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【映画感想文】ジョゼと虎と魚たち(2020年・アニメ版) ※ネタバレ注意!

※サムネイル画像はイメージです。
※この記事はネタバレを含みます。
※「Filmarks」でも、空き缶の名前でレビューを書いています。似通ったレビューが見つかる場合がございますが、同一人物ですので悪しからず。

記録

鑑賞日:2023年1月29日
鑑賞方法:U-NEXT
評価:4.5/5.0


ジョゼの性格の悪さも、また良い。だけど舞は許さねえ。()

実写版からずっと気になっていたのですが、長い年月が流れ気付いたらアニメ版と韓国版も出ててビックリ。(笑)
そんなことはまあ良いのですが、わたしは自分の感想を自分の中で整理したうえで、他の方々が書かれたレビューを読むことがけっこうあります。観終わってすぐに他の方々のレビュー見ちゃうと、流されちゃって自分の気持ちがよくわからなくなってしまうことがあるので…。
ただ今回は、観終わったときに自分の気持ちがけっこうハッキリしていたので、何のためらいもなく他の方々のレビューを読めた。

そして驚いた。ジョゼへのヘイトの多さに。そして、舞の好感度の高さに。

ジョゼに限った話ではなく、これは現実世界として考えても難しい問題だと思うのですが、障がい者だからといってどんなワガママも許されるというわけではないとわたしも思います。
ただ、障がいがあるからこその悩みや葛藤は、経験した者にしか知り得ないと思うし、本作においても、夢を追い求めることの困難さを、恒夫も身をもってして痛感している。
まあ、最初に助けてもらっといて噛みつくのはさすがに度が過ぎてたと思うけど、「普通」というのがわからなくて、その苦しみからそれがワガママというカタチで出てしまうこともあるのかな、と。それさえも、わたしの想像に過ぎないのですが。

そして、外に出れば危ないことがたくさんあるという恐怖。それは想像や思い過ごしというわけではなく、ジョゼは実際にその身に受けている。物理的なものから精神的なものまで。それに少なからず対抗するべく、強くあろうとする気持ちがまた空回りして、近しい人間に対してワガママとしてあらわれることもあるのだと感じました。

実際、恒夫といっしょに過ごしていく中で、恒夫の人となりと知ったり、世界というものを知っていく中で、ジョゼは穏やかになっていくし。そういった心境の変化が、丁寧に描かれていると感じられる素敵な作品でした。

その一方で、恒夫の後輩の舞は、喪に服している人間に対して、「彼がいっしょにいるのは同情」って言うなんて…え、どんな神経してんの?っていうのが率直な感想なのですが、なぜこんなに評価が高いのかわからなくて困惑しています。()
恒夫のことを思っているふうで、実際には自分本位の言動としか思えず、「自分が恋人になれないのであれば、せめて誰とも上手くいってほしくない」というふうにしか聞こえなかった。
その後も、引きこもっているジョゼを連れ出すために、かなり酷い発言をしていますが、結果として良い方向に転んだし、本人としてもそれくらい大胆なことをしないとジョゼが動かないとわかっていたからだということは感じとれたものの、それが美談かと言われると疑問。

例えばそれが、バイト仲間の隼人から恒夫に対しての言動だったのであれば、それなりの関係を築いてきた2人だからこそ成り立つ友情って感じがするし、出会ってからの日は浅いものの、司書の花菜ちゃんからジョゼに対してだとしても、友情として成立すると思う。
ただ、出会って日も浅ければ友情なんてものも存在しない舞のあの言動は、逆にトラウマになってもおかしくないくらいだと思うのですが…。
星5つにならなかったのは、そのモヤモヤゆえにです。

ジョゼと恒夫のデートにドキドキ

このドキドキというのは、胸キュンという意味もあるのですが、それよりも「おばあちゃんにバレたらどうしよう…」というドキドキです。
てっきり、そのうちバレてこっぴどく叱られるもんだと思っていたら…なんなら、「もううちのジョゼとは会わせません!」なんて言われて、会えない時間に募っていく2人の想い…みたいなベタ展開まで想像していたのに。(笑)
実際にはおばあちゃんは、2人が自分の目を盗んで出かけていることを知っていて、しかもそれによってジョゼに良い変化があることを喜んでいる。
というか、良い変化があったからこそ黙認していたのだと思うけど、2人が怒られなくてほんとに良かった…と、思わずホッとしました。

胸キュンという意味では、海でお姫様抱っこしてくるくる回ってるの、とても素敵でした…。
自分もやってみたい、的な憧れとかではなく、見守っていて「尊い…」と感じるような胸キュンで…。
アニメだからこそ描けるようなキラキラとしたシーンに、とても惹かれました。

当然の如く大号泣の絵本読み聞かせのシーン

ジョゼが自作の絵本を読み聞かせるシーンは、号泣必至でした。
ジョゼだからこそできる表現方法というか、2人の世界を美しく表現していて、そして恒夫の心に響くカタチで描かれていて…もうなんか上手く言えないんですけど、とにかく感動しました。この一言に尽きる。

それをきっかけに、ジョゼも恒夫もまた夢を追いかけて努力を始めるというのも素敵でした。

ラスト、自分ひとりの力でなんとかやっていこうとして、姿を消してしまうジョゼだったけど、恒夫は自分の夢もジョゼも諦めないところが、「恒夫らしい」と、恒夫の人となりをこっちまでわかった気になったりしました。

2人が関係を築いていく過程を見守っている気持ちになれるような、素敵な映画でした!


空き缶

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