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80歳のセンパイと暮らす。(12)

センパイは人に会った日、
必ず「お土産」を貰ってくる。

誕生日とか旅行に行ったとかではなく、会ったら、とにかく、ちょっとしたもの(大体が食べもの)を渡し合うのだ。私もするけど、さすがに毎回ではない。

数ヶ月に一度会う学生時代の友人ふたりとは、これまで一体、何回渡し合ってきたのだろうか。
恐らく去年のこと、そのうちの一人が、「もうこういうの、面倒だから、やめにしない?」と言い出したという。
センパイともう一人は「別に面倒じゃないし、やめる必要はない」と返したらしい。センパイは酷くご立腹で、うちに帰ってから「心遣いの問題でしょ。そんなことが面倒だと思ったら、人間として終わりよね!」と賜っていた。
人を思えなくなったら、人間として終わり、なのね。センパイにとっては。

80歳ともなると、
同窓会をやめる
年賀状をやめる
そんな話が増えてくるらしい。
同窓会に行かないし、年賀状も書かない私には味わえない寂しさが漂っている。

センパイはそれと戦っている。
オフィシャルな同窓会は終わったらしいが、数名の友達との会をいつも仕切っている。
厳選した人たちへの手書きの書の年賀状も続けている。
なんかカッコいいぞ。

結局、やめようと言った友人も、習慣になっているから、つい「お土産」を持って来てしまうらしい。この前貰ってきたものには、ひな祭りのお菓子が入っていた。そして、いつもご馳走さまです。

#80歳のセンパイ #ライフスタイル #人生を楽しむ #エッセイ #備忘録 #老いる


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