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夜のネコは疲れる。

公園の木の陰に太陽が沈んでいく。 

オレンジ色に照らされた空にうっすらと大きな丸い月が見える。     

草むらの中から心地よいコオロギの声が聞こえてくる。

そろそろ見回りの時間である。

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私が塀の上を歩いていると、「ウァーオ!」 とメス猫の鳴き声が聞こえた。

新しい出逢いに期待が高まり、軽い足取りで声のする方へ向かった。

壁の端で立ち止まり声の主を探した。

道の向こう側に、今晩の満月のようキラリと光る大きな瞳を見つけた。

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「なんてかわいいメス猫なんだ!」

私は精一杯恰好をつけて壁からジャンプし、体操選手のような着地を決めた。

「見たか、この運動神経!」

私の動きに惚れ惚れしただろうと思い込んで、したり顔でチラッと彼女に視線を送ったが、彼女は寝転がって体をペロペロ舐めて毛づくろいをしていた。

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「ははーん、ツンデレ系だな。それも悪くない」

彼女が私のパフォーマンスを見ていなかったのは残念だったが、同時に闘志が湧き上がるのを感じる。

小走りで道路を渡り彼女に近づこうとした時、妙な殺気を感じて後ろを振り返った。

私より少し大きな体格の威圧感のあるオス猫が、彼女を見ていた。

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どうやら奴も彼女が気になっているようだ。

私の本能がこの競争相手と決闘する運命を察知していた。

「ウァーオ!」 相手はドスの利いた低い鳴き声で私を威嚇してきた。

「ンギャーォ!」 私も応戦した。

「ウァーーーーオ!」 相手はさらに大きな声を出しながら間合いを詰めてくる。

私は、臨戦態勢に入った。

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相手は私より体が大きい。 体力勝負では負けるかもしれない。 一撃で決めてやる。

この勝負に勝つための戦略は、先手必勝しかないと私は感じていた。

ジリジリと間合いを詰めてくる相手を睨みつけ、前足の爪を出して攻撃のタイミングを計った。

相手が、私のリーチが届くところまで近寄ってきた瞬間を狙って、後ろ脚に力を入れて思いっきりジャンプして敵の額に左フックを一発お見舞いしてやった。

敵が一瞬ひるんだ隙に、さらに得意の右ストレートの猫パンチをかました。

「どうだこの野郎!」 

黒猫は、私の猫パンチを食らって倒れかかったが、なんとか踏みとどまって右アッパーを繰り出した。

カウンターで放たれた相手のアッパーが私のアゴを捉え、私は後ろへ飛ばされて背中から地面に落ちた。

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「こいつ、デカいだけじゃない。強い!」

私は、すぐに立ち上がり少し間合いを取って、次の攻撃に備えた。

右手を出して間合いを図りながらけん制してみる。

相手も同じように左手を突き出して、間合いを図ってくる。

しばらく侍同士がお互いに間合いを図り勝負のタイミングを図りあうようにらみ合いとなった。

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「次の一撃で決めてやる・・」

私は後ろ脚に力を貯めて、必殺の後ろ回し蹴りを放った。

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決まった!

私の一撃をまともに食らった敵は、宙を舞い、もんどり打って倒れた。

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敵は戦意を喪失してスゴスゴと退散した。

私は勝った。

振り返って彼女に話しかける。

「どう、結構やっるしょ、見てた?」

しかしもう、彼女はいなかった。

私は疲れたので、そのままその場に横たわった。

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冷えた路面が気持ち良かった。

疲れたので、少し眠ろう。







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