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『エル・ドラド』ハワード・ホークス×ジョン・ウェインの傑作西部劇

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ハワード・ホークスの『リオ・ブラボー』とも似ている西部劇。ジョン・ウェイン主演の西部劇で、『リオ・ロボ』と合わせてホークス西部劇三部作と言われているらしい。『リオ・ブラボー』と似ているというのは、登場人物の役回りが似ているのだ。

ジョン・ウェインの相棒役として、『リオ・ブラボー』のディーン・マーチンをロバート・ミッチャムが演じており、どちらもアルコール中毒になってしまうのは全く同じだ。一方、二丁拳銃の若きガンマンのニッキ―・ネルソンは、本作ではナイフの使い手で拳銃を撃ったこともない若者ジェームズ・カーンが同じような「若者枠」で登場し、慣れないショットガンでジョン・ウェインを助ける役割を演じる。さらに足が不自由だった爺さんのウォルター・ブレナンは、本作ではアーサー・ハニカットがラッパを吹きながら保安官助手として働いている。

ジョン・ウェインがエル・ドラドの町にやってくる場面から始まる。すると保安官のロバート・ミッチャムが髭を剃っている洗面所のジョン・ウェインに、いきなり「誰に雇われてきた?」とライフルを構えて問い質す。旧友の保安官と敵対する雇い主のジェイソン(エドワード・アズナー)だと知り、ジョン・ウェインはすぐに断りに行く。その帰り、ジェイソンと敵対する牧場主マクドナルド(R・G・アームストロング)の息子を不意打ちにあって殺してしまう。その息子の亡骸を届けた後に、牧場主の娘に背中を撃たれてしまうのだ。背中の銃弾を取り出さないままにしたおかげで、ジョン・ウェインは後に突然右手が痺れ、銃を持てなくなる怪我を抱えることになる。

教会に立てこもったジェイソン一味と対峙する時、教会の鐘を銃で撃ちまくり、鐘を鳴らしながらやっつける場面や酒場のピアノの影に隠れているところを、ピアノ弾きの不審な挙動から察知する場面など、アクションシーンでの見せ場もある。

足を撃たれて怪我をした保安官ロバート・ミッチャム、銃を右手で撃てなくなったジョン・ウェイン。それにまともに弾丸を当てられない若造のジェームズ・カーンと爺さんのアーサー・ハニカットの4人が保安官事務所に立てこもり、ジェイソン一味と彼が雇った早撃ちガンマンのクリストファー・ジョージを相手に、全く勝ち目のない不利な状況から闘いに挑んでいく。ジョン・ウェインは、一度敵が集まる酒場に乗り込んで、左手の痺れから銃が撃てなくなり捕まってしまう失態もやらかしている。

早撃ちのガンマンが怪我をして、銃を右手で撃てなくなって最後は左手で撃つというエピソードは、ドン・シーゲルの『抜き射ち二挺拳銃』(1952年)でも使われていたが、ここでもジョン・ウェインは最後に馬車から飛び降りながら、隠していたライフルを左手で撃つことで敵の早撃ちガンマンを倒す。ライバルの早撃ちクリストファー・ジョージが「お前さんの左手にやられるとは・・・」と呟いて死ぬ。ラストはロバート・ミッチャムとジョン・ウェインが二人で松葉杖で町を歩きながら「お前に居座られたら困る」などと憎まれ口を言いあって終わる。

アル中になったロバート・ミッチャムがコミカルな酔っぱらいを演じたりするが、『リオ・ブラボー』よりキャラクター造型が弱く、まったりとした印象がある。それでも松葉杖やアル中、怪我などの弱さも見せる人間味あふれるガンマンたちの戦いが描かれていて楽しめる。


1965年製作/126分/アメリカ
原題:El Dorado

監督・製作:ハワード・ホークス
原作:ハリー・ブラウン
撮影:ハロルド・ロッソン
音楽:ネルソン・リドル
美術:ハル・ペレイラ、カール・アンダーソン
キャスト:ジョン・ウェイン、ロバート・ミッチャム、ジェームズ・カーン、 ポール・フィックス、エドワード・アズナー、シャーリーン・ホルト、ミシェル・ケリー、クリストファー・ジョージ、マリナ・ゲイン、アーサー・ハニカット、R・G・アームストロング

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