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愛猫ビーと2匹の子猫

  1043文字    ヤレヤレ~5

「道の真ん中に仔猫2匹いるから連れて来るなよ」

 車を降りた父は私の顔を見るなり釘を刺しに来た。

「何処にいるの ? 」

「この道登りきって平らな所にいるから連れて来るなよ」

「わかった]

 聞いたからには気になる、食べ物を持ち父が見ていない事を確認して私は歩き出した。
 いた~ 道の真ん中に二匹くっいて12~3センチ程の石に見える、さび猫の色が薄いのが、誰かが捨てていったんだわ生まれて一か月程、大きな四つの瞳がぴくとも動かずに私を見つめて来る。
 車にまたがれて怖かっただろうに、小さなウンチは昆虫の羽ばかり、捨てられてから随分日にちが経つのだろう事がわかる。
 周りにはダンボールらしき物は見当たらない、連れて来てそのまま捨てていった事がわかる、食べ物を与えるとぎこちなく食べ始めた。
 父から釘を刺されたからには今連れて帰るわけにはいかない、暫くは良い天気が続く筈、夏なので夜の寒さはしのげるだろう、グルグル思い巡らす、ダンボールを持って来て分からない様に草の茂みにフカフカの敷物を入れて、二匹を連れて来て入れ撫でると気持ち良さそうにするが、私の手に二匹してすがりつき登って来る。
 とても軽い、新聞紙よりも軽い、捨てられてから相当日にちが経っているのがわかる。
 二週間程食べ物を運んだが、台風が来る予報に連れて帰る事に決めた、父に見つからなければ良い、悪知恵はこの時の為の物しこたま働かせて、父が居ない時間帯を狙って実行された。
 愛猫ビーの前に置くと目を丸くしながらまず匂いを隈なく嗅ぎまわり終わると、そそくさと寝床に行き眠ろうとしているのでひと安心、すると子猫達はビーのお腹に行き乳を飲む仕草でビーのお腹をモミモミ、毛をちゅうちゅう吸い出したが、ビーは嫌がりもせず見つめている、ホッと胸なでおろす。

 目を離すとこの二匹は自分のウンチを食べる、お腹がすいて食べていたのだろうが叱りつけて、口から取り上げる事一か月程、まだ父にも誰にも見つからずにいた。
 部屋から出る時は聞き耳を立てて、入る時は辺りを伺い、何かをする時は皆が寝静まった時を見極め、う~ん忍者並みだわ(笑)

 私は誰にも知られていないとばかり思いこんでいた。
 今思い返すと子猫を連れて来た事など既に知られていたのだろう、道の真ん中からある日子猫が居なくなったのだから、いつも使う道をすっかり忘れて行動していた、それとも運悪く狐やタヌキに捕食されたとも考えていた・・のかもと思う。
 
 何はともあれビーと子猫は仲良く元気だ。

      続く

 
 

 






 

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