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「王様!蒼と金色が足りません!」

「ふむ」
王様は、山のように重なったコインや宝石の中から一つ、金を包みこんだ深い青色を宿す宝石を絵師に授けました。

さめるような深い蒼色。
所々、金色が散りばめられた宝石。
古代より削って粉にして絵の具として使われてきました。

この絵師は無色透明の空に向かって、ひたすらに蒼と金を塗っています。
時々、コインや宝石も散りばめながら。
コインや宝石は、惑星や星になって豊かに空を賑やかに彩っています。

山のようにあった王様の宝物は、全て空に使われました。王様は、王国のみんなが宙を見上げて思い思いに星を楽しんでいるのを見て大満足です。

「目に見える財産は無くなったけれど、宙を見上げて喜んでいるみんなが財産じゃないか、ほっほっほ」

無色透明の空が、彩り豊かな宙になった始まりのお話。


宝石の研磨技術が発展する前、研磨しなくても綺麗な色を発色してる宝石がもてはやされ、祭事や権力を示すものに使われてました。ダイヤモンドの魅力にみんなが気がつくのは、もっとずっと後のお話。ラピスラズリは古代より薬や絵の具として使われてきた、人類最初の宝石と言われてます。深い青色は、色んな鉱物が混ざり合って現れています。金色は別の鉱石です。

忙しい現代、たまには宝石を眺めて色んな空想をするのも楽しいかも知れませんね。

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