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常連さん

あっ、またあの人いる…。


ユズキが近所の中華料理屋にいくと、いつもいるおっちゃんが今日も来ていた。

ユズキは少なくとも週1、2回くらいは来ているのだがそれでも毎回いるし、外から覗くだけでもいつもいるからこのおっちゃんは本当に毎日いるんじゃないかとユズキは思っている。


カウンター席の1番奥、目の前の厨房にいる店長と話せる席がおっちゃんの定位置だった。他の席に座っているのを見たことがない。店長がキープしてあげているのだろうか。


おっちゃんはいつも酒を飲み、ちょっとずつ料理を頼み、時には隣の席の女の子に声をかけておごってあげながら(ユズキもおごってもらったことが何度かある)、長居している。店長が良しと思っているのか内心迷惑に思っているのかはわからない。おっちゃんがお金を落としていることはたしかだ。しかし、ユズキのようにおっちゃんに絡まれるのを煩わしく思い以前より行かなくなった客がいるのも事実である。


おっちゃんを疎ましく思う気持ちがユズキにはあった。しかし、おっちゃんは自分の家に居場所がないのだろうか、と思うとなんだかおっちゃんが哀れに思えてくるのだった。


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