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花束みたいなお菓子を贈った


今年の春先、『花束みたいな恋をした』という映画を観た。愛がなんだとか、生きてるだけで愛とか、フィルムで撮られたようなポスターの邦画にはついつい惹かれて、映画館へ足を運んでしまう。とか言って、ハリウッド映画も鬼滅の刃もスタジオ地図も観るんだけど。映画館大好き。

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映画を観終わったあと、この「花束みたいな」ってフレーズがどうしようもなく好きになった。きれいなだけでなくって、有限性みたいなものを感じる。それから、花束って私にとっては贈り物って意味が強い。つまりは相手のためってやつだ。

今日はとある贈り物をした話をつらつらと書こうと思う。



さくらんぼの瓶詰めを作る

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さくらんぼの紅秀峰を使ってコンフィチュールを仕込む。砂糖をまぶした瞬間のさくらんぼがかわいくて思わずぱしゃり。


種取り

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まずはこの地道なる作業から。コンフィチュールって下処理がけっこう腰重い作業多いんだよな。種取りにちょうどええものないかと引き出し漁ってたら見つけたので大活躍だったこちら。まあカニの身取るやつなんですけど。カニじゃなくてすまんな、冬に会わせてやるからな。

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砂糖どっさりにも最近慣れてきた。まあ言うてもすぐ溶けるし。色味がわりとすぐ抜けていくのを感じたので、ゆっくり火にかけて早めに火から下ろした。お馴染みホーロー容器に入れて一晩寝かせる。

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一晩明けて鍋へ。さらに砂糖を加えて加熱していく。さくらんぼ、身は崩れやすいわ、アクが取りづらいわでなんとも作りづらかった。かわいい子は手間がかかるってな。

完成🍒

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ツルヤのジャム瓶が六角形で可愛かったので再活用。余りはお家用にキープ。


サブレシトロンを焼く

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お馴染みいがらしろみさんのレモンクッキーのレシピで。レモン果皮は春先に冷凍で保存してあったのを使った。この生地はいつも通りフープロで作る。

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まんまるお月様で型抜き。

焼き色を見ながら優しめに焼く。でも贈り物なのでしっかり火は通さねば。ここが難しい塩梅。

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レモンアイシングを塗って200度のオーブンでさっと60秒。このあとはじっくり自然乾燥させる。

完成

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少し薄めのアイシングのほうが、サブレ生地が透き通って見えて素朴な感じ。ぷっくりアイシングも好きだけどたまにこっちも作りたくなる。


ホワイトチョコのスコーン

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ブラックチョコレートのチップばっかで作ってたけど、ホワイトチョコだって美味しいに決まってるよね。前日に仕込んで寝かせた生地を型抜きしていく。そういやスコーンを前日に仕込んだの初めてかも。

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たっぷり塗り玉してオーブンへ。いつも通り180度30分。

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んんんん?膨らみが少し抑え気味な気がする。一晩寝かすとこうなのかしら。まあ焼き色はとてもグーです。ホワイトチョコもほんのりきつね色になって美味しそうだ。


完成

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も少し分厚く作っても良かったかな〜。まあでもたくさんできたからオッケー!ホワイトチョコの香りがして焼き立ての誘惑がすごい。匂いにつられて一個味見で食べてみる。膨らみが弱いので心配だった中身もちゃんとほくほくしてたので一安心。



甘夏のパウンドケーキ

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今回の主役お菓子は、小嶋ルミさんのレシピで作るパウンドケーキに少しフレーバーを入れてみる。去年シトロンケーキを作った時もこのレシピを元にして美味しかったので間違いがない。今回は満を辞してカルピスの発酵バターを活用しよう。

ちなみにルミさんのレシピはとても厳格なるバッター法なので、温度管理とスピーディーさが求められる気がする。「絶対美味しいもん作らせてやんよ」ってのがレシピからひしひしと伝わってくるので頼もしい。mamigeさんも参考にしてると聞くのでさらに信頼度高まる。

まずはバターと砂糖をよく泡立てる。これもよくあるレシピだと白っぽくなるまですり混ぜる、とか言うでしょ。ルミさんは言わんのよ。ハンドミキサーの◯速で◯分攪拌する、という表現で責めてくる。しかも1秒に何回転するかも。もう失敗する気がしねえ。

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その通り作るとこんな感じにふわっふわになる。このままヴィエノワ作れそうな感じ。バターと砂糖を攪拌し終わったら、卵を分けて加えてまたその都度ひたすら攪拌。ちなみに卵を入れる回数も指定をされるし、もちろん出来上がりの生地の温度も目安がある。ルミさんのレシピの前では指示待ち人間になってしまうぜ。

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粉はエクリチュール。パウンドケーキで使うのは初めてだ。蛋白含量がドルチェと近いので、ベイクド系の焼き菓子と相性良さそう。

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しっかりした生地。いいねえ。ここに甘夏の登場!開けるときにかぽって音がする。上手く瓶詰めできた証拠の音だ。シロップをきって果肉と果皮のみ使うことに。

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こんなもんかな。

型に入れていきます。パウンドケーキのこの、生地を両端に貼り付ける風習。スケボーの練習場or SASUKEの壁、みなさんはどちらを思い浮かべますか?私は前者です。

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ひとつはアーモンドスライス、もうひとつはローズマリーを乗せてみた。アーモンドの方にピスタチオホールものせる予定だったのに忘れた。悔しい。


完成

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理想の焼き色!これだよこれこれ、この色!こんがりきつね色に焼けたパウンドケーキを見てにやにやしてしまう。パウンドケーキに限らず焼き色が理想だと気分がいい。

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友人にどっちが欲しいか聞くとアーモンドが欲しいと即決してくれたのでローズマリーの方を味見。

最高に良い仕上がり

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ここ数ヶ月で作ったお菓子の中で一番お気に入りかもしれん。しっかり目が詰まってて形も良い。味も良し。そしてなにより、甘夏のコンフィチュールのポテンシャルに脱帽である。これを巷では自画自賛という。

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ちなみにこれは友人が注目線をつけてくれたパウンドケーキ。こういう仕事だけは早い。


包む

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それぞれフィルムで包んで、なんかええ感じのシールあったから貼っといた。早めにお召し上がりくださいって書いたええ感じの英字っぽいシールが欲しいけどなかなか売ってねえ。


夏のおやつ便、完成

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時計回りに、サブレシトロン、ホワイトチョコスコーン、甘夏のパウンドケーキ、さくらんぼのコンフィチュール。ぴったり入った!

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くじらのメッセージを添えて、水色のリボンを結ぶ。メッセージカードには「一人暮らしに贈る量でないことは分かってます」とだけ書いておいた。

段ボールにつめつめして、郵便局へ。頼んだぜ、日本郵便さまさま!!いつもありがとう!〠



花束みたいな

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贈るためのお菓子って、作ってる時ももちろん楽しいけど、相手の好みを考えてメニューを決めたり、作り終わったお菓子をひとつひとつ包んだり、お手紙を添え、リボンをかける作業が好きだ。

季節は外れてしまったけど、小さな桜色の花束を添えた。開けたときに喜んでくれるかな、なんて思いながら。

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