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閑話休題・言帰正伝

2019.4.14の未明に天満界隈で火事があった。

その数時間前にたまたま、通勤ルートでもある、その火元になったお店の脇を通って駅に出ていた。

そして、仕事が終わり、その数時間後に同じ脇道を通ると、複数台の消防車と救急車と消防隊員で現場はごった返していた。

ここからは勝手な妄想だ。

燃えたのはきっと、俺の過去で、

その火事をキッカケにして、

俺はその瞬間、生まれ変わっていたように思う。

トラウマはもう無くなっていたけど、

悲しい気持ちを忘れた訳じゃない、

そして、今度は俺が助ける番だと思った。

拓也君、大洋、征二、

ごめんな、助けられなくて、

俺はずーっと、後悔してきたんだ。

けど、もう後悔はやめた、

変わるよ、俺、

じゃーね。バイバイ。

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『D』

長い長い夜でした

本当に朝が来るのかと疑う程に

それでも僕らは月明りを頼りに旅を続けました

しばらく黙って歩き続けました

ところがガツンと頭を強く打ち付け

「なんだろう?」と見上げると

そこには大きな壁があって

そこで道は途中で無くなっていました

僕らは家に帰ろうと思いました

頭も痛かったし

それぞれが家族の顔を思い出したからです

全ての旅は家に帰ることによって完結すると

誰かの何かの本に書いてありました

素敵だなと思いました

僕らはその言葉を大切な人達に届けようと思いました

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嘘です
本当は帰ってこれない者達がいました
彼らはそれぞれに動物の名前を持ってい
ました
それは印のようなものです
そして、彼らは今でもそこに留まっています
僕は彼らを迎えに行かねばならないのです

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譲れないものの為に

わざと遠回りして

私は海に出る

近くにいると傷つけてしまう

けど、近くにいないと伝えられない

この川を渡れば向こうはもう違う街

音楽を聴きながらバスに乗り込む

バスが川を渡る

その橋のちょうど真ん中

キラキラと水面に揺れる光の帯びが

本当に綺麗で

瞬間

与えられていたのは

私の方だったのだと

ようやく気がついたのです

川を渡ったバスを降りると

反対方向に

街から橋を渡るバスとすれ違いました

不思議と

自分とは切り離して見ていました

海まではまだ距離がある様に見えます

残りは歩いて向かうことにしました

月がゆっくりと

向きを変え

こちらに気が付くまでに

そんなに時間はかかりませんでした

やはり、私は戻ってきてしまったようでした

辺りは暗くなり始め

いつのまにか景色が変わっていました

得体の知れない暴力的なものが

そこかしこに集まって来る様でした

私は振り向くことをやめ

ただ、ひたすらに海を目指して歩き始めました。

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#物語 #閑話休題

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