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愛娘に謝る勇気

身内や親しい友達ほど、なかなか素直になれないことはないですか?

「親しき仲にも礼儀あり」
どうにもならないほど拗れてしまったのなら正直に謝った方が良い。

なぜなら
親子であっても、長年の鬱積したものが蘇り、信頼が失われそうになったり、本当の気持ちが伝わらない時もあるからです。

恥ずかしながら
私は66歳になって、人生で初めて愛娘に謝ることになりました。

ことの発端は、愛娘の初産妊娠中に起きました。しかも不妊治療の末に授かった小さな命が分かった頃でした。

それだけでも娘は産まれてくる子供のために、丁寧に丁寧に日々過ごしていたようです。

娘にとって初めてのことだから何もかもが不安で心配なのは無理もないことです。

更に妊娠糖尿病が重なって情緒が不安定だった時に、私の不用意な一言。

陣痛が始まったら
『出産タクシーで病院行ってね!』

自然に出てしまった言葉。

その瞬間の愛娘の悲しそうな顔が今も忘れられません。

というのは、私は、出産予定日の頃に大事な海外クルーズが入っていたので、その時期は病院に送ってあげることは不可能で思案していました。

プランBとして『出産タクシー』エンゼルプランというサービスを見つけ、有効だと考えていました。ビジネス的に考えれば事前準備の良い代替案だと思っていました。

理屈としては合理的な案だと思います。

しかし、娘の心境は、初めての出産なのによくそんなひどいことが言えるもんだ、、、という風に思ったのでしょう。
大変な時だから無理もない。

子供の頃から
単身赴任、海外出張など母子家庭のように私は家にいなかった。

娘の私に対する印象は、仕事のことしか考えていない人。自己中心的な人。

長年子育てを妻に押し付け、放置してきたツケが回ってきた感じでした。

初孫誕生の時を目の前にして、家族は口を閉ざしてしまう結果になり、埋められない常識の違いに戸惑いました。

そんな時、気付かせてくれた友人の一言。
長年、父親との関係でうまくいってなかった彼女の想いと解決策は『父に謝って欲しかった』とのことでした。

全く想定していなかった一言。

私にも思い当たる節がある。

外資系企業に勤め、バカみたいに昇進、昇格、昇給のために家庭も顧みず『資本主義の奴隷』代表だった私。

娘は素朴に愛を感じてない可能性があると珍しく反省しました。

そこで、友人のアドバイスを藁をも縋る感じで実行しようと思い、正直に心の内を手紙にして伝えることにしました。

面と向かって、話すべきか
手紙に自筆で書こうか
メールでも伝わるのか?

迷いに迷った末、
娘が日常的に使っているLINEに長文レターを送りました。

上手くいくのか?
裏目に出るのか?

既読になるまで自宅近くの喫茶店で待機していました。2時間ほど待ったでしょうかやっと既読になりました。

胸が張り裂けそうな想いで、玄関のドアを開けました。

すると
玄関からも聞こえるほど大きな声で
笑い声が聞こえました。
よし、やった!

私を見るなり
『変な人』って一言。
この一言に嫌味ではなく配慮を感じた。

嬉しかった。

やはり、照れ臭くても
素直に謝ることは大事だと痛感した1日でした。


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