スクリーンショット_2017-08-24_17

〈バスケバナシ〉 2-3 日本バスケの進む道

■ まずは3Pで勝てるように!
競技レベルを上げていく、日本が世界で勝てる国になっていくための要素として抑えておきたいのが、「3P(スリーポイント)」と「ピック&ロール」です。

3Pに関してはこちらで前述した通りです。世界的にその重要性は増していて全世界のゲームの1試合における3Pの割合は年々上がっています。日本においても高校生や中学生の試合に至るまで上がり続けています。(NBA最も極端なチームは全シュートの半分以上が3Pのチームもあるくらいです。)

少し雑な表現ですが、3Pのスペシャリストであれば日本人が不利な体格差はそこまで関係しません。事実NBAのステフィン・カリーを始めとする3Pのスペシャリスト達は標準的な体格、小さな体格の選手が多いです。

この3Pの確率をとにかく上げていく。あらゆる距離やタイミングで、いろんな局面で3Pで点が取れるチームになれると得点効率が上がり一気に強くなります。この流れは日本にとって正直チャンス、鍛えない手はありません。

■ もう一つの重点戦略、ピックアンドロール
もう一つ抑えておきたいのが、「ピック&ロール」と呼ばれる戦術です。

こちらも前述した通り、チームは常により確率の高いシュートを選択します。より確率高くシュートを打つためにフォーメーションや戦術があるのです。その上で、一般的にシュートの確率を上げるアプローチは、ダンクやレイアップ、ゴール下などゴールからより使い場所でシュートを打つことと、相手のマークがない(弱い)状態、いわゆるフリーの状態や、ディフェンスとのミスマッチを起こすなど、より楽な姿勢でシュートを打つことです。そしてこのフリーの状態やミスマッチを起こす戦術として有効なのが、ピックアンドロールです。図解だと少し複雑になりますがこの戦略の基本を少し説明したいので、お付き合いください。

■ ピック(スクリーン)して進路をブロックし、フリーをつくる
まず①得点能力の高い選手がボールを持ちます。②の選手(比較的大柄なことが多い)が①にディフェンスする選手(あ)の進路をブロックすることをピック(スクリーン)と言います。下記【A】の動きです。そのタイミングで①の選手は(あ)のマークが外れる方向にドライブしてフリーの状態をつくります【B】。元々②の選手についていた(い)の選手が①の選手のケアをしたとしても、①(い) と ②(あ) の状態はミスマッチであることが多くなりチャンスが生まれます。

■  スクリーナーが体を反転させてフリースペースへ動く(ロールする)
上の状態から①が得点を狙う場合もあれば、①の動きに対して元々②についていた(い)の選手がケアする場合おあります。(ディフェンスのスイッチ)【C】

【C】を踏まえてあるいは【C】を予測して②の選手がゴールに向けて体を反転させてフリースペースへ動き(ロールし)【D】、パスを受けてシュートするのが「ピック&ロール」です。

テキストで書いても必要以上に難しく感じてしまうので、ぜひ動画を観てもらえればと思います。以下は主に1990年代のNBAで一時代を築いたユタ・ジャズというチーム(基本青系のユニフォーム)の12番(ストックトン)と32番(マローン)のプレー集です。

ストックトンとマローンはジョーダンと同時代の選手で、ともにNBAのレジェンドです。ストックトンはNBA歴代最多の通算アシスト数、マローンは歴代2位の通算得点(ジョーダンより多い)という素晴らしい成績を残しています。それもこれもこの2人の見事なまでのピック&ロールが当時誰にも止められなかったからなのです。

■ 未だに人気の常套戦術
ストックトンとマローンの時代の前からこのピック&ロールはよく使われていたにも関わらず、その後いくつも応用は生まれながら未だにこの戦術は世界中で使われています。このフォーメーションの優れているところは、ピック&ロールを基本にしながら、あらゆる場所に“ギャップ”を生んで無数の攻撃に展開できるところです。Bリーグの多くのチームや日本代表もこの戦術を使っているので観戦前になんとなく理解しておくとより一層楽しめると思います。

日本代表は今まで比較的このピック&ロールが得意ではなかったのですが、合宿などでもかなり重点的に練習しています。シンプルでいてとても有効的なピック&ロールを身につけて国際大会でも発揮できれば得点効率の高い攻めができてくるはずです。

この記事が参加している募集

Bリーグ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?