)そうです。
それを『幸せな生き方』『楽になる方法』みたいな本などでは取り上げて
「見習いたい!」とやっているわけですが無理なのです。

農業をやる、つまり役割分担が必要な社会で『父・母・兄弟・子供』の区別がなかったら?もちろん外部の人間の関係性なんかなくなります。組織というものが作れません。

さらに過去形・未来形のない会話は険しい地形では即死です。
子供がお使いから帰ってこない時、心配しますよね?
『何時に出た』『〇〇分で帰ってこれるはず』『いつも通っている道で気を付ける場所』とか頭を駆け巡ります。
だからお使いを頼む時に道を教え、時間を教え、注意する箇所を教えて出発させるはです。
カメラ持って追いかけてくるスタッフと近石真介(亡くなったし)のナレーションが常にいるわけではありません。



このへんの価値観をありがたがるのは世界を見すぎて足元の日本を見ていないか、日本の価値観を意図的に破壊したいかのどちらかです。これは断言します。ダイユーエイトの商品券2000円賭けてもいいです( ´・∀・`)あはは

ピダバン族は日本の逆としては極端な例ではありますが、他国の時間にルーズなところ、地理に適当なところ、命が軽いところなどは地形とさらに気候が非常に大きく影響する気がします。




そうすると他の地域を語る必要が出てきそうですが世界史は苦手なのでやめておきましょう。


ジャングルと言われると『探検』とか『危険生物!』『人食い族!』って赤いテロップが出てどうみても作り物の巨大蛇が出てきてスタッフが襲われたりしそうですけど、思ったより地形としてはなだらかです。


引用https://www.eorc.jaxa.jp/earthview/2003/tp030820.html

上の画像は環境観測衛星でとらえたアマゾン川です。
大部分を占める黄色は森林です。白は雲です。広大な面積です。
長さ6300Km、最大水深100m、川幅は480km、流域面積は7050000 km²。
しかし源流標高4000mから一気に標高100m程度まで落とした後はダラダラとわずかな勾配が続く。
つまり地形としては単純です。それが今は目視でわかります。
森林の乱伐により地表が見えてしまうからです。上の画像ですと赤い部分がその地域にあたります(森林火災も含みます)



ピダバン族の生活も道路・学校・病院の建設で大きく変わる可能性があります。
アマゾンの森林伐採で地球の酸素・・・・はあまり影響を受けません( ´・∀・`)実は
アマゾンの熱帯雨林は酸素を出して同じ量の酸素を消費しています。
だからと言って切り倒していいわけではないです。

しかし人間もまた自然の一部、昔ながらの生活を『豊かさ』が奪うことも環境破壊だと自分は思います。

今回は補足のような内容でした。

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